SureBlockの調整方法 の変更点


#author("2024-05-03T11:49:02+09:00;2024-05-03T08:05:26+09:00","default:masami","masami")
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*SureBlockの調整方法
 ラマン用ノッチフィルターSureBlockの調整方法の個人的メモ。SureBlockはOndax、現在はCoherentで販売されている低周波数まで使えるラマンノッチフィルターで、研究室には488 nm用が2枚あります。1枚だとOD4くらいなので、2枚あった方がいいのですが、フィルターの透過率が60%台なので、散乱光自体は2枚使うと結構弱くなります(1/2-1/3)。対応するASEフィルターもあります(これは普段光路に入ったままになっている)。
 SureBlockから回折した光を分離するために、SureBlockからスリット前の結像レンズまでの距離を20 cm以上とるか、空間フィルターを使う必要があります。うちの装置の場合は現状の配置では前者をクリアしているので問題ないですが、光学系を大きく変更する時は注意が必要です。
 このフィルターは光軸に対して2-3度傾ける必要があります。そのためにキネマティクマウントにのせる必要があります。うちの場合はソーラボのケージシステムで組んでいるので、ソーラボのKC1L/Mを使っています。これは止めネジで25 mmまたは1インチ径のフィルターを固定できます。傾けられる角度は最大5度。止めネジがフィルターの平たくなっている部分に合う様にKC1L/Mの方向を合わせています(止めネジが作業者側)。
 SureBlockから回折した光を分離するために、SureBlockからスリット前の結像レンズまでの距離を20 cm以上とるか、空間フィルター(またはスリット)を使う必要があります。うちの装置の場合は現状の配置では前者をクリアしているし、スリットもあるので問題ないですが、光学系を大きく変更する時は注意が必要です。
 このフィルターは光軸に対して2-3度傾けて微調整が必要です。そのためにキネマティクマウントにのせる必要があります。うちの場合はソーラボのケージシステムで組んでいるので、ソーラボのKC1L/Mを使っています。これは止めネジで25 mmまたは1インチ径のフィルターを固定できるので、SureBlockも固定できます。傾けられる角度は最大5度。止めネジがフィルターの平たくなっている部分に合う様にKC1L/Mの方向を合わせています(止めネジが作業者側に来るようにしている)。
**SureBlockの調整
-まずはフィルターの切り欠き部分をスリットの向きに合わせるかどうかを決める。それによってキネマティクマウント(ソーラボのKC1L/M)の取り付け方向も変わってくる。以下はスリットに合わせた場合。スリットと90度回転していても今の装置だとフィルターから分光器まで距離があるので(20 cm以上)、回折光が影響することはないと思う。実際以前はスリット方向に合わせてなくて、それで問題になったことはなかった。
-SureBlockフィルターを外して、ラマン分光装置を調整しておく。この時にはSemrockのラマン用のロングパスエッジフィルターを使う。ラマン散乱がちゃんと測定できるように調整しておく。
-試料位置にミラーを置く。フィルターからの反射光を観察するためには、フィルターからの反射率も低いし、ASEフィルターも入っているとさらに弱くなるので、なるべくレーザー強度を上げるためにミラーを置いている。また、白い紙の中央に穴が空いたものを用意する(名刺とかがよい)。分光器のスリットを広げておく。
-2枚SureBlockを使う場合は、分光器のスリットに近い側に1つ目のフィルターをまず取り付ける。フィルター面を光軸に大体垂直にする。白い紙をレーザー光が穴を通るようにフィルター前のプレートか何かに取り付けて、フィルターからの回折光や反射光が見えるようにする。フィルターからは5つのビームが平面状に後方に反射される(今のフィルター方向の場合は水平方向)。そのうち4つは回折光で、残り1つが中央付近の弱い反射光になる(R<0.5%なので弱いはず)。この弱い反射光を見つけて、それが入射ビーム側に戻る様にKC1L/Mのノブでyaw, pitch角を大体調整する。上下をz軸、光軸方向をy軸、前後をx軸とすると、yawはx軸周りの回転。pitchはz軸周りの回転になる。(フィルターが垂直になるように目で調整できるなら、この調整は不要なのかも?)
-分光器を0 cm-1に移動して、測定をフォーカスモードにしておく。調整前は強いレーザー光が分光器に入るので、レーザーを入射側で適当に減光して、レーザーのピークが見える様にしておく。
-2枚SureBlockを使う場合は、分光器のスリットに近い側に1つ目のフィルターをまず取り付ける。フィルター面を光軸に大体垂直にする。白い紙をレーザー光が穴を通るようにフィルター前のプレートか何かに取り付けて、フィルターからの回折光や反射光が見えるようにする。フィルターからは5つのビームが平面状に後方に反射される(今のフィルター方向の場合は水平方向)。そのうち4つは回折光で、残り1つが中央付近の弱い反射光になる(R<0.5%なので弱いはず)。この弱い反射光を見つけて、それが入射ビーム側に戻る様にKC1L/Mのノブでyaw, pitch角を大体調整する。上下をz軸、光軸方向をy軸、前後をx軸とすると、yawはx軸周りの回転。pitchはz軸周りの回転になる。フィルターが垂直になるように目やノギスで隙間を測って調整できるなら、この反射光を使った調整は不要なのかも?
-分光器の回折格子を0 cm-1に移動して、測定をフォーカスモードにしておく。調整前は強いレーザー光が分光器に入るので、レーザーを入射側で適当に減光して、レーザーのピークが見える様にしておく。
-yaw角を調整してレーザーピークが最小になるようにする。今の取り付けだとKC1L/Mの上下で1個だけあるノブを回転するとyaw角の調整になる。少なくともND3くらいには減光するはず。しない場合はどこかおかしい。yaw角の傾ける角度は2~3度になる。このyaw角の回転方向は特に決まってない(どちら方向でもよい)。光軸のずれのことを考えると、2枚使う場合は両者で逆回転にした方がいいかも。
-次にpitch角も含めて変えて、最大の減衰になるように調整する。最適なpitch角はyz面から±0.25度以下である。最適な調整がなされたら、ノッチ波長の位置はyaw角の調整だけで変えられる。
-2つ目のフィルターを取り付けて、同様の調整をして、最後両方で最大減衰になるように調整。
-次にpitch角も含めて変えて、最大の減衰になるように調整する。最適なpitch角はyz面から±0.25度以下になるそうだ。最適な調整がなされたら、ノッチ波長の位置はyaw角の調整だけで変えられる。
-2つ目のフィルターを取り付けて、同様の調整をして、最後両方で最大減衰になるように微調整。
**注意
-低波数側にピークが沢山でるのは明らかに調整がおかしい。低周波数にブロードな成分のない物質、例えば石英を測定した場合には(部屋の照明を消しておいて)低周波数側のバックグラウンドは低いはずで、そうなってない時は調整が正しくない。
-調整出来ている場合には、試料部分に何もおかずに空気を測定すると、主に窒素の回転ラマン散乱による沢山のピークが低周波数部分で観察できる。
-フィルターによる吸収のセンターがレーザー光位置からずれている場合はyaw角の調整で変えられる。
-KC1L/Mのノブを無闇に回すよりは、どのノブでどの角度が変わるのかを予習しておくこと(余分なKC1L/Mがあるのでそれを遊んで…)。3つあるノブのうち、対角のものがyaw, pitch方向の回転に対応する。3つ目のネジは最初平行にした後は基本触らない。調整角度範囲を越えて調整したい場合は3つ目のネジをいじる必要がでてくる。
-フィルターによる吸収のセンターがレーザー光ピーク位置とずれている場合はyaw角の調整で変えられる。
-KC1L/Mのノブを無闇に回すよりは、どのノブでどの角度が変わるのかを予習しておくこと(余分なKC1L/Mがあるのでそれで試して…)。3つあるノブのうち、対角のものがyaw, pitch方向の回転に対応する。3つ目のネジは最初平行にした後は基本触らない。調整角度範囲を越えて調整したい場合は3つ目のネジをいじる必要がでてくる。