クレーター底のcoesite の変更点


#author("2024-03-09T11:49:57+09:00","default:masami","masami")
#author("2024-03-09T11:52:16+09:00","default:masami","masami")
*Coesite in Meteor Crater (Arizona) (last updated 2020/03/10) [#fceb84fd]
**隕石孔の砂岩(石英の高圧相) [#z681aa8f]
 ホリミネラロジーで以前買ったMeteor Craterの衝撃変成を受けた砂岩をラマン分光法と粉末X線回折法で調べてみた。もともと砂岩があったところに、鉄隕石(Canyon Diablo)が落ちてきて、衝撃変成を受けているために、砂岩の主鉱物であった石英が一部高圧相に変化していることが古くから研究で知られている。実際、天然のコーサイトとスティショバイトはここで最初に見つかった。
 顕微ラマン分光法では、石英とコーサイトがすぐに検出されたが、さらに高圧相のスティショバイトはカジュアルな測定では見つからなかった。コーサイトは地球内部では60~80 km以深で生じる。ラマンスペクトルを下に示す。一番上には比較のために、合成したコーサイトのスペクトルを示す。よく一致している。
CENTER:&ref(https://www.misasa.okayama-u.ac.jp/~masami/images/Meteor_Crater_sand_Raman.jpg);
-粉末X線回折法では、砂岩の破片を粉砕して測定してみた。石英、コーサイト、および僅かのスティショバイトが検出された。30度付近の小さいピークがスティショバイトの最強
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/Meteor_Crater_sand_Raman.jpg,center,80%)
 粉末X線回折法では、砂岩の破片を粉砕して測定してみた。石英、コーサイト、および僅かのスティショバイトが検出された。30度付近の小さいピークがスティショバイトの最強
線である。以下の図はその三相でRietveld法解析したもの。赤十時が測定強度、青線が解析による計算強度、最下部の線はその差を示す。学生へのRietveld法のデモの1つ(定量分析)として使うために作った。解析結果からは、試料の3/4が石英, 1/4がコーサイトとなり、コーサイト含有量がかなり多いことが分かる。スティショバイトは1.5%くらいでかなり少ない。ラマンで見られなかったのもうなずける。スティショバイトは約300 km以深で出来る。下のピーク位置を示す縦棒は、上から石英、コーサイト、スティショバイト。ついでにQualX2で相同定してみたが、石英、コーサイトは正しく同定された。スティショバイトは少なすぎて自動では同定できなかった。QualX2による定性分析だと、4/5が石英、1/5がコーサイトで、Rietveld法による分析からは少しずれる。Susan Kieffer先生が以前同じ砂岩を沢山調べているが、コーサイトの量は20~30 wt%くらいが一番多いので、それと一致している。
CENTER:&ref(https://www.misasa.okayama-u.ac.jp/~masami/images/Meteor_Crater_sand_pXRD.png);
-粉末X線回折法用の試料ホルダーを回転させながらラマン分光測定して、平均化したラマンスペクトルを得た。ラマンは結晶方位によってピーク強度はかなり異なるので、平均化する必要がある。それで定量すると、コーサイトが約25%となり、上のRietveld法による解析と大体合った。左側が石英、右側がコーサイトのピーク。結構バックグラウンドが高いが、これは蛍光を出す物質が少し砂岩に含まれていて、それを粉末化したため平均的にバックグラウンドが高くなってしまっている。砂岩のままcoesiteのある付近を測定すると、一番上の図のように蛍光は目立たない(もちろん蛍光が強い部分も観察されていて、それは図には出してない)。ラマン測定で粉末化することの問題点ではある。
CENTER:&ref(https://www.misasa.okayama-u.ac.jp/~masami/images/Meteor-Crater-powder-Raman.png);
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/Meteor_Crater_sand_pXRD.png,center,80%)
 粉末X線回折法用の試料ホルダーを回転させながらラマン分光測定して、平均化したラマンスペクトルを得た。ラマンは結晶方位によってピーク強度はかなり異なるので、平均化する必要がある。それで定量すると、コーサイトが約25%となり、上のRietveld法による解析と大体合った。左側が石英、右側がコーサイトのピーク。結構バックグラウンドが高いが、これは蛍光を出す物質が少し砂岩に含まれていて、それを粉末化したため平均的にバックグラウンドが高くなってしまっている。砂岩のままcoesiteのある付近を測定すると、一番上の図のように蛍光は目立たない(もちろん蛍光が強い部分も観察されていて、それは図には出してない)。ラマン測定で粉末化することの問題点ではある。
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/Meteor-Crater-powder-Raman.png,center,80%)