Current 488 nm Micro-Raman spectrometer @ Kanzaki's lab (as of 2022 11/19)
装置の現在の状況:(2023/6/8)
- レーザー:488 nm laser (100 mW) Coherent Sapphire SFが現在のデフォルト
- 光学系: ⭕ Coherent(ONDAX) Sureblock x2 + ASE Noiseblock
- ステージ:マニュアルXYZ
- 液体窒素 10L容器:
装置の資料など:†
最新情報:†
- (2023/08/22) 古い試料観察用USBカメラが測定中に画像フリーズが頻発するようになったので、同じメーカーの新しい機種(Wraymer EL310)と交換しました。観察用ソフトを2種類インストールしてます。1年以上前の最新情報を最後に移動させた。
- (2023/02/01) マニュアル日本語版PDFをアップデートした。
- (2023/01/31) 以前ソーラボのキュベット用キューブを光学系のレーザー光入射側に組み込んでおいたので、それの着脱可能なフィルター部分を利用してレーザー光を減光するためのNDフィルターのセット(ND 1.0, 0.6, 0.3, 0.15)を用意しました。レーザーでダメージを受けている、レーザーによる加熱が気になる等の場合は適当なND値のフィルターを対物レンズの左上にあるスリットに入れて測定してください。
- (2023/01/24) 最近絶好調なので、空気中の窒素分子の回転ラマンがよく見えました。試料表面で測定していると、これらの一部見えることがあるので注意。
- (2023/01/20) 以前設置したHMDI出力の試料観察カメラは顕微鏡用のUSBカメラと交換しています。HDMI出力のカメラは高解像度でPC経由しなくていいのですが、コントラストが悪い試料を見るときに調整があまりできなくて、よく見えないことがあったので、古いUSB CCDカメラと交換しました。このカメラはラマン測定・制御用のデスクトップPCから利用できます。
- (2023/01/15) 488 nm顕微ラマンで低周波数領域が測定できることを生かした最近の研究例。hemimorphiteの高圧相(II)でソフトモードが出現することを見つけました。低圧相へ転移する時のソフトモードです。図はそのソフトモード位置の圧力依存性をプロットしたものです。線はモデルでフィットしたもので、これから転移圧が求まります。また、液体窒素保管用デュアー中の液体窒素残量を正確に知るために、体重計を部屋に設置しました。空重量(蓋込み)が6.0 kgです。7 kg以下だと液体窒素を液体窒素タワーから汲んでくる必要があります。
- (2022/12/02) 現状:488 nm顕微ラマンは非常に良好な状態です。加熱測定やDACを使った高圧その場測定もできます。488 nmラマンの移設やその後それを使った研究・教育などを行っている関係で、785 nmラマン立ち上げの方は夏以降作業が止まってます。再開予定です。
- (2022/12/02) 自作ハード制御ソフトを改良して、ルビー測定モードとネオンランプ測定モードを追加しました。ボタン4つクリックしていたのが、1つで済むようになります。ルビー測定モードの時はレーザーは回転NDフィルターで減光している状態で測ります。減光していますが、ルビー蛍光は強いので十分に測定可能です。また、レーザー位置がわかる程度にはモニター上でレーザースポットが見えます。ネオンランプ測定モードの時は透過・落射照明をOFF、ビームスプリッター1は入れたままで、ビームスプリッター2を外に出します。ネオンランプ自体の点灯は定盤の上のスイッチを使います。Mac上のXojoでこのWindows用ソフトを作っています。
- (2022/11/22) 現システムの写真(上)を最新版と差し替えた。なるべく光学系を黒ボードや黒布で覆うようにして、ちょっと測定するくらいなら室内灯を点けていても十分測定できるようになってます。以前のHDMI出力のカメラは試料の見え方がイマイチなので(コントラストがない時に調整できない)、USBでPCに取り込むCCDに変更しました。PC上でコントラストなど調整可能です。
- (2022/10/29) 可視(488 or 532 nm)の顕微ラマン装置を第3研究棟に移設しました。移設に伴って、多少の改良もしてます。現在作製中(かなり遅れている)の785 nmラマンと同じ部屋になります。
- (2022/06/24) 785 nmレーザーを入手しました。これはソーラボのレーザーダイオードとそれのコントローラのセットです。最大600 mWまでの出力が可能です。レーザーダイオードから光ファイバーで出力されます。以前使っていた785 nmレーザーは最大50 mWで、ラマンスペクトルを測定することは不可能ではなかったのですが、強度がかなり弱いという問題がありました。そのため標準試料を測るくらいで、実際の試料を測るところまで至ってませんでした。それよりはレーザー出力を1桁高くできるということで、実際の試料分析に使えるようになると考えてます。特に蛍光が出るような試料で有効と思われます。とりあえずテスト目的で785 nm用測定系をバラックで作り始めたところです。
- (2022/03/18) 入口の照明スイッチにSwitchbotを取り付けました。これはリモコンのようなもので、除振テーブル上に置いている白いスイッチで照明のON/OFFを制御できます。測定開始するたびに入口の照明スイッチをON/OFFに移動する必要がなくなりました。
- (2022/03/18) 現在はLightField(CCDのソフト)を使ってラマン分光測定ができるようになってます。
- (2022/01/21) Windows 10に対応するために測定用ソフトとしてLightFieldを導入しました。まだ十分使えてませんが、これまで使っていたWinSpec32からは色々と機能アップしているようです。WinSpec32は古いCCD検出器だとまだ動くので、そちらの方で働いてもらう予定です。
- (2021/08/20) 真空引きツールをバラして、正しい手順が判明したので、今朝再挑戦。今度はうまくいった。手順をパソコンに記録して、1年後にまた実施する予定。
過去の更新情報: 最後の方に移動させました。†
惑星物質研究所のマイクロラマン分光装置の紹介†
- 学外から共同利用で使用することができます.共同利用を使えば旅費などが出ます.ただし研究内容の重複やそれに伴うトラブルを避けるため,研究内容の調整は内部利用でも必要です.
- 装置のマニュアルを用意してます.日本語版(PDF)はここ.English manual (pdf) is here.
装置の情報(詳細はマニュアルを参照)†
装置仕様(部品を買って組み立てた物で,メーカー完成品ではありません)†
- 本装置はClass 3Bレーザーを使用します.そのため部屋は管理区域となってます.レーザー使用中はレーザー波長に応じて専用の保護メガネを付ける必要があります.
- 装置概要:レーザー光を対物レンズで絞って試料にあて,そこからのラマン散乱を同じ対物レンズで集めて,ラマンフィルターでレイリー線をカットして,500 mm焦点距離1段のイメージング分光器で散乱光を波長分散して,それを液体窒素冷却CCD(2次元検出器)でラマン散乱光を検出する.
- レーザー:
- CW固体488 nmレーザー:488 nmの縦単一モードのレーザー(100 mW max) これがメイン
- CW空冷Arイオンレーザー;使用可能波長:488 & 514.5 nm, 最大100 mW (TEM00) これは引退したので、514.5 nmは今後使えない。
- CW固体785 nmレーザー;最大50 mW.
- CW固体532 nmレーザー:532 nmの縦単一モードのレーザー(100 mW max) 別用途だが、必要に応じて。
- イメージング分光器: Acton Spectra_Pro 500i (f=500 mm).グレーティングは3種:300, 1200, 1800/mm.
- CCD検出器(以前): SPEC-10 1340x100 ピクセル, 液体窒素冷却CCD (Princeton Instruments) これは最近もう1つの顕微ラマン装置用にリバイバルさせている
- 新しいCCD検出器: PyLoN 400BR eXcelon 1340x400 ピクセル, 液体窒素冷却 (Princeton Instruments) 測定ソフトはLightField。
光学系:†
- 後方散乱を対物レンズでコリメートし,結像レンズで一度ピンホール位置に集光する.ピンホールを通過した散乱光を再度レンズでコリメートしてラマンフィルター等を透過させて,最後のレンズで入射スリットへ集光する.ピンホールを使うことによってレーザースポット以外からくる光をカットすることができる.ラマンノッチフィルター(514.5 nm)とエッジフィルター(488, 514, 532, 633, 785 nm)使用可.エッジフィルター使用時はアンチストークス側を測れません.また大体150-200 cm-1以下はエッジフィルターでの吸収が大きくて測定は難しくなります.なおダイクロイックビームスプリッター使用時にはさらに200 cm-1から強度が落ちます.最近ONDAX社のSureblockが使えるようになってます。
- 対物レンズ: ミツトヨの超長作動距離x2, x5, x10, x20(NIR仕様), x50, x100を使用可能.無限光学系.作動距離が長いのでダイヤモンドアンビルセル(DAC)や加熱ステージを使った測定が可能です.また通常試料についてはマイクロネットのx5,x10,x20,x50,x100の対物レンズが使用できます.同倍率でミツトヨ超長作動対物レンズよりもNAが大きいため総合感度が高くなります.長い作動距離を必要としない試料(普通の試料)の場合はこちらを使ってください.薄いDACならこれでも焦点合います(Syntek対称セルはダメ).普段はマイクロネットのレンズをリボルバーに取り付けてあります.ただ倍率変更でセンターが多少ずれます.x50くらいの高倍率で光軸合わせておいて、低倍率はサンプル位置探しに利用した方がいいでしょう.
フィルター類の説明†
- ラマン(エッジ)フィルター:レーザー波長付近(150 cm-1以内くらい)で強く減光し,それ以外で光を透過させるフィルターです。Semrock製のフィルターを使ってます。ラマンに使った場合はラマン散乱観察の邪魔となるレーリー線をカットしてくれます。ラマンエッジフィルターはレーリー線を含んで短波長側をカットするフィルターです。アンチストークス側は計れません。これらは当然使っているレーザー波長の数だけフィルターが必要となります。
- ラマンノッチフィルター:最近、ONDAX社の低周波数まで取れるフィルターが使えるようになってます。2枚設置する必要あり。488 nmレーザー専用です。強度的には上記フィルターよりは暗くなりますので、低周波数を必要としない場合は上記Semrockフィルターの使用を推奨します。
- レーザーラインフィルター:ちょうど上記ノッチフィルターと逆の働きをする,レーザー波長付近だけを透過させるフィルターであり,これも使っているレーザー波長に対応するものが必要です。これはガスレーザー等で使用するレーザー波長以外のプラズマ線などをカットするために使います。以前はプリズム分光器を使ったりしてましたが,このフィルターは調整の必要もほとんどなく便利です。90%程度の透過率を持つレーザーラインフィルターに交換しました.以前より試料への入射レーザービームが2倍以上明るくなってます。固体レーザーでも使用する方がいいようです(レーザーによるが)。
- ラマン用ダイクロイックビームプリッター:これはSemrock社から最近販売されるようになったもので、後方散乱時に対物レンズの直前に入れます。普通ここにはハーフミラーを使いますが、ハーフミラーだとレーザー光を1/2、ラマン散乱光を1/2ロスしてしまいます。ラマン用ダイクロイックビームプリッターは非常に狭い波長範囲で反射と透過の度合いが急変するように作られていて、レーザー光はほとんど反射して対物レンズ側へ送ります。一方ラマン散乱(ストークス側)はほとんど透過させるようになってます。これによりハーフミラーを使った場合に比べて4倍近い強度の増加が期待できます。488nm用を最近買って使用してます。大体3倍程度の強度の増加が確認されました.ただ一方で落射照明で試料の観察がしづらくなったり、プラズマラインの強度が落ちるなどの弊害もあります.またガラスのようなものをとった場合,300 cm-1以下でステップ状に強度が落ちるようです(488 nmの場合).150-300 cm-1間を見たい場合は通常のビームスプリッター(ハーフミラー)と交換してください.
分光器・CCDの制御と測定†
- Winspec/32 (Roper社)を使用.automation機能(COM)を使ってVisual Basic等からWinspecを制御することも可能。最近利用できるようにしているラマンマッピングはこの機能を利用してます。
- データの解析ソフト:fitykを使ってみてます。多様なピーク関数でfittingが出来ます。現在はフリーで使えるようになってます(2022 Jan.)。Windows版はWin_SpecのSPEファイルを直接読むことができます。プロットだけならMac OSX用のPlot2もいいです。よく利用してます。
- 偏光測定用光学系も用意してます。CCl4で偏光解消度が正しく測れることを確認してます。高倍率対物レンズで取っている時はある程度異なる偏光も入ってきて,少し複雑なことになります。CCl4は劇物なので、最近廃棄してしまいました。
- 試料観察はCCDカメラを利用できる。ダイクロイックフィルターなど入っているのであまり画像はよくありませんが,PC上で静止画/動画をキャプチャできます。
- 観察CCD用ハーフミラー,落射用ハーフミラーは自動で光路から出し入れ可能になってます。測定中に光路から外しておくと,ラマン強度が上がります。観察CCD用ハーフミラーはCCDのダメージを防ぐためにも測定中は出すこと。これには空気圧を使ったエアーシリンダーを使い,エアーバルブを電気的に操作してます(自作)。
- ラマンスペクトルを使った相の同定にはCrystalSleuthが使えます。
最近の変更点(09/04/10)†
- (光量調整を除いて)PCから制御できるようにしました。
- 回転NDフィルターの制御。ただし制御箱側でOpenになっているなどの場合,制御できないのでClose状態にしておくこと。なおこのCloseでは完全にレーザ-を遮蔽していないことに注意してください。表面がきれいだとかすかにレーザー光をモニター上で確認できます。ピント合わせなどに使えます。
- 落射,透過照明光の光量をコントロールボックスにある可変抵抗で調整ができます.この機能を使うためには個々の光源が既にONであり,前パネルでリモートスイッチ側にしておく必要があります.ON/OFFについてはPC上から制御可能です.適当な光量にしておくと,後はPC上から制御が出来ます.
- 試料観察用CCDに像を分岐するビームスプリッターと落射照明用に白色光を導入するビームスプリッターを出し入れ可能にしました(IN/OUT).それの出し入れ制御がPCから出来ます.
- 使用方法としては,
- Winspecを起動しておく.制御プログラム中の個々の制御ボタンをクリックする.まとめて測定と観察モードを切り替える時はMeasureボタンをクリックする.
アプリケーション†
- 天然試料の相同定。特に微小なダイヤモンドやコーサイトなどの同定.各種対物レンズを準備してます。マッピングも可能になってます。
- 合成試料の相同定.ビームは1ミクロン程度まで絞れます。XRDでは気づかなかった相が検出されたり,カーボネートや炭素相などもラマンではよく見られます。炭素(グラファイト)を見誤る例についてはKono et al.,JMPS(鉱物科学会の英文誌)(2008)に対するKanzaki(ibid, 2008)のCommentを参照のこと。
- 高温その場ラマン散乱測定(~1500˚C)
- ワイヤーヒーターを使うことで高温下の試料のラマンを測定することができます.ヒーター自体についてはリンク先参照。Kanzaki et al (2012)で使ってます。
- テストで測定したガラス/メルトのラマンスペクトル(下図).試料はdiopside-anorthite共融組成のガラス.低温側ではガラス,高温側ではメルトを測定している.高温側での高波数側のバックグラウンドの増加は輻射による.低周波数側はラマン散乱の温度依存性から.バックグラウンドの増加はあるが,十分引き算は出来そうなので,メルトのラマンスペクトルがとれそうである.測定条件:488nm, 50 mW, 1200 g/mmグレーティング, ミツトヨx50対物レンズ,ピンホール100ミクロン,120 s積算した.現在もっと感度が上がっているので,さらに短時間で同程度にとれるはず.
- 高温ラマン測定では紫外線レーザーを励起に使ったり,パルスレーザーを使ったゲート付きICCDで測定を行ったりすることで輻射を低減することが行われます.紫外線レーザーを使う方達は紫外線の優位さを示すために,かなり低温でも可視レーザーだと測れなくなるように書いている事があります.しかしここで示すように共焦点で輻射をカットすることでCWレーザー励起可視(488 nm)の顕微ラマン装置でもこの程度の測定はできます.
.
- 高温ラマンスペクトル測定例(上記ヒーターを使って測定、800-850 Cで相転移しているようだ。試料は合成brianite。)
- ルビー蛍光法を使ったダイヤモンドアンビルセル(DAC)の圧力測定例
- ルビー蛍光スペクトルもこの装置で測定できる。下の図の上下2つのスペクトルは測定した常圧と高圧のルビー蛍光スペクトルでWinspec上で表示されている。2つのピークのうち,高い方がR1ピークとなる。下の方のスペクトルでは、R1ピークがより高い周波数(長波長)にシフトしているのがわかる。R1の圧力によるシフトはよく分かっているので、それを使って圧力を求めることができる。右中央のウィンドウは私の作ったアプリケーションで、2つのスペクトルのR1ピークのカーソル位置を読んで、そのシフトから圧力を計算できる。ラマン測定も同時に行っていたので、横軸は相対周波数を使っている。その時はレーザー波長のところをチェックする。ラマン測定を行わないときは、波長で校正しておけばよい。この場合、10 GPaと計算された。
- 高圧ラマンスペクトル測定例(DACでの測定例、Zn2SiO4 III相で5.0-5.5 GPaで圧力誘起相転移を観察。この論文はもうすぐ出ます。
マニュアル等†
- マニュアル(日本語および英語版)を作成してます.日本語版(PDF)はここ.
- 波長の校正:我々のところでは波長の校正にはAr+レーザーのプラズマラインを使います.レーザーラインフィルターを取り外すだけなので最も簡単で,ラマン測定と同じレーザースポットで校正しているため,普通はこちらを推奨します.フィルター部分はマグネットチャックで簡単に着脱でき,取り付け再現性もよいので調整の必要はありません.最近ルビー蛍光で使う領域でもプラズマラインで校正できるように整備しました.もちろんネオンランプによる校正もできます.なお用意している資料のほとんどは真空中の値を使ってます.なぜ真空中の値を使うのかについては濱口・平川編の「ラマン分光法」をご覧下さい.
- Neon_Lamp_Table ネオン線の波長,絶対波数,およびArレーザー488 nm, 514.5 nmからの相対波数の表です(校正時に使う)。DAC等の圧力測定に使うルビー蛍光用の校正にも使えます。Ar+レーザーを使っている時はプラズマラインで校正できるので、出番はないが、固体レーザーの時には使います。現在、ネオンランプは光路に取付済みなので、電源をつないで、ラマン測定用プログラムでネオンランプモードに設定すると測定できます。
ラマン分光法のテキストなど†
- Raman spectroscopy applied to Earth Sciences and cultural heritage, EMU Notes in Mineralogy vol. 12, Edited by J. Dubessy, M.-C. Caumon and F. Rull, European Mineralogical Unions, 2012.
- Modern Raman Spectroscopy - A Practical Approach, by E. Smith and G. Dent, J Wiley&Sons, 2005 (Paperback) 最近のノッチフィルターなど使った光学系やFT-Ramanについて書いてあるが,初心者向けなので詳しくはない.ダイヤモンドのラマンバンドのシフトが間違っているとかいくつかミスプリがあります.
- Practical Raman Spectroscopy", D.J.Gardiner and P.R. Graves (Eds), 1989, Springer-Verlag. これも古い.
- 「ラマン分光法」日本分光学会 分光法シリーズ1, 濱口宏夫・岩田耕一編,2015, 講談社。実質次の本の新版。
- 「ラマン分光法」日本分光学会測定法シリーズ17, 濱口宏夫・平川暁子編,1988, 学会出版センター。少し古い。濱口研究室のサイトは勉強になる.
- 実用分光法シリーズ「ラマン分光法」, 尾崎幸洋編,1998,アイピーシー出版部.高価.
- 第5版 「実験化学講座3 基礎編III 物理化学 下」日本化学会編,2003,丸善.第2章がラマン分光入門になっている.
- 第5版 「実験化学講座9 物質の構造I 分光 上」日本化学会編,2005, 丸善
- "Raman Microscopy", G. Turrell & J. Corset Eds., 1996, Academic Press. タイトルから分かるようにマイクロラマンが主.地球科学関係はPaul Mcmillan, J. Dubessy and R. Hemleyの共著.
- その他Reviews of Mineralogy and GeochemistryのシリーズのSpectroscopyなど。
Web上で公開されている鉱物関係のラマンスペクトルデータ†
- ENS-Lyon 天然鉱物,高圧鉱物もある
- University of Parma 鉱物
- RRUFFデータベース 鉱物のX線回折,ラマン,IR,化学組成のデータベース。また同じところからダウンロードできるCrystalsleuthというソフトウエアで手持ちのラマンデータを同データベースを使って同定することができます。ただしWindows版のみ。
これらのデータベースは素晴らしいのですが,多くがある波長領域データのみで,たとえば含水鉱物で重要なOH伸縮振動領域のスペクトルがないのが残念です(RRUFFデータベースはOH部分があることが多い)。
ラマン関係の論文(主にこの装置を利用したもの)†
- Xue, X., Kanzaki, M., Djirar, A. and Gregson, C. (2024) Incorporation mechanisms and infrared absorption coefficients of water in MgSiO3 orthoenstatite clarified via comprehensive NMR and vibrational spectroscopic measurements, and first-principles calculations, Contributions to Mineralogy and Petrology, in press.
- Xue, X., Kanzaki, M.(2023) Correlation between Si-Al disorder and hydrogen-bonding distance variation in ussingite (Na2AlSi3O8OH) revealed by one- and two-dimensional multi-nuclear NMR and first-principles calculation, American Mineralogist, in press. pdfへのリンク
- Kanzaki, M. (2023) Pressure-tuned correlation field splitting in phase A (Mg7Si2O8(OH)6), J. Mineral. Petrol. Sci., 118:012. Online 解説2023-1 これはラマンの振動計算の論文
- Kanzaki, M. (2021) Raman spectroscopic study of pressure-induced phase transitions in tridymite modifications, J. Mineral. Petrol. Sci., 116, 245-250. Online 解説2021-1
- Kanzaki, M., Xue, X. and Jiang, J. (2020) Structural chracterization of Zn-phase A: a new dense hydrous zinc silicate (Zn7Si2O8(OH)6) by 1H and 29Si NMR and powder X-ray diffraction. Phys. Chem. Miner., under revision.
- Kanzaki, M. (2020) CO2 distribution in CO2-rich melanophlogite from Fortunillo, Tuscany, Italy, J. Mineral. Petrol. Sci., 115, 471–478. https://doi.org/10.2465/jmps.200611 解説2020-2
- Kanzaki, M. (2020) Phase transitions of tridymite MC: A low frequency Raman spectroscopic study, J. Mineral. Petrol. Sci., advanced publication https://doi.org/10.2465/jmps.191122b 解説2020-1
- Kanzaki, M. (2019) Raman spectra of tridymite modifications: MC, MX-1 and PO-10, J. Mineral. Petrol. Sci., 114, 214-218.Link.
- Kanzaki, M. (2019) High-temperature Raman spectroscopic study of CO2-containing melanophlogite, J. Mineral. Petrol. Sci., 114, 122-129, 2019. 論文Link 解説JMPS2019-1(鉱物科学会2020年論文賞受賞論文)
- Kanzaki, M. (2018) Pressure-induced phase transitions of Zn2SiO4 III and IV studied by in-situ Raman spectroscopy, J. Mineral. Petrol. Sci., 113, 126-134 (https://doi.org/10.2465/jmps.180409 ). 解説JMPS2018-3
- Kanzaki, M. (2018) Temperature-induced phase transition of AlPO4-moganite studied by in-situ Raman spectroscopy, J. Mineral. Petrol. Sci., 113, advanced publication (https://doi.org/10.2465/jmps.171219 ). 解説JMPS2018-2
- Xue, X., Kanzaki, M, Floury, P., Tobase, T. and Eguchi, J. (2018) Carbonate speciation in depolymerized and polymerized (alumino)silicate glasses: Constraints from 13C MAS and static NMR measurements and ab initio calculation, Chemical Geology, 479, 151-165. (https://doi.org/10.1016/j.chemgeo.2018.01.005 )
- Kanzaki, M. and Xue, X. (2017) Protoenstatite in MgSiO3 samples prepared by conventional solid state reaction, J. Mineral. Petrol. Sci., 112, 359-364.解説JMPS2017-1 https://doi.org/10.2465/jmps.170616
- Xue, X., Kanzaki, M., Turner, D. and D. Loroch (2017) Hydrogen incorporation mechanisms in forsterite: New insights from 1H and 29Si NMR spectroscopy and first-principles calculation, American Mineralogist, in Special Collection: "Water in nominally hydrous and anhydrous minerals", 102, 519-536. https://doi.org/10.2138/am-2017-5878
- Tomioka, N., T. Okuchi, N. Purevjav, J. Abe and S. Harjo (2016) Hydrogen sites in the dense hydrous magnesium silicate phase E: a pulsed neutron powder diffraction study, Phys. Chem. Minerals, 43, 267-275. (https://doi.org/10.1007/s00269-015-0791-4 )
- Kanzaki, M., X. Xue, J. Amalberti and Q. Zhang (2012) Raman and NMR spectroscopic characterization of high-pressure K-cymrite (KAlSi3O8.H2O) and its anhydrous form (kokchetavite), J. Mineral. Petrol. Sci., 107, 114-119.
- Tomioka, N., Kondo, H., Kunikata, A. and Nagai, T., Pressure-induced amorphization of albitic plagioclase in an externally heated diamond anvil cell, Geophys. Res. Lett., 37, L21301, 2010.
- Xue, X., Kanzaki, M., and Fukui, H., Unique crystal chemistry of two polymorphs of topaz-OH: a multi-nuclear NMR and Raman study. American Mineralogist, 95, 1276-1293 (2010)
- S. Zhai, M. Kanzaki, T. Katsura, E. Ito, Synthesis and characterization of strontium-calcium phosphate gamma-Ca3-xSrx(PO4)2 (0≤x≤2), Materials Chemistry and Physics, 120, 348-350, 2010.
- Malfait, W., The 4500 cm-1 infrared absorption band in hydrous aluminosilicate glasses is a combination band of the fundamental (Si,Al)-OH and O-H vibrations. Am. Min., 94, 849-852, 2009.
- N. Noguchi, K. Shinoda and K. Masuda, Quantitative analysis of binary mineral mixtures using Raman microspectroscopy: Calibration curves for silica and calcium carbonate minerals and application to an opaline silica nodule of volcanic origin, Journal of Mineralogical Petrological Sciences,104, 253-262, 2009 (共同利用)
- B. Mysen, S. Yamashita, and N. Chertkova, Solubility and solution mechanisms of NOH volatiles in silicate melts at high pressure and temperature - amine groups and hydrogen fugacity, Geochim. Cosmochim. Acta, 93, 1760-1770, 2008. (国際共同利用)
- M. Kanzaki, Elastic wave velocities and Raman shift of MORB glasses at high pressures-Comment, Journal of Mineralogical Petrological Sciences, 103, 427-428, 2008.直接使った訳ではないが,この装置での経験からコメントした
- S. Zhai, A. Yoneda and E. Ito, Effects of pre-heated pyrophyllite gaskets on high-pressure generation in the Kawai-type multi-anvil experiments, High Pressure Research, 28, 265-271, 2008.
- T. Ota, K. Kobayashi, T. Kunihiro and E. Nakamura, Boron cycling by subducted lithosphere; insights from diamondferous tourmaline from the Kokchetav ultrahigh-pressure metamorphic belt, Geochim. Cosmochim. Acta., 72, 3531-3541, 2008
- S. Zhai and E. Ito, Phase relations of CaAl4Si2O11 at high-pressure and high-temperature with implications for subducted continental crust into the deep mantle, Phys. Earth Planet. Int., 167, 161-167, 2008.
- 薛献宇、神崎正美, 多核種・多次元固体NMR分光法の魅力 ー含水高圧鉱物・含水アルミノケイ酸塩ガラスを例にー,地球化学, 42, 133-155, 2008.
- X. Xue, M. Kanzaki and A. Shatskiy, Dense hydrous magnesium silicates, phase D and superhydrous B: New structural constrains from one- and two-dimensional 29Si and 1H NMR, Am. Mineral., 93, 1099-1111, 2008.
- X. Xue and M. Kanzaki, High-Pressure delta-Al(OH)3 and delta-AlOOH Phases and Isostructural Hydroxides/Oxyhydroxides: New Structural Insights from High-Resolution 1H and 27Al NMR, Journal of Physical Chemistry B, 111, 13156-13166, 2007.
- X. Xue, M. Kanzaki, H. Fukui, E. Ito, and T. Hashimoto, Cation order and hydrogen bonding of high-pressure phases in the Al2O3-SiO2-H2O system: An NMR and Raman study, Am. Mineral., 91, 850-861, 2006
- T. Tsujimura, X. Xue, M. Kanzaki and M.J. Walter, Sulfur speciation and network structural changes in sodium silicate glasses: Constraints from NMR and Raman spectroscopy, Geochim. Cosmochim. Acta., 68, 5081-5101, 2004
測定上の注意†
- 使用中は直接レーザー光,および反射した光を直視しないこと.レーザー保護メガネをつける.光学調整時は部屋を必要以上に暗くしないこと(瞳孔が広がるため).
- 液体窒素を使うため酸素濃度に注意.特に液体窒素をデュアーに注ぐときに.酸素濃度計が部屋に常設されているので,もしアラームが鳴ったら部屋より速やかに退去して下さい.酸素濃度表示が少しずれているときは部屋外に濃度計を出してリセットボタンを押して下さい.
「蛍光」と対策†
- 蛍光はラマン光に比べて圧倒的に強いため,少しでも蛍光を出す物質が混ざっているとラマン測定自体ができなくなります.
- 合成試料をラマンで測定する予定がある場合は高純度の試薬で試料を合成することを強く薦めます.
- 過去の経験では古い,純度の不明な試薬から合成した試料からは強い蛍光がでることがしばしばあり,ラマン測定が困難となりました.試薬を予めラマン装置で測定して蛍光が出てないことを見ておいた方が安全でしょう.
- しかし高純度な試薬を使っても蛍光は出ます.
- 蛍光をチェックする最も手っ取り早い方法はレーザー照射中の試料をArイオンレーザー保護用メガネ越しに見ることです.赤色や黄色の光が見えたらかなり強い蛍光を発していることになります.TVモニター上で蛍光色が見えることもよくあります.このような場合は300g/mmのグレーティングに変更して,広い波数域でスペクトルを取ってみてください.どこかに蛍光のバンドがあるはず.
- 赤い蛍光が出る試料では650 nm程度のショートパスフィルターを使うと,スペクトルが劇的に改善される場合があります.例:ルビーはこの分光器の場合,強力な蛍光の迷光によって測定が困難となりますが,600 nmのショートパスフィルターを入れるときれいなラマンスペクトルを取る事ができました.DAC内のラマン測定で,試料近くのルビーが邪魔をする時にも有効ではないかと思います.
- また合成プロセスでも汚染を防ぐことが重要です.高圧合成の場合,LaCrO3やCr入り圧媒体からの汚染を防ぐことが重要です.これらが入るとCrによる蛍光がでるようになります.
- 周囲からの蛍光を防ぐにはピンホールでレーザースポット外からの光をカットするのが効果的です.さらに高倍率の方が有効です.もちろん試料自身が蛍光物質を含んでいる場合は効果はありません.しかし測っている結晶の下などからも蛍光が来る事を考えると,試料をばらして,スライドガラスの上に分散すると,測っている結晶以外からの蛍光が無くなるので改善されることがあります.なお通常のスライドガラスは多少蛍光を出します.低蛍光のスライドグラスを使った方がいいでしょう.またはシリコンウエハーの上で測るのも有効.
- 一般的には蛍光を励起しない長波長のレーザーを使うのが有効です(FT-Ramanなど).この装置の場合はArレーザーなので488, 514 nmくらいしか選べませんが、蛍光低減するために785nmレーザーを導入しました。一応測定できるようになってますが,高波数(>2000 cm-1)は現在の検出器では感度はほとんどなし.NIR検出器の導入を検討してます.他にはパルスレーザーとゲート付き検出器で時間差で蛍光をカットする方法もあります.
測定する試料の状態†
- ラマンでは大体どんな形状でも測定できますが,エポキシやカナダバルサム等は蛍光を発するので薄片やEPMA試料での測定では試料面に接着剤がない状態がベストです.またこのとき表面をよく洗浄して,使ったアルコール等はよく蒸発させてください.高倍率とピンホールで試料周囲からくる蛍光を多少は防ぐことができます.
- EPMAで分析のために炭素蒸着したものを測定することは可能ですが,炭素由来のピークが1350, 1600cm-1くらいに出るので,それらの位置にあるピークを見たい場合は一度かるく研磨して炭素膜を剥がした方がいいでしょう.
- レーザー光を吸収する試料では試料温度が上昇する,パターンが変化する,および融けることが観察されることがあります.後2者はスペクトルと顕微鏡像の注意深い観察から判断できるはずです.最初のものについてはわかりづらいですが,ラマンピーク位置がレーザーパワーで変わっていないかチェックして下さい.もし変わっている場合はレーザーパワーを落として測定する必要があります.また試料が十分ある場合は試料を回転させて測るといいでしょう(回転ステージは準備してません).
装置の自作など†
- ラマンと直接関係ありませんが,顕微ラマン装置(と十分強いレーザー)があれば光ピンセット実験で遊ぶことができます.液体中の微粒子をレーザー光で捕捉することが出来ます.もちろんそうして捕捉した微粒子からのラマンをとることも可能.
今後の予定/希望(かなり希望の方が強い)†
- ステージの電動化と2Dマッピング.これはある程度実現している.
- Qスイッチ付きYAGレーザーがあるので,これを利用してハイパーラマン測定ができるようにしたい.もともとマルチモード用なのでシングルモードにしないといけない.予算的にはほとんどいらないが,手間はかかりそう.ハイパーラマンでは赤外活性のモードや赤外/ラマン不活性なモードが見えるなど,通常のラマン散乱とは異なった情報が得られる.
- 現在レーザー加熱DACを構築中なので,レーザー加熱中にラマンが測定できるようにしたい.このためにはパルスレーザーとゲート付き検出系が必要となる.予算が...
- 低周波数の領域を調べたい。最新のフィルターではこれが可能になります。これは実現済み。
- 自作のアルミ部品は光を反射するので都合が悪い.アルマイト化を自分でできないかと探したところ「レッツアルマイト」というキットを発見.これを使うと自分で黒くすることができそうだ。最近、オリジナルマインドでもキットを売っている(公費で購入可能)。
- 514nmで使っている時は状態によっては液晶ディスプレイのバックライトからのピークが出る事があります.1123(strong), 2103, 2167 cm-1あたり.もし出るようなら液晶ディスプレイを黒板で覆うか,オフにして測定してください.
- ピンホールの調整:位置見失ったら試料位置に白紙を置いて,散乱したレーザーがピンホールを通るようにピンホール後で透過する光を見て調整する.その後のミラー調整必要.ダイヤなどのラマンピーク強度を見ながら。
- レーザー波長を決める必要がある場合は、ラマンフィルターは外して測定する。特にノッチタイプのラマンフィルターは、レーザー発振線のピークを歪めている可能性があるので。ただし、その場合、高強度のレーザー光が分光器、CCDへ入るので、入射側にNDフィルターなど入れて、レーザー強度を下げておく。
- ハーフミラーとダイクロイックビームスプリッターの交換:まず現在のビーム位置をTVモニター上で記録しておく.交換した時にそこにビームが来るように調整する.フォーカシングで光軸がずれているかチェックして,ずれていたら対物の上流側のレンズのXYで調整.あとはピンホールとスリットの調整.
- 第5版実験化学講座 物質の構造1 分光(上)の523ページより引用;「測定者の心得として,測定が長時間にわたろうとも,常に測定の状況に注意を払うべきである.また,長時間の測定の間に実験のことを考え続けることは,研究者にとって重要であろう.』
過去の更新情報:†

- (2021/08/19) 連休多いのとお盆で注文していた真空パーツがやっと今週届いた。早速、真空引きができるように整備した。まず古いCCD(普段使ってない)も同様に真空が悪くなっていたので、まずテストも兼ねてこちらの真空引きを行なって、それから新しい方のCCDも真空を引いた。写真は新しいCCD(Princeton PyLoN 400BR)の真空引きの状況。真空引きツールの使い方をあまり理解してないが、一応やった。しかし、真空引きツール部分をよく見ると圧力を封止するためのOリング部分がツールから離れてなかった!
- (2021/07/30) 真空引きツールが届いた。NW-25のフランジで接続するようだ。真空ポンプと繋ぐために色々とパーツが必要なため、それらを発注した。できればコールドトラップもしたい。それらが届いてから真空引きする。
- (2021/07/27) 真空引きツールがまだ届かない。測定したいものは沢山あるが、真空引きして良いスペクトルを取れるようになってからと思っているので測定ができない… なので以前の測定データを見直しているが、coesite測定時のレーザーパワー依存性を見た随分以前のデータがあったので、ざっとプロットしてみた。ここでプロットしているのは、coesiteの中でも温度依存性が最も大きい117 cm-1のピークを使っている。使ったレーザーの波長はパワー依存性があるので、117 cm-1自体のピーク位置ではなく、117 cm-1ピークのストークスから同じピークのアンチストークスピーク間の波数を2で割ったものを図に示している。こうすると波長にパワー依存性があっても打ち消される。なお、示してない測定データからは波長のパワー依存性も推定できるが、明らかにパワー依存性があり、0 mWから100 mWで0.5 cm-1くらい変化している。測定された117 cm-1ピークの温度依存性は過去の研究によると-0.02~0.03 cm-1/degreeなので、これは100 mWで25~33 Cくらいの温度上昇になる。結構温度が上がっている。もし測定するスペクトルで温度によるシフトを0.1 cm-1程度以下に抑えたいならば、20 mWかそれ以下で測定する必要があると予想できる。その場合でも5~7 Cの温度上昇が予想される。この温度上昇の度合いはあくまで使ったレーザー波長、対物レンズ倍率、試料自体の状態等による。もし測定したい試料のピークの温度依存性が分かっていると今回のように温度を推定できる。この場合はレーザー装置側でパワーを変えたが、波長の変化があってややこしいので、パワー一定にしておいて、濃度フィルターで試料部に来るレーザーパワーが変えられるようにNDフィルターをいくつか揃えたところである。次の機会にはNDフィルターを変えて測定してみる。
- (2021/07/04) CCD検出器の真空引きの件、メーカーに連絡したら真空引きのツールを販売しているとのこと。今回送って引いてもらっても、そのうちまた真空が悪くなることを考えると、ツールを買った方が結果的に安くつくし、使えない時間も短くできるし、輸送時の余分なトラブルも避けられるので、ツールを注文した。
- (2021/07/03) CCD検出器の真空が悪くなったためか、しばらく前からCCD像に氷の粒らしきものが写るようになっていた。以前使っていたCCD検出器でも似た症状が出て、その時は自分で真空引きした。しかし最近の検出器は真空用のバルブがそもそもついてないので、自分で真空引くのは難しくなっている。測定したスペクトルへの害が無視できなくなってきたので、メーカーに送って真空引きしてもらうことを決断。その間ラマン装置が使えなくなる予定。
- (2021/06/29) coesiteのラマン振動数計算について別途書いてます。
- (2021/06/16) 最近、ある試料をメタノール・エタノール混合液圧媒体で加圧していたら、試料の屈折率が圧媒体の屈折率に近づいて、ほぼ透明になった。界面での反射がなくなるためか、ラマン強度は増加するが、試料がよく見えないのでフォーカスはラマン強度を見ながら判断することになる。右の写真は左端が加圧前で、右側へ圧力が高くなる。
- (2021/06/16) RRUFFデータベースでenstatiteを検索していたら、明らかにenstatiteとは違うスペクトルが出てきたので、作成しているアリゾナ大学の先生に報告したが、意味不明な返事が…。どうも直してくれなさそう。enstatiteで検索して出てくるリストの最初のスペクトルをクリックして出てくるRAMAN SPECTRUMで表示されるR040093.3は、どう見てもenstatiteではありません。多分tremoliteだと思われます。それ以外のR040093.4,R040093.5は明らかにenstatiteで、BROAD SCANで示されているものもenstatiteです。多分測定した試料にtremoliteも含まれていて、紛れ込んだと想像されます。一応他のスペクトルもチェックしてみましたが、他は大丈夫です。ざっと見た感じでは全てorthoenstatiteのようでした。まあ全て天然の試料なので…
- (2020/12/27) すぐ下の写真でも対称DACが写っているが、このDACを載せているアルミのアダプターは中央部が2 mmほど凹んでいて、そこにDACを置くようになっている。しかし、取り外す時に少し浮かせる必要があって、その時に対物レンズとの干渉が心配である。そこで、手前側を簡易フライスで削って、横に滑らすだけで設置、取り外しできるように改良した。今回削ったところは手前側の筋になっている部分。
- (2020/12/05) 試料によっては表面で反射されたレーザーがそのまま分光器側に来ることがあり(もちろんフィルターでかなりカットされはしますが)、困ることがある。これを避けるために試料部分を簡単に傾けられるようにゴニオステージをXYZステージに組み込んでみた。この写真のDAC観察の場合、x20の対物レンズとの組み合わせでは、3度傾けてもDAC自体の取り出しが可能だった。ゴニオの回転中心とDAC試料部が一致してないので、水平横軸も調整する必要があるが、それは特に問題にならない。ただ、今のところ高さの調整がうまく合わないので、新しいスペーサーを作ってから使えるようにする予定。
- (2020 12/01) Ondax社はCoherent社に買収されたので、以下Ondaxと出ているところはCoherentと読み替えてください。
- (2020 11/12) bioRxivに最近出ていたプレプリント:https://doi.org/10.1101/2020.11.09.375212 で、化石試料のラマンスペクトルでブロードな波状の波形が出ることがあり、それを有機物と見誤ったと思われる論文が出ていることが指摘されていた。試料からのルミネッセンス(レーザー誘起の発光)が強い場合に起こり、ラマンフィルターに元々存在する透過率の波状の変動が強調されるのが原因だとのこと。Semrockなどラマンフィルターの透過率の公表データにそういう波が見えるのは購入時に調べて知っていたが、私の経験では普段の測定では全く問題にならない。周期は64-128 cm-1くらいで、高周波数側が長くなる。あまりそういう試料を測ってないが、今後注意しよう。
- (2020 03/29) 校正用にネオンランプのスペクトルを測定した。
- (2020 03/01) 粉末試料を粉末X線用ガラスホルダーに詰めて、回転ステージを使ってホルダーを回転しながら(平均化しながら)ラマン測定を試した。回転ステージは展示室の偏光顕微鏡のものをちょっと借用した。用意しているアルミのアダプタを使えば、ステージにうまく固定できる。問題なく測定できたので、粉末X線回折パターン測定とラマン測定を全く同じ試料で平均化して測定できるようになった。
- それを使って、衝撃変成作用を受けた砂岩中の石英とコーサイト(僅かにスティショバイトもある)の定量分析をラマンと粉末X線回折法で比較してみた。ラマンの方は感度補正がまだだが、野口さんの方法(JMPS, 2009)でラマンスペクトルのピーク強度からコーサイトの量が約25 wt%となった(残りは石英)。同じ試料のRietveld解析からはコーサイトの量が26 wt%で、ほぼ一致した。これがQualX2の半定量分析(最強線強度比から計算)だと、21 wt%ともっと小さくなる。
- ただこのケースでは1つ問題があった。この砂岩には蛍光を発する物質が少し含まれていた。この蛍光物質は局在していて、顕微ラマン測定では、蛍光部分を外して測定することが出来たので、石英やコーサイトに富む部分のスペクトルをきれいに取ることができる。しかし、粉末化してしまうと、蛍光部を出す物質も均一に分布してしまうので、回転ステージを使った粉末試料のスペクトルには蛍光のバックグラウンドが出てしまった。
- (2019/10/14) 最近、装置ハードの詳しい情報を聞かれることが何度かあったので、その説明で作ったものに、さらに追加、和訳して、pdf(4.8 MB)で公開します。装置の部分の写真とその説明をしたものです(ダウンロード)。ついでにトップの写真も最近のものに変更。カメラ部分がHDカメラ(青い箱)に変わっている。
- (2019/09/14) 試料観察用の古いTVカメラをHDカメラに変更。それに伴い、HDディスプレイも設置。このカメラ自体の機能を使って静止画と動画を撮れるが、PCともつないでPCからも画像を撮れる。
- (2019/09/11)レーザー励起波長変更について:波長変更する場合、もちろんレーザー本体を取り替えるわけですが、私の場合は通常デフォルトの488 nmレーザーの前にミラーをポストに立てて、横方向から他のレーザーを入射できるようにしてます。488 nmレーザーは移動する必要はありません。入射側のレンズ類を外して、入射側ミラー2個の傾き調整で、新しく設置したレーザーを光軸に持ってくることができます。そしてレーザーラインフィルター、ラマンエッジ(ノッチ)フィルター、ダイクロイックビームスプリッターを交換します。ダイクロイックビームスプリッターは傾きを調整する必要があります。特にトラブルがなければ1時間程度の作業・光学調整で済みます。
- (2019/09/10) tridymite多形のラマン測定論文がweb出版された。https://doi.org/10.2465/jmps.190414
- (2019/09/9) 先週は共同研究の関係などで、励起波長を488 -> 785 -> 532 -> 633 -> 488 nmと目まぐるしく変更した。633 nmは初めてテストした。30年近く前のHe-Neレーザーを使ってみたが、実出力1 mW程度だったのでかなりスペクトル強度が弱いが、測定できなくはない。
- (2019/06/7) CODと同じ感じで、ラマンスペクトルのオープンデータベース(ROD)ができていた。それの紹介のオープンアクセス論文がJ. Appl. Crystallographyに出ている。私はラマンもやっているので、スペクトルを今後デポジットして行きたいと思っている。とりあえずの問題はデポジットできるフォーマットにデータを変換しないといけないが、その変換を簡単にするプログラムか何かをまず作る必要があり、フォーマットをまず見ている。CODと同じようにsqlで検索できるので、CODの検索に作ったCOD_Search_SQLのようなものを作る必要がある。ただ、検索できるのは組成や名前で、このデータベースは現状ではラマンスペクトル自体では検索はできない。CODとひもづけることができるので、構造とラマン同時に測定している場合にはリンクできる。
- (2019 04/05) tridymiteのMC, MX-1, PO-10多形のラマンスペクトルをまとめてみた。MCは合成で、少しMX-1が混ざっている。MX-1はMCを液体窒素で急冷して合成したもの。PO-10はスロバキア産天然試料。2つあるのは結晶の方位が異なっている。方位が違うとかなり強度が違う。これらを載せた論文(Letter)はもうすぐ出版される。天然ものを買って、測っているが、いまのところPO-10しかない(粉末XRDで判断)。
- (2019 02/18) 合成トリディマイト(tridymite)の高温その場ラマンスペクトル測定データ。週末測定した。まだSNが良くない。100 cm-1以上は過去の研究とほぼ同じ結果だが、100 cm-1以下は多分これが最初の測定。室温ではMX-1とMC相の混合物で、OP, OC, HPへと転移する(色で各相を分けている)。高温相ではよく分からないが、低温では低周波数に特徴的なピークが見られる。非常にシャープなピークは宇宙線によるノイズ。
- (2018 11/24) 作成中のもう1つの顕微ラマン分光装置は、低周波数に変なバックグラウンドがあって悩んだが、レーザー波長付近だけ透過させるフィルターをもう1枚追加で入れたら消えた。鉱物の同定くらいなら十分使えるようになってきた。試料からのレーザー光の散乱が強く、試料自体のラマンピークが弱い時には、別種のバックグラウンドが現れる。これはシリカガラスのラマンスペクトルとよく似ている。本装置の場合、散乱した光(レーザー光も含め)を光ファイバー端に集光して、ファイバーを通して分光器に送っているが、集光したところでガラスファイバー自体のラマン散乱が発生しているため、このバックグラウンドが出てしまうようだ。そこでフィルターの位置を変えたが、今度はビームスポット位置がCCDカメラで確認できなくなった。色々試して、白紙のようなレーザー光を強く散乱するものと、CCDカメラ側の設定で感度を限界近くまで上げると何とかビーム位置が確認できるようになった。ルビーだと赤い色で光るので、その手も使えそう。
- (2018 11/10) 今、作っているもう1つの顕微ラマン分光装置の顕微プローブ部分を縦型に配置してみた。プローブ部分はファイバー接続x2+USB接続x1なので、光学系自体には手を加えることなく変更出来る。まだ色々と試行錯誤中。こちらで使っている分光器は、Acton Spectra_Pro 300i (f=300 mm)。
- (2018 11/7) もう1つの顕微ラマン装置は、ダイヤモンドやオリビンのラマンスペクトルが測定できる程度にはなった。光学系としては大丈夫との確認はできたが、研究に本格的に使うには色々不便なことがまだ多いので、改良する計画を立てている。
- (2018 11/4) もう1つの顕微ラマン装置を作成中。こっちはプローブ的に作っているので、レーザー、分光器、PCとは光ファイバー2本とUSBケーブルのみでつながるようにしている。こうするとプローブ部分の取り回しの自由度が上がるので。プローブ部分は手で持てなくはないが、ハンドヘルドとは言い難い。
- (2018 10/6) Coherent(Ondax)フィルターと別のフィルターを毎度交換して、高度に調整するのは時間がかかる。また、ラマンを使った共同研究の協力依頼が最近あり、その目的には近赤外レーザーを使った方がよさそうである。そこで古いCCD検出器を再利用して、簡易顕微ラマン分光装置を1つ組み上げることを考えて、少しづつ実行している。古いCCD検出器はまだ使えそう。ほとんど既存の装置とパーツで何とかなりそうだ。
- (2018 9/19) 8月頃に書いているcBNのラマンシフト(常圧)で温度を推定する方法を夏の間に試したが、私の場合は大気中で行なっているため、1000 ˚Cくらいになると再現性が悪く、常温に戻した時にラマンシフトがずれることがわかったので、結局使っていない。
- (2018 9/18) 以前、科研費シールを貼ったが、よく考えるとこの装置の部品の多くは運営費交付金でも買っているので、運営費交付金シールを自作して、科研費シールの横に置いた。
- (2018 9/07) 昨日、分光学会の夏期セミナーに参加。Ondax社(現Coherent)の研究者の発表によると、空気中分子の回転スペクトルが低周波数で結構見えてしまうとのこと。これまでノイズとして見過ごしていた可能性があるので、時間がある時に長時間露光してチェックする予定。もう1つ気づいたことは、Ondax社(現Coherent)は「THz-Raman」を商標登録しているようで、資料では至る所THz-Raman®となっていた。昼休憩時には開催中のJASISを見学したが、至る所で様々なラマン分光器が展示されていて圧倒された。これでは自作する人が絶滅するのも近い。
- (2018 9/02)(2020 5/26更新) CO2入りmelanophlogiteを適切な温度で処理すると、CO2はまだかなり残っており、そのラマンピークが2つになることを発見した(一番上のスペクトル)、その理由としてM12, M14カゴに入っているCO2が異なる振動数で振動すると解釈できると、以前書いていた。しかし、その後の粉末X線回折からはこの解釈は否定された。どうも脱ガスしたCO2がインクルージョンなどになってまだ試料から抜けずに残っているものを見ていたようである。
- (2018 8/26) レーザービームを対物レンズに送るところはOndax(現Coherent)のASE、ラマンフィルター部分はSemrockのエッジフィルター(傾斜させる)の組み合わせを初めて試してみた。Semrockフィルターの傾きを調整すると、65 cm-1くらいまでなんとか取れる。65 cm-1以下は必要ない場合で、強度は稼ぎたい時にはいいかも。Semrockのラマン用ダイクロイックフィルターはOndax ASEよりも簡単に設置できるが、低周波数側はあまり取れないし、OndaxのSureblockフィルターは吸収があり強度が下がるので、この組み合わせも状況によって使えると思う。下の絵はcoesiteを取ってみたもの。78 cm-1のピークが見える。その代償としてレイリー散乱も強くなっていく…
- (2018 8/16) ついでに、cBNのTOモードのラマンシフトで高温高圧下の圧力を推定する計算機も作った。温度は別途測定できていることを仮定(外熱式DACなど)。これも川本先生が決めた温度と圧力依存性を使っている。
- (2018 8/16) マニュアルへのリンクの1つが間違っていたので、直した。
- (2018 8/16) 常圧高温その場測定時の温度測定として、cBNのTO modeの温度依存性を使うことを考えているので、それ用の計算機を作った。川本先生が決めた温度依存性を使っている。Winspecで表示中のカーソル位置を読めるようにはしているが、温度によるシフト量がかなり小さいので、Winspecの機能でピーク位置を求めて、その値をtext fieldに書き込んで計算させる方がよい。
- (2018 8/15) Ondaxのフィルターで、低周波数が測定できる状態に戻した。調整はしたが、レイリー散乱がかなり強い状態。もう1つフィルターを導入すべきか?
- (2018 8/14) ここ数日、高圧ラマンその場測定実験を行なっている。
- (2018 8/11) インターン2名が今朝帰った。今日からは自分の実験を始める。
- (2018 8/02) 高校生の見学のためにダイヤモンドアンビルセルで氷VI,VIIを作ったり、氷VIを融かしたり、成長させたりした。
- (2018 7/22) Semrockフィルターへ戻した。
- (2018 7/16) ダイヤモンドアンビルセルで、ダイヤモンドのラマンシフトから圧力を推定するVisual Basicプログラムを作った。ダイヤモンドとしては、サンプル室に小さいダイヤモンドを埋め込んでおくか、ダイヤモンドアンビルのキュレット面を測定することを想定している。温度依存性を考慮しているので、温度が別途分かっている場合には、ダイヤモンドのラマンシフトから、高温高圧下サンプルの圧力が推定できる。Winspecプログラムと連携しているので、スペクトル中の現在のカーソル位置をこちらに取り込むことができる(Setボタン)。ダイヤモンドのラマンシフトの圧力依存性を入力する必要があるが、我々のルビー蛍光圧力計を使った校正では、2.0 cm-1/GPaとなった。インターンプログラムで使っている。4-5 GPa以上だとキュレット面のダイヤモンドピークと低圧部分のダイヤモンドによるピークがよく分離するので、ルビー蛍光のシフトとダイヤモンドのピーク位置はよく相関し、圧力は精度よく決まるが、圧力が低いと分離が悪く、圧力決定精度は悪くなる。
- (2018 7/12) 最近インターンプログラムで装置を毎日使用中。
- (2018 7/06) 488 nm固体レーザーを使うと、1600 cm-1以下はネオンランプの輝線が弱いのしかなく、校正に困る。普段はcoesiteを使うが、1200~1600 cm-1領域で正確な値を求めたい時は、外挿となるので好ましくない。そのため、周波数校正のために、エチルアルコールとアセトンをガラスキャピラリーに封入したものを準備した。粉末X線回折用のキャピラリーを使ったので細いが、なんとか使える。液体はキャピラリーの一部にだけ入っているのでフォーカスする時に注意が必要。フォーカスで強度を上げて、30〜60秒くらい露光すればOK。なお、エチルアルコールとアセトンのピークの正確なラマンシフト値は、「ラマン分光法」日本分光学会の付録に載っているので、それを使っている。
- (2018 7/04〜) インターンプログラムで使用中。
- (2018 6/01) 昨年のJpGUの時にホリミネラロジーから買ったArizona Meteor Crater(隕石孔)の砂岩のラマンスペクトル。元々あった石英以外に隕石が衝突した時の高温高圧条件により生成した石英高圧相のcoesiteが含まれている。比較のために一番上に高圧合成したcoesiteのラマンスペクトルを示している。さらに高圧相のstishoviteは見つけられなかった。stishoviteの含有量は1%以下だそうなので、ちょっと探しただけで見つけるのは難しそう。過去の研究では、まずフッ酸で他の相を溶かしてから、残渣にあるstishoviteを研究している。
- (2018 3/14) 低周波数領域が観察できる利点を生かして、ソフトモードを観察した例を下に示す。物質はAlPO4のモガナイト相。論文は最近出た(https://doi.org/10.2465/jmps.171219 ) 。
- (2017 11/18) ラマンの波数校正についてを書きました。「分散の式」を使って較正を行ったことなどを書いてます。
- (2017 09/06) 今日からSemrockモードへ変更
- (2017 08/23) お盆にとったデータの整理を始めた。温度のチェックもあってhexacelsianの転移(P63/mcm to Immm)をラマンで見たものを示す。325 ˚Cで転移した。1次相転移するので、低周波数のピークはソフトモードではない。
- (2017 08/20) 常温常圧の水(H2O)の低周波数側を測定してみた。ダブル、トリプルモノクロメータのシステムで測定したものと変わりないスペクトルが測定できているようだ。
- (2017 08/15) 現在使用している488 nmレーザーの出力を変えると、ラマンピーク位置が変化することが観察されたので、最初レーザースポットの温度が上がっているのかと疑ってましたが、よく調べて見ると主にはレーザーの周波数変化が出力に依存するのが原因のようです。一連の測定時(および横軸校正)には同じ出力で行うこと、およびその記録を残しておくことを推奨します。そのため、レーザースポットの温度上昇と区別しづらくなってますが、その場合は以下のようにするといいと思います。
- アンチストークスが測定できる光学系の場合は、出力を系統的に変化させて測定して、その時のピークのストークス位置とアンチストークス位置を見ると、レーザー周波数が変化する場合はピーク位置が同じ方向に同じシフトで変化しますが、温度の効果の場合は逆方向にピーク位置が変化するはずなので、温度の効果と周波数変化を分離できます。もし温度効果が見られるなら、出力を下げて、その出力で再度横軸の校正を行います。
- アンチストークス側が見えない光学系の場合は、ちょっと困りますが、なるべく多くのピークを拾って、その出力依存性を見ることで、定性的にはどちらが原因か分かるはずです。
- (2017 08/12) Updated English manual.
- (2017 08/06) 7/31に488 nmレーザーが納品されたので、現在はそれを使う構成となってます。低周波数領域がまた測定できるようになりました。これでcoesiteを測定したものを下に示す。Arレーザーの時の邪魔なプラズマラインがなくなった。少し貼っている図などを最新のものに更新。また、日本語マニュアルも更新した。英語版の更新はこれから。
- (2017 07/09) 下記のようにArレーザー引退のため、現在532 nm固体レーザーを使ってます。そのため、低周波数領域が測定できません。7月末には488 nmの新しい固体レーザーが入る予定で、それが入ると低周波数領域が測定できるようになる予定です。
- (2017 06/07) 今日使おうとしたら、Arレーザーの調子が極めて悪く、また強度も通常の1/5にしかならない。引退させることにした。多分18年間くらい使った。ご苦労様。
- (2017 5/22) Noiseblockを取り付け後、初めてSemrockのフィルターへの切り替え作業を行った。そのメモ:1)上にはね上げるミラーを取り外す。Sureblock2枚を外す。Noiseblockはそのままにしておく。2)SemrockのRaman用edge filterを取り付ける。
3)Semrockのダイクロイックビームスプリッターを取り付け、レーザービームがモニター中央に来て、かつ光軸が合う様に調整する。4)スリットとピンホールの調整。作業始めてから、Noiseblockを取り外す必要が全くないことに気づき、実測で問題ないことを確認。Noiseblockを取り外さないのなら、交換作業はかなり楽。
- (2017 4/08) 調整の方法としては、まずミラーがついているキネマティックマウントを調整してレーザービームがフィルターの中心に当たるようにする。必要によってはミラー自体を回転させる。その状態でフィルターからの反射ビームが真下に来るようにする。しかし、その時の角度が最適かどうかは別の話。角度を変えるには、ミラーの角度をキネマティックマウントでまず変える。そうするとレーザービームはフィルターの中心からズレるので、その分ミラーを前後させる。そしてフィルター角度の調整。強度が最大になるまで、これを繰り返す。
- (2017 4/07) 何とか一応測定できるところまでこぎつけた。今回付けたASEフィルターのために、プラズマラインはほぼ見えなくなったので、波長の校正には以前精密に測定しておいたcoesiteのラマンピーク位置を使った。レーザー波長ごく近傍のプラズマライン(38.4 cm-1)も以前よりは遥かに低くなったが、まだ少し見えているので、ラマンピークと間違えないように注意が必要。-51.4 cm-1にもプラズマラインが少し見えたが、こちらはレーザーラインフィルターを使うとほぼ消えるようだ。下は測定した合成coesiteのラマンスペクトル(中央部分だけ拡大)。20 mWで10秒の測定。Semrock社のフィルターを使った時よりは強度が数分の1に落ちるので、強度がどうしても必要な時(かつ低周波数は必要ない時)は、多少やっかいだがSemrockフィルターに戻すことも可能。高周波数側での校正は今後ネオンランプを使うことになる(ネオンランプは既に光学系に組み込んである)。
- (2017 4/06) 改造実施中。これの調整はかなり面倒。下の写真は使ったNoiseblock ASE filterとそれを取りつけるソーラボのキネマティックマウント。普通のキネマティックマウントは5度程度しか傾けられないので、これが必要だった。その下はビームを跳ねあげるためのミラー用の台の細工(ミラーをつける前)で、こちらは角度調整に普通のキネマティックマウントを使用している。本当はさらに回転、前後の調整が必要だが、そちらは微動がない。
- (2017 4/06) 今日から顕微ラマン装置の改造を行う。下の図に示すように、ONDAX社の488 nm用Noiseblock filterを導入する。これはダイクロイックミラー的に働き、レーザービーム波長付近のみを反射して、それ以外は透過させる。ただし問題は入射角度が10度くらいなので、図に示したように光軸からずらした位置に置いた小さいミラーでビームを上に跳ね上げて、この入射角度を実現する。青い線はレーザー光を緑の線はラマン散乱を示している。なお、この図では照明、試料観察用カメラ、共焦点用の光学系等は省略している。
- (2017 3/25) この装置のかなりの部分を科研費で購入しているので、科研費ロゴを一番上に貼ってみた。
- (2016 7/28)一応新しいCCD検出器を使った測定ができるようにしました。測定用ソフトは全く同じなので、温度がWinspecから制御できる、ADCのオプションが多いことが違うくらいです。
- (2016 07/28) 新しい検出器で2度ほど測定しました。検出器による感度の増加は実感できてます。少し検出器が回転していたので、調整しました。検出器付属のTTL入出力を試してみる予定です。うまくいけば、以前のようにWinspecと連携させた制御プログラム内から色々と制御できるようになります。
- (2016 07/10) 一応、測定できるようにしました。まだ十分調整しきれてませんが、新しい検出器で測定したところ、4倍くらい総合感度が改善しているようでした。ラマンの制御ソフト(Xojoで作成)はまだ改善が必要のようです。最終的にはWinspecとも連携するようにVisual Studioで書き直す必要があります。インターンプログラムのため、現在Semrockのエッジフィルター, Semrockのダイクロイックビームスプリッターの構成となってます。低周波数は測定できませんが、総合感度は過去最高となってます。
- (2016 06/28) 新しい液体窒素CCD検出器(Princeton Instruments: PyLoN 400BRX)が納品されました。今後は主にこれを使うことになります。測定ソフトはこれまでと同じWinspecなので、使用方法はほぼ同じ。これに対応するラマン制御系はほぼ完成してますが、まだ配線等が終わってませんが、そのうちセットします。CCDは横方向は以前と同じ幅ですが、縦方向が4倍になりました。イメージングでも利用したいところです。
New CCD detector PyLoN 400BRX (Princeton Instruments)
- (2016 06/04) 以前書いたことがありますが、この装置で光ピンセット(Optical tweezers)現象を体験できます。その動画を置いときました。試料は牛乳を薄めたもので、見える球は脂肪によるものです。
- (2016 05/30) この夏には新しい冷却CCD検出器を導入する。これまでよりも総合感度が数倍上がるだろう。また、古い検出器のコントローラーから制御していた部分を代替するものが必要であるが、その部分は製作が終わり、テストをパス。プログラムも大体は作った。新しい検出器の導入準備はほぼ終わった。(しかし、実際に納品されるとAUX I/Oコネクターが実は本体に実装されていて、TTL I/O 8bitが使えたことが分かった)
- (2016 05/13) 「分光研究」2016年Vol.65,No.1,53-54に冨永靖徳先生の「振動分光スペクトルの横軸について(提言)」が載っている。現在、低周波数ラマン分光を始めたところであり、その提言は至極もっともだと思うので、今後なるべく従うようにしよう。ということでまず「低波数ラマン分光」のページの名前を「低周波数ラマン分光法」に変えた。また、波数を使うのをなるべく止めて、周波数と書く様にしました。
- (2016 03/31) 論文追加。
- (2016 02/18) テラヘルツラマン分光のことを地球惑星連合学会2016年会発表に投稿した。
- (2015 11/18) 本ページの英語版を作成した。
- (2015 10/28) メモ:部屋天井の豆電球が切れたので、LEDに交換した。E17口金で電球で60W仕様。LEDランプの場合は調光用を選ぶ必要あり。
- (2015 10/25) 最近入手した中古CCDコントローラ(ST138S)をテストしたところ、ダイナミックレンジが広い方のADCがこちらはまだ生きていて、強度的には有利となるので、既存のものと入れ替えた。テスト測定で問題なし。以前のものも高速なAD変換は生きている。
- (2015 08/17) 較正用のよく使うチャートをpdf化して、デスクトップに置いた。
- (2015 08/09) 低周波数(テラヘルツ)領域の顕微ラマン測定ができるように少し改造した。詳しくは低周波数ラマン分光法に書いた。デフォルト設定ではないので、使用前にフィルターの交換・調整が必要です。
- (2015 08/08) マニュアル(日英)をアップデートした。上の写真も最新のものに入れ替えた。アプリケーション例も新しくした。
- (2015 08/03) ラマン用PCにCrystalSleuthをインストールした。普段、測定時のことを考えて、画面設定をハイコントラスト設定にして暗いものを選んでいるが、こういう普通のソフトを使うときはハイコントラストをやめないと正常に見えない。WinspecのToolを使ってスペクトルをテキストファイルに変換すると、CrystalSleuthで読むことができる。スペクトルの表示、バックグラウンド補正、宇宙線ピークの除去、およびRRUFFデータベースを使った検索ができる。検索をいくつか試したが、スペクトルのバックグラウンドが高いとうまくいかない。ラマンは方位依存性があるので、色々なサンプルで測定したデータ(方位が異なる)が充実している鉱物は正しく見つかる傾向にある。
- (2015 08/01) 分光学会誌を見ていて、濱口先生のラマン分光法の教科書が出ていることに気づいたので「ラマン分光法のテキストなど」に追加。Kindle版があったので、そちらを買った。iPadで読んでいるところ。
- (2015 02/14) 回転式NDフィルターが必要な位置で止まらないことが多くなったので、サーボモーターを別タイプのものに交換して、回路も少し変えた。動作は良好。制御PCから制御できる。また、黒いコントロールボックスからもマニュアルで制御できる。少し減光したいときはつまみを回転させてください。
- (2014 9/02) 532 nmレーザーを使った場合の波数較正のために、coesiteのラマンピーク位置を488 nmアルゴンレーザーを使ったラマンで精密に決定した。アルゴンレーザーはプラズマラインが出ているので、それを使うと精度よく波数較正できるが、532 nm固体レーザーだとそれができない。ネオンランプがよく使われるが、発光領域が広いため、どこを見ているか不安である。また、レーザー自体の波長も正確に決める必要がある。ラマン自体で較正物質があると便利なので、今回coesiteで行いました。結果をマニュアルの最後のページに入れてます。また、それと同じ絵はここ。
- (2014 8/11) 現在Arレーザー(488 nm)にしてます。
- (2014 8/01) 現在532 nmレーザーにしてますが、Arレーザーも除震台上に置いてあり、それほど時間をかけずに変更が可能です。両レーザーが正確に同軸になってませんが、そのうち同軸にする予定です。レーザー変更の手間が短縮できます。アクリルの遮蔽板は488 nm用は488 nmに使えますが、532 nm用は488 nmにも使えます。
- (2014 7/18) 現在実験の都合上、Arレーザーに戻してます。
- (2014 7/17) 532 nmレーザーからは励起用の800 nm弱のレーザー光もそのまま出てきていることが分かった。迷光として悪さをすることがあるので、とりあえず650 nmショートパスフィルターをレーザーが出て来た直後に入れて対応した。Winspec32は最初何度か落ちたが、最近はトラブルなし。
- (2014 7/15) ステージの高さ調整(アルミブロックの積み重ねで調整することにしている)
通常サンプル:アルミ大 30+10 mm; アルミ小 10+10 mm;専用台
heating wire:アルミ大 30 mm; アルミ小 10+10 mm;専用台+3-5 mmのスペーサーが必要
symmetric DAC:アルミ大 30; アルミ小 10+10 mm; symmetric DAC専用台
plate DAC:アルミ大 30+10; アルミ小 10+10; plate DAC専用台
HDAC:アルミ大 30; アルミ小 10+10; HDCA専用台
ネジで固定すること。両面テープはだめ。
- (2014 6/28) UPSを新しいものと交換。532 nm用の遮光板を除震台上に設置。また、その板の一部をカットして、コの字形の試料台用の遮光パーツを作った。試料台にネジがあるので、そこに引っかかるように載せる。ミツトヨの対物レンズで使える。長いスライドグラスははみ出るので使わないこと。
- (2014 6/15) 制御用PCをWindows 7 Proに更新しました。Winspec32もWin7対応のものになりますが、ラマン測定ではこれまでと変わりなく使えるはずです。1つだけ利用できなくなるのは、ビデオキャプチャーのMonsterTVで、これはドライバーがないので使えなくなりました。他の方法で画像を取り込むことはできるので、試料画像を取り込みたい場合はご相談ください。
- (2014 6/13) 試料画像のモニターをCRTから、PC用液晶ディスプレーに替えました。これにはビデオ出力をVGA信号に変換する装置を使ってます。
- (2014 6/5) プリンター(Epson PX-105)を設置。Winspec32からスペクトルの印刷が可能である。PCのケースファンと電源を新しいものと交換した。この電源はマザーボードの24ピンに対応しているので、PCは安定しているようだ。
- (2014 6/1) 制御用PCの電源ファンが壊れたので、とりあえず別のPC電源部と交換。また、制御用プログラムを少し直して、較正用のボタンを追加。測定ボタン(Measure)を測定セットアップ用(Setup)と測定ボタン(Acquire)に分離させた。露光時間もテキストボックスで指定できるようにした。最初に測定ボタンを押した時は動作しないので、もう一度押してください。測定が止まらない時は再度測定ボタンを押す。レーザーオンオフは少し時間がかかる。
- (2014 5/31) Arガスレーザーを引退させて、488 nm固体レーザーへ移行。しかし安定性が悪いことが分かったので、532 nm固体レーザーに変えた。測定は問題なし。ただし、かなり散乱光が出ているので、532 nm用(YAG SHG)メガネをつけること。
- こちらもSemrockのRaman edge filterとdichroic mirrorを使用。edge filterは100 cm-1くらいまで測定できるが、dichroic mirrorがそこまでいかない。100 cm-1まで取りたい時は、dichroic mirrorをビームスプリッターに変更すること。
- 532 nmレーザー使用方法:コントロールボックスとレーザーヘッドからなります。コントロールボックス前面の電源スイッチをONにする。数分待ってから、前面のキースイッチをON側に回す。レーザーが出るまで数分かかり、また出力も増加する。完全に安定するには8分くらいかかる。出力は調整できず、フルパワー状態になる。出力は100 mW。偏光は縦方向。
- (2014 5/25) 以前透過光源側をマグネットチャックで透過光源、ネオン、水銀ーアルゴン光源と交換できるようにしたが、ネオン、水銀ーアルゴンはこれではよく見えないので、反射光源を導入している部分の反対側に移した。ネオンは常時マグネットで付けてある。水銀ーアルゴンを使う場合は入れ替える。ネオンランプ等で較正する場合のために、プログラムに較正用のボタンを追加した。このボタンを押してから、ネオンランプの電源を入れて、測定を始める。-488 nm用の新しいラマンエッジフィルター(Semrock LP02-488RE-25)を入手しました(2011/08/06)。既にこれまでのもの(488RU-25)と交換してあります。違いはこれまで低周波数側の限界が200 cm-1までだったのが、100 cm-1まで取れるようになることです。Kanzaki et al.(2012)のJMPSの論文において、K-cymriteとkokchetavaiteの110 cm-1付近のピークはこのフィルターに変更することで測定できました。ただ、そのためには現在入っているSemrockのRazoredgeダイクロイックビームスプリッター(DBS)を「普通」のビームスプリッターに交換する必要があります。しかし、このようにすると強度がかなり落ちるので、デフォルトではDBSを使った構成にしておきます。100 cm-1まで取りたい方は神崎まで光学系の変更を依頼してください。
- 追加フィルターを自由に着脱できるように、ラマンエッジフィルター手前部分にマグネット着脱式のホルダー(ソーラボ製)を設置しました(2010/09/24)。測定時にフィルターを入れたし、外したりが簡単にできます(これまではねじ込んでました)。例えばルビー蛍光測定する際に、ラマン側で強いルビー蛍光のゴーストなどが悪さをする場合には600nmのショートパスフィルターをここに入れて、ルビー蛍光法で圧力を計る時はそのフィルターを外すといった使い方ができます。600 nmのショートパスフィルターを組み込んでいるホルダーがドライボックスに入ってます(いま一時的に利用不可)。
- マッピングが可能に(09/04/11).XYステージとWinspec32(Roper社)をVisual Studio 2008で制御して,2次元ラマンマッピングが出来るように改造しました.まだ完成度は低いですが,一応使えます
.下に示すのはMgSiO3-ilmenite結晶中に散在するstishovite結晶粒の様子をマッピングしたものです.移動1 micronステップで50x50 micron^2の領域を測定してます.上左図で明るい部分がilmenite, 上右図で明るい部分がstishoviteに対応します.
- さらにPC制御化を進めました.ビームスプリッターミラーの出し入れ(2個),照明のON/OFF(2個), NDフィルターをPCから制御出来るようになりました.これはCCDコントローラー(この場合ST-138)にTTL出力が8チャンネルあるのでこれを利用してます.Winspec32を起動しておく必要があります.プログラム例を下図に示します.図の上側はXYステージの制御用.下部のボタンが今回制御可能にした部分.
- これらの改造に伴うマニュアル等の更新が追いついてません.利用方法で疑問がある場合は神崎に尋ねてください.
- Winspec32のプログラム作成についてのメモ(09/11/09) Winspecプログラム