ちょっとした自作 の変更点


#author("2024-09-16T14:16:39+09:00;2024-04-20T11:55:59+09:00","default:masami","masami")
#author("2024-09-22T08:04:50+09:00;2024-04-20T11:55:59+09:00","default:masami","masami")
#norelated
*ちょっとした自作・工作をまとめたページです。最初にインデックスをつけました。 
#contents
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-研究等で使う自作品を掲載してます。最近は展示室で使う予定のものを作ることが多くなってます。ずっと古いものはトップページのリンクから見られます。「秋月」とは秋月電子通商のことです。読みやすいように関連のある一連のトピックスは後でまとめて編集していることがあります。
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**3Dプリンターで作ったもの(2024/07/19)
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/3Dprinter-first_gadzets.png,center,60%)
 最近、3Dプリンター(AnkerMake M5C)を購入したので、それでちょっと作っています。3Dモデルの作成にはFreeCADをMacに入れて使っています。まだ全然使いこなせてませんが。円柱や立方体を組み合わせたりする程度のことは出来るようになってます。モデルを作ったら、stlファイルを書き出して、それをAnkerMake Studioで読んで、スライスします。そしてそれを印刷します。
 左は研究室でよく使うガラスボトルのスタンド。ガラスボトルをそのままデシケータに置くとすぐ倒れてしまうので、アクリルで作ったスタンド(奥のもの)を使っていました。これらはアクリ屋さんで穴も開けてもらったアクリル板と棒を買って、自分で組み立てていたものです。今回はそれを3Dプリンターで作ってみました。特に問題はなかったので、4〜5個作って実際に使っています。これは立方体を薄くして板状にして、そこに円柱を利用して穴を開けます。そして長い円柱で足を4本作って合体させればOK。
 真ん中は実体顕微鏡用の接眼レンズカバー。これも5個くらい作った。顕微鏡ごとにちょっとサイズを変えている。これも円柱と立方体の組み合わせ。
 右はエアリースパイラル観察装置の本体で、以前ソーラボのパーツを使って作成していますが、3Dプリンターでも簡易版を作成してみました。一応ちゃんと使えます。レンズや偏光板は穴にリングで上から押さえるようにしました。
 写真載せるの忘れましたが、ネームプレートも作ってます。
**キネマテックマウント用変位アダプタ作成(2024/06/4)
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/displace-plate.png,right,20%)
 市販のキネマテックマウントに光学パーツを載せた時、ポストのセンターと光学パーツの位置(ミラーや回折格子の表面位置)が一般にはずれているために(10~20 mmくらいずれる)、ポストを回転すると回転だけでなく素子の位置もずれてしまう。それを防ぐために簡単な変位アダプタを作成した。製品もあるがすぐ作れるので…単に黒ポリアセタールの板を適当な大きさにカットして、M4ネジ穴を2個開けるだけの作業。ネジ穴の間隔を調整して、光学素子の表面がポストのセンターになるべく近くなるようにする。間隔が15と19 mmの2個を作成した。前者はミラー、後者は回折格子用。右写真のd15 mmとか書いたテープが貼られている部分が作成したアダプタ。キネマテックマウントを固定して問題なし。
**加熱ステージ作成(2024/04/19)
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/micro_ceramics_heater.png,right,33%)
 顕微ラマン装置で高温測定をするために作成。heating wireを使った方法をこれまで使ってきたが、少し大きめ(1 mm以上)の試料を測る時には使えないので、今回新たに加熱ステージを作成。ヒーターには坂口電熱(秋葉原にある)でかなり前に買ったマイクロセラミックスヒーターMS-1000Rを使った(右の写真)。これは25mm角のセラミックス中にヒーター線とR型熱電対が組み込まれたもので、単体だと1000度まで加熱できるとなっている。ヒーター線は見た目では白金か白金合金のようだ(資料に記述なし)。100 Vかけると1.2 Aくらい流れて、1065度に到達すると資料には書いてある。なのでごく普通の温度コントローラーで直接コントロールできる。手元にはオムロンの温度制御器E5CN-QTを使った自作温度コントローラーがあるので(これも以前別ページにまとめている)、それを今回は使った。このコントローラーはSSRをPIDで制御する。E5CN-QTはプログラム機能は持ってないが、今回の用途には問題ない。内側の線2本が熱電対なので、セラミックスのチューブを使って絶縁し、R型熱電対用のプラグ(緑色)に接続している。R型熱電対用のソケットの方は補償導線に繋いで、温度制御器と接続することにした。補償導線が硬いのでハンドリングがちょっと面倒。外側のヒーター線もセラミックスチューブを使って絶縁し、銅線につないで、温度コントローラーの出力側につなぐ。この状態で250Cでオートチューニングを行って、PID値を求めた。室温近くを除いて、オーバーシュートしなくなった。レスポンスは早くて10秒ほどで設定値に落ち着く。+/-1度くらいで安定。
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/heater_support_pyro.png,right,25%)
 ヒーターをどう保持するかは悩ましい。高圧実験のガスケット用にパイロフィライトのブロックがあったので、そこから板を切り出して(77x77x10 mm厚)、それを加工してヒーター保持に使うことにした。パイロフィライトは柔らかいので加工は簡単。加工の前に600度まで12時間かけてゆっくり加熱して、12時間保持して、室温まで12時間で冷却した。それで割れることはなかった。それから加工して、ヒーター自体が入る窪みと、線のための溝を簡易CNCフライスで作った。右の写真が加工後の様子。ただこれを使ってもパイロフィライトの底の部分は温度結構上がるので、これをそのまま試料ステージには置けない。その下側から冷却することにした。
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/heater_cooling_unit.png,right,25%)
 冷却にはアルミの冷却フィン(100x100x18)を使って、それと同じくらいの大きさのDC12Vのファン(ネジ間隔82 mm)で冷やす。アルミの冷却フィン部分にはファンやパイロフィライトを取り付けるための穴やネジ穴を作る。パイロフィライトにはM5ネジが通る穴(少し大きめ)を開けて、アルミの冷却フィンの方にM5ネジを切って、固定するようにした。ネジ間は50 mm。空気が通すために10 mmくらいファンの下側にスペーサーを入れて、その下に顕微ラマンのXYZステージに固定できるアダプタ(黒色)を接続する。右はそれらを接続した様子。
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/micro_ceramic_heater_stageV1.png,right,25%)
 上記を全て組み立てると右のようになる。この状態で加熱してみた。500度まで加熱して特に問題はなかった。冷却フィンは暖かくなっていて、ファンからの風も暖かい。試料をヒーターの上に直接置くのはよくないので、20 mm直径厚み2 mmの白金円盤(ニラコ)をヒーターの上に置いて、その上に試料を置くことにしている。温度校正のために、NH4NO3, NaNO3とCsNO3を少量白金の上に置いて融かしてみた。熱電対の示す値よりも5~10度程度実際の値が低いことが分かった。また、中央部分の2~3 mmで5度程度の温度の違いがあること、必ずしもセンターが温度高い訳ではないことも判明した(多分ヒーターワイヤーの位置のため?)。
 現在1つだけ未解決問題がある。それは室温23度でも温度コントローラーが28度を示すこと。補償導線の極性や温度制御器のセンサー設定などチェックしたが、どれも間違っていない。現状、これも込みで温度校正するしかなさそう。
 顕微ラマン装置で使う場合は、XYZステージに透過光源用のブロックが付いているので、それを外す(どちらにしろこのステージでは透過観察はできない)。それでもまだ高すぎるので、試料ステージ底のアルミのブロックを30 mm厚から20 mm厚に交換する。これで加熱ステージの上面にフォーカスできるはず。
 現在、ヒーター上側は剥き出し状態なので、エアコンの風の影響を受けそう。カバーを作ったらいいかもしれないが。ヒーター自体は1000度くらいまで持つが、このステージで1000度まで上げられるかどうかはまだ不明。現状600度まで上げて問題なし。
 マニュアル見直して気づいたが、中央に凹みがある側と反対側が使用面だった。逆になっていたので、ひっくり返した。また、昇温時は100 K/min、降温時は200 K/min以下で変化させる必要があった。テスト時はそれより早く温度変えていた…
 その後、600度くらいまでで4点温度校正をしてみたが、ヒーター内熱電対の示す温度(=温度コントローラーの温度)と実際の融点とで5度程度の差が出た。低い温度側では熱電対が示す温度よりも試料位置が数度低く、高い側では逆に数度高い感じになった。室温で既に温度コントローラーの示す温度は数度高かったので低温側はそれの影響かも。
 その後高温ラマン測定に使ったのですが、650度に温度設定するとヒーターが切れてしまいました…温度コントローラーで650度maxに設定していたので、最初それで落ちたと思ったのですが、ヒーター抵抗が非常に高くなってました。
**水晶球のエアリースパイラル観察装置(2024/02/18)
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/Airy_spiral-scope.png,right,25%)
 展示室用に作成した。これはほとんど工作はなくて、販売されているパーツを組み立てたもの。エアリースパイラルスコープは「きらら舎」さんのを既に持っているが、偏光板は回転できない。エアリースパイラルだけでなく、旋光角度も測りたい、1/4波長板を外しての観察もしたいということで今回作成。旋光角度自体は以前旋光計を作ったことがあるが、今回はその時のパーツをベースに作っている。現在展示室に置いている。
 架台にはソーラボのU型ベンチを使用。その両側に偏光板を取り付ける。ソーラボで1インチ径の光学パーツを取り付けられるレンズ筒を売っているので、それに偏光板を固定する。レンズ筒にはSM1ネジが切ってあって、それはU型ベンチに取り付け可能となっている。下側の偏光板はレンズ筒使わないで、U型ベンチに埋め込むことも可能だった。レンズや1/4波長板もレンズ筒を使って取り付ける。レンズはf= 50 mm前後が適当。偏光板の片側は回転マウントに取り付けていて、360度回転ができ、副尺付きで精密な回転も可能なものを使ったが、副尺なしの方が安い。偏光で試料を見る時はこれだけで十分。光源は最初専用のものを考えたが、展示室には偏光実験用にトレース台を置いているので、それを光源として使用することにした。U型ベンチを立てて、点灯したトレース台の上に置くだけ。スマホの真っ白な画面を使うことも可能だったが、スマホ画面のピクセルがちょうどレンズで拡大されて気になる場合がある。
 旋光角度(c軸に垂直に進む直線偏光は回転する)を測る時は光源側の偏光板の前(下)に589 nmバンドパスフィルターを入れる。この場合、c軸に垂直に切った薄い水晶板を使うことを想定。このバンドパスフィルターはナトリウムD線の波長に対応させている。この波長だと水晶板の厚みに対して、21.7度/mmだけ回転する。なので最初水晶板なしで消光角度を読んで、水晶板を下側の偏光板の前に置いて再度消光位置を読んで、その回転方向と差を求める。試料から光源に向かって観察しているとして、偏光板を右(時計方向)に回転して消光した時は右水晶。逆の場合が左水晶になる。ただ、水晶板が厚い(>4 mm)と偏光方向が半回転以上するので、判定が難しくなる。また、水晶球ではこの測定は難しい。
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/Airy_spiral.png,right,25%)
 エアリースパイラルを見る時は、観察者側の偏光板の前(下側)に1/4波長板を入れて、偏光板の後にレンズを入れる(水晶球を拡大するため)。右の写真はこの配置の時のもの。水晶球で焦点が大体合うようにレンズ筒の前にスペーサー用の筒を適当に追加するか取り除く。589 nmバンドパスフィルターは外しておく(付いたままだとモノクロになる)。これで水晶玉を下側の偏光板の上において(実際には偏光板の上にガラス円板を置いて偏光板が傷つかないようにしている)、手で水晶玉を回転して、カラフルなスパイラル(エアリースパイラル)が見える位置を探す。黒いバンドが見えたら、その延長線上を探すとよい。エアリースパイラルが中央に見えるように調整する。渦巻きの向きが中央から外に向かって時計方向に回転しているなら右水晶、逆なら左水晶になる。スパイラルでなく同心円状に見える場合は上側の偏光板を少し回転してみる。スマホで写真を撮る時はレンズを外す方がよい。また、球に周囲風景の映り込みを防ぐ黒いカバーも用意している。右はこれで撮ったエアリースパイラルで、これは右水晶になる。
 水晶球の保持は「きらりビューアー」の時はクリップを自作したが、手で保持するのは面倒なので、黒いポリアセタール板から簡易CNCで筒状のものを削り出して、その上に置くようにした。これが唯一今回工作したもので、水晶球のサイズに合わせて大小2つ作った。これを下側の偏光板の上に置く。これだと水晶球を手で保持する必要がないので、スマホでの撮影などが楽。
 エアリースパイラルが出現する理由については、大場・大橋による「右水晶と左水晶の区別」で詳しく解説されている。また、Mineralogical Society of AmericaでSkalwold and Bassettの"Quartz: A bull's eye on optical activity"にも説明がある(pdfはどちらも自由にダウンロードできる)。後者には水晶板の旋光性をうまく利用したモノクロメーター(古い装置で現在入手困難)の解説もある。共著者のBassett先生はDACによる研究で有名な方。
 偏光板2枚と1/4波長板1枚は、最初はエドモンド・オプテックス・ジャパンのものを使っていたが、それらは本業で使うので、美館イメージングで販売されているもっと安価なシートから25 mm直径の打ち抜きポンチで打ち抜き、それらを現在は使っている。シートの一部しか使ってないので、多量に余ってます。譲渡しますので、必要な方はご連絡ください。
**ワイヤーヒーター用偏光顕微鏡(2023/04/8)
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/microscope-heater.png,right,40%)
 展示室に設置する高温用偏光顕微鏡を試作した。以前似たような顕微鏡を2つ作っているが、それらはアルミ板を加工して、エドモンドで買ったラック・ピニオンに入るアダプターを作っていたが、今回はソーラボのパーツで固定してみた。ワイヤーヒーターは以前微小部X線回折装置で遊んでいたものを流用。ワイヤーが短いので最高温度は600 ºC程度。一応NaNOSUB{SIZE(9){3}}の融解(308 ºC)を観察して問題ないことを確認した。対物レンズはミツトヨの超長作動距離の20倍で、結像レンズは100 mmのアクロマートレンズを使ったので、実際の倍率は10倍。カメラは1Kのもの。透過照明は適当に作った白LEDを使っている。偏光フィルターが2つ入っている。上側の偏光フィルターは回転できる。以前作ったmicro:bitによる自動加熱装置を使っているので、スイッチを押すだけで自動的に加熱・冷却する。
**ペルチェ素子を保持する板(2023/04/02)
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/plate_cooling_stage.png,right,15%)
 作成中の低温ステージで、ペルチェ素子を保持する板。黒ポリアセタールで作成。40x40 mmのペルチェ素子を押さえつける用途に使う。配線を逃す溝も作っている。ポリアセタールは加工しやすいのがよい。バリを取るのが面倒だが。
**ルビー蛍光分光装置の試料台(2023/03/25)
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/blackplate-rubyspectrometer.png,right,20%)
 顕微ルビー蛍光分光法装置の試料台をポリアセタールで作成。透過照明に対応して中央に穴が空いている。また、コの字形のレーザー光遮蔽アクリル板を置くことができるように側面にネジ穴をつけている。おもちゃのNCフライスで加工。
**低温ステージ作成中(2023/01/15)
 最近研究している鉱物で室温以下で転移が予測されたので、低温で測定できるように低温ステージを作成中。感触としては転移は室温に近そうなので、とりあえず0 ºC付近くらいまで下げられるものをペルチェ素子を使って作ることを試みている。実はページの下の方で紹介しているように、放射線を見るための霧箱を作っていて、そこではペルチェ素子を2段重ねて、-30 ºCくらいの低温を実現している。しかし、この場合は単にPC電源を繋いでいるだけで温度制御はできない。今回は温度制御が必要。調べたらマイコンキットドットコムで[[ペルチェ素子用PWM方式温度コントローラキット:https://www.mycomkits.com/SHOP/MK-515.html]]が販売されていたので、それを年末に買って、半田付けして組み立てた。小さいディスプレイが付いており、設定温度、測定温度などが表示される。PID制御が可能である。付属のサーミスターで温度測定できる。出力の極性も変えることができるので、70度くらいまでの加熱も可能でそれも都合がよい。半田付けが問題ないことをよくチェックして、12 V DCのアダプターを繋いで正常動作することを確認した。
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/Peltier-controller-kit.png,right,20%)
 ペルチェ素子は秋月から購入した霧箱用の予備がまだあるが、追加で購入。40x40 mmで8.2アンペアタイプのもの。ただし、キットは最大5 Aまでしか流せない。
 ペルチェ素子をキットに繋いで冷却・加熱ができるかテストするためには、ペルチェ素子をちゃんと冷却しないと素子を壊してしまうので、100x100 mmのアルミの放熱板に50 mmのファンを取り付けたものを作成。バランスが悪いが、ちょうどいいサイズの放熱板がなかったので。重要なのは出力電流は設定できるので、それが5 A以下になるように設定することをテストを始める前にやっておく必要がある。今の場合8.2 A用のペルチェ素子を使っているが、キットは5 Aしか流せない。PMWで999が最大値なので、999*(5/8.2)で600を出力電流制限として設定した。もう1つ重要なのは+電圧を加えたときに使用するペルチェ素子面が加熱する側をキットのプラス側に接続する必要があることで、最初逆だったので室温より低い温度設定で加熱してしまった。すぐ止めて、ペルチェ素子の電線を入れ替えた。
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/cooled_by_fan.png,right,20%)
 これでテストすると、加熱の方は問題なく、70 ºCまで制御できた。低温側は5 ºCまでは到達したが、放熱板が結構熱くなっており、少しづつ温度が上昇(電流は最大まで上がっている)。短時間だと10 ºCは何とか制御できそうだった。なお、室温付近は電源の正負を切り替える関係か、温度制御が多少不安定になる。ファンを82 mmのものに変えてみたが、ほぼ同じ状況。
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/CPUcooler.png,right,15%)
 次にパソコンCPU用の水冷クーラーを持っているので、それを使ってペルチェ素子を冷却してみる。CPU用クーラーはファンと一体になっているものが多くて、霧箱ではそのようなタイプを使っているが、今回の目的(顕微ラマン等用のステージ)には使いづらい。そこで今回使ったのはCorsairのH60で、クーラー部分とファン部分が離れている(水冷ホースで繋がっている)。これだとクーラー部分だけを装置に組み込めばよい。クーラー部分には水流ポンプがあるので、12 V電源が必要。さらにファン側も12 V電源が必要。元々クーラーに付いていたファンがおかしくなったので、同じ大きさのファンと交換している。これはスイッチで3段階の回転速度調整ができるもの。
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/0C_controlled.png,right,20%)
 CPU用の水冷クーラーを使った場合は余裕で0 ºCまで到達したが、5 Aしか流せないことでそれ以下にするのは難しい。とりあえずは室温+50 ºC〜室温ー20 ºCくらいで制御できるようになった。水冷クーラーはまだ余裕がありそうなので、霧箱でやっているようにペルチェ素子を2段重ねにして、上側をキットで制御するようにすれば、さらに低温にできそうであり、今後試してみる予定。ただ、温度が低くなると結露や霜が生じるので(湿度に依存)、乾燥ガスを流すなどの対策が必要になる。
 最初ペルチェ素子を秋月で買った放熱用シートで取り付けていたが、どうもあまり冷却効率がよくない感じ。CPU用のグリースに変えると改善された。熱伝導率で比べると1桁ほど違う。CPU用のグリースの難点は手は汚れること。
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/cooling_stage_20230117.png,right,20%)
 その後、顕微ラマンのステージに組み込んでみた。CPU用のグリースを使った場合は、0 ºCまで余裕で冷却できた。ただ、ペルチェ素子をグリースで取り付けただけなので、温度が高いと測定中に試料が動いてしまう。上から押さえつけて固定することを考えている。また、ペルチェ素子に直接試料を置くのはいやなので、0.1 mmの銅箔を熱伝導のよいシートで接着してその上に試料を置いてテストした。室温付近以外はよく制御できている。
**ルビー蛍光用入射光学系の改造(2022/07/23)
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/ruby_fluorescence-newLaser.png,right,25%)
 以前、[[ルビー蛍光用入射光学系作成]]を行ったが、その時のレーザーは秋月で買ったグリーンレーザーで、出力は1 mW以下であった。普段はこれでも問題なくルビー蛍光を測定できるが、ピストンシリンダーで使う時には高圧下へ導入するファイバーにクラックが多数入ったりしてどうしても強度が弱くなる。そこで、488 nm, 100 mWのレーザーを使うように改造した。レーザーの方が大きいので、光学系は付属品のようになっている。一応同じ板に載せて、一体で移動できるようにしている。これで2桁ほど強度が上がるはずである。
**M5Stackを使った2チャンネルK型熱電対温度モニター (2022/05/26)
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/M5Stack_2TC.png,center,33%)
***M5Stackを使ってコンパクトな温度モニターを作る
 M5Stackを使って2チャンネルのコンパクトな温度モニターを作ることが目的。2点の温度をK型熱電対で測定する必要があって、これまでは多チャンネル切替できるデジタルボルトメーターとPC(Mac)を組み合わせていたが、もっと簡便にコンパクトに出来ないかということでM5Stackを試してみている。M5Stackはワンボードマイコンであるが、ディスプレイ、ボタン、wifi、I/Oなどが最初から付いているので扱いやすい。ソフトはArduinoの開発環境が使える。M5Stackの仲間にはM5StickC Plusがあって、これだとさらにコンパクト。
***ハード部分
 M5Stackには12bitのAD変換が2つあるので、熱電対アンプと組み合わせてもいいが、今回はK型熱電対の温度を測定して、そのデータをI2Cで送ることができる[[K-Meter:https://shop.m5stack.com/products/kmeter-unit-with-thermocouple-temperature-sensor-max31855]]という製品を使った。これは14bit ADCを中に持っており、分解能は0.25 SUP{SIZE(9){o}}C、精度は±2%、-200 ~ 1350 SUP{SIZE(9){o}}Cまで測定できる。なお付属品の熱電対は250 SUP{SIZE(9){o}}Cまでしか持たない。I2CはM5StackのGrove端子を使ってデータを読めるようになっている。ただし1つだけ問題があってK-Meterはアドレスが固定(0x66)で変更不可なので、2つ使う場合はそのままではデータを読めない。この問題を解決する[[PaHUB:https://shop.m5stack.com/products/pahub-unit]]という製品があって、それ自体別のアドレスを持っていて、中でチャンネルを切り替えることで同じI2Cアドレスでも複数のデバイスを使えるようにできる。なので、今回はK-Meter2個とPaHUBを使ってみる。どれも初めて使う。K-Meter、PaHUB、M5Stack間はGroveケーブルで繋げる。Groveは4線からなるケーブルである(電源、グラウンド、通信用の2線)。ケーブルを別途購入もしたが、K-Meter、PaHUBそれぞれに1個ついてくるので別途買う必要はなかった…
***まずはK-Meter1個の温度を読む
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/K-meter.png,right,33%)
 K-Meterの実物を右に示している。1個の場合はgroveケーブルでM5Stackと直接繋ぐだけ。githubにK-Meterの[[ライブラリー:https://github.com/m5stack/UNIT_KMeter]]があるので、それをzip形式でダウンロードして、Arduino IDEのスケッチメニューのライブラリーのインクルードからzipファイルを指定する。これでライブラリーが使えるようになった。スケッチ例2つがついてくるので、スケッチ例からUNIT_KMeterを選んで、simpleの方を読み込む。M5StackとK-MeterをGroveケーブルで繋いで、コンパイルすれば、温度が画面に表示されるはずである。この例ではM5GFX.hをインクルードしているが、display.*のところをM5.Lcd.*に書き換えればM5Stick.hでも動く。もう1つのgraphはデータをグラフで示すプログラム。とりあえずK-Meter1個では問題なく温度を取り込むことができた。室温を測ってみると、0.25 SUP{SIZE(9){o}}Cくらい変動しているが、これは仕様通り。また、温度が2SUP{SIZE(9){o}}Cほど高めに出ている。熱電対なので室温程度では起電力が低いのでこの程度は仕方ない。熱電対は室温や体温測定には向かない。私のしたい測定は室温から最高800 SUP{SIZE(9){o}}Cくらいの温度測定で精度は1SUP{SIZE(9){o}}程度あればよい。
***PaHUBを使って2つの温度を読む
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/PaHUB.png,right,33%)
 PaHUBの実物を右に示している。PaHUBを使うにはライブラリーが必要である。Arduino開発環境のライブラリ管理でTCA9548Aで検索する。5つくらい出てくる。なおTCA9548AはPaHUBに入っているICチップの名前。ClosedCube TCA9548AとTCA9548A(Jonathan Dempseyさん作)の2つをインストールした。スケッチ例からClosedCube TCA9548Aのサンプルコードをまず使ってみる。これは各チャンネルをモニターして何が繋がっているか、そのアドレスを示してくれる。PaHUBには6個チャンネルがあるが、実際に動かしてみると、CH0にK-Meterからのケーブルを繋いでも何も起きないが、それ以外のチャンネルにケーブルを繋ぐとK-Meterのアドレスである0x66が表示される。CH0が認識しないのは正常なのかどうかよく分からなかった。しかしそれ以外のチャンネルではうまく動いていることがわかった。ClosedCubeライブラリには問題があるそうなので、測定用のプログラムはTCA9548Aライブラリーの方を使った。スケッチ例でTCA9548Aを選ぶと3つ例があって、それらを読むと、基本はチャンネルをまず選んで、そこでK-Meterのデータを普通に読むプログラムを入れるだけで良いことが分かった。それで適当にプログラムして、2つのK-Meterからの温度を読めるようになった。トップの写真はそのようにして2つのK-Meterからの温度を読んで、M5Stackに表示しているところ。2つで1SUP{SIZE(9){o}}ほどずれている。また実室温より1-2 SUP{SIZE(9){o}}C程度高く出ている。0.25 SUP{SIZE(9){o}}Cくらいフラつくが、これは分解能がそもそも0.25 SUP{SIZE(9){o}}Cなので仕方ない。とりあえず2点の温度を取得して表示できるようになった。また、熱電対を入れ替えても、温度差が入れ替わらないので、温度の違いはK-meter由来と思われる。
 その後気づいたが、M5Stackの電源をMacBook Airから取っている場合のみ測定温度の変動が大きかった。M5Stackの内臓バッテリーで動かすと変動は0.1SUP{SIZE(9){o}}以下。MacBook Air自体も電源に繋がず、バッテリー動作にすると変動はやはり少ない。電源ノイズを拾ってしまうのかも。
 今回作成したプログラムの基本部分を以下に示す。CH1とCH2を使っていて、CH1をまずオープンしてgetTemperatureで温度データを取得。0.5秒待って、CH1をクローズして、CH2で同様に温度を取り込む。現在はさらに日時をNTPサーバーから読んで表示できるようにしている。今後温度変化をグラフで示せるようにすることと、ボタンを押すことでデータをファイルに保存するようにプログラムする予定。
 #include <M5Stack.h>
 #include <TCA9548A.h>
 #include <UNIT_KMeter.h>
 
 UNIT_KMeter sensor;
 TCA9548A I2CMux;                  // Address can be passed into the constructor
 
 void setup() {
   M5.begin();
   I2CMux.begin(Wire);             // Wire instance is passed to the library
   I2CMux.closeAll();              // Set a base state which we know (also the default state on power on)
 
   sensor.begin();
   M5.Lcd.fillScreen(BLACK);
   M5.Lcd.setTextColor(ORANGE,BLACK);
 }
 
 void loop() 
 {
   I2CMux.openChannel(1);    // channel 1 open
   M5.Lcd.setCursor(10,60);
   M5.Lcd.setTextFont(4);
   M5.Lcd.setTextSize(2);
   M5.Lcd.print("TC1: ");
   float temperature = sensor.getTemperature();
   M5.Lcd.setTextFont(7);
   M5.Lcd.setTextSize(1);
   M5.Lcd.printf("%4.1f",temperature);
   I2CMux.closeChannel(1);    // channel 1 close
   
   delay(500);
   
   I2CMux.openChannel(2);    // channel 2 open
   M5.Lcd.setCursor(10,140);
   M5.Lcd.setTextFont(4);
   M5.Lcd.setTextSize(2);
   M5.Lcd.print("TC2: ");
   M5.Lcd.setTextFont(7);
   M5.Lcd.setTextSize(1);
   temperature = sensor.getTemperature();
   M5.Lcd.printf("%4.1f",temperature);
   I2CMux.closeChannel(2);    // channel 2 close
 }
**COSUB{SIZE(9){2}}モニター作成(2022/05/20)
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/CO2_sensor.png,right,20%)
 M5StickC PlusとCOSUB{SIZE(9){2}}センサーMH-Z19Cを使って、COSUB{SIZE(9){2}}モニターを作った。ハード的にはセンサーとM5StickC Plusを4つの電線で繋ぐだけ。Arduino IDEでソフトを作成した。と言っても人のライブラリーを使っているだけ。COSUB{SIZE(9){2}}濃度の最高値、最小値を示すようにした。表示する値はそれらしく(外気だと400 ppmくらいになる)、安定している。一度会議で使ってみた。M5StickC Plus本体のバッテリーだとそんなに持たない。会議が長い場合はバッテリーか、PCに接続しておく必要がある。
 現在、居室に置いて使っている。部屋を閉めていると500-600 ppmになる。エアコンに換気機能があるが、それを使っても全然変化しなかった。窓を少し開けると400 ppmくらいに落ちるので、窓を少し開けるようにしている。現在1つだけ問題があって、プログラムをダウンロードして使う分には問題ないが、電源OFFにしてから起動すると表示が-1になってしまう。これは未解決。
***HATキットを使う(2022/06/17)
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/CO2_HAT.png,right,30%)
 上記は直接はんだ付けしただけで不細工なので、MH-Z19C用に売っているHATキットを買ってみた。これはSwitchScienceさんで扱っている「きっと何かの役立つでしょ!?」さんの委託商品。センサーを内蔵でき、センサーと繋げる基板が付属している。はんだ付け不要。基板をよく見るとポートとしてはG0とG26/(G36/G25)を使っており、後者はジャンパーピンで選択可能。私のこれまで使っていたポート(G26とG36/G25)とは違っているので、プログラムがそのままは動かず、少し変更する必要があった。基板上でジャンパーピンでG26を選んで、ポートの指定を以下のように変えたら使えた。G36を使う場合は、G25をフロートしておく必要がある。
 rx_pin = 26;
 tx_pin = 0;
**ワイヤーヒーターでの自動加熱(2022/05/02)
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/auto-wire-heater-unit.png,right,33%)
 ワイヤーヒーターを使った展示用に自動的に加熱できるようなユニットをmicro:bitを使って作った。ワイヤーヒーターの加熱に使っているケンウッド(現在はテクシオ)のDC電源PU8-90は、外部から制御用の電圧を与えることで出力を制御できる。それを利用してmicro:bitの10 bitのDA変換でその電圧を与えて、単純な加熱・ホールド・冷却をできるようにプログラムした。また、外部スイッチボックスを作って、そのプログラムを開始や中止できるようにした。[[ワイヤーヒーター]]にもちょっと前の状況が書いてある(スイッチボックスを付ける前)。M5Stackを使うこともできるが、DA変換が8 bitなので今回はmicro:bitを使った。
**Player One CMOSカメラを三脚に固定できるように(2022/04/19)
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/Player_One_Cmount.png,right,25%)
 Player OneのCMOSカメラNeptune-C IIはカメラネジが背面にあるため、そのままでは三脚に固定しづらい(天頂撮影にはいいが)。固定できるように、市販のL金具を適当に工作した。テスト目的なので。カメラは背面にカメラネジがあるので、それを利用する(L金具にカメラネジが入る穴を開ける)。L金具の別の面にはカメラネジを切って、雲台に固定できるようにしただけ。Neptune-C IIはM42のメスネジがついているので、Cマウントのレンズを固定するために、ソーラボのM42オス/SM1メスとSM1オス/Cマウントメスの2つのアダプタを使った。さらに焦点を調整するために、1 mm程度の板をカメラ側につけてアダプタを少し浮かせている。これで一応三脚に乗せて撮れるようになった。
**砂箱プロジェクター用の取付板(2022/02/04)
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp//images/projector-plate.png,right,20%)
 AR砂箱で使っているプロジェクターを装置に取り付けるためのプレート(黒い板)を少し改良した。以前はプロジェクター底面の空気穴を一部塞いでいたので、それを今回解消した。これが原因かどうか分からないが、最初のプロジェクターは2年ほどで故障した(垂直に取付けるとかメーカー推奨の使い方ではないことに原因あるかもしれないが)。取付ネジも増やした。AR砂箱はしばらく貸していたので、それが戻ってきた機会に行った。
**顕微ルビー蛍光分光法装置作成(2022/02/03)
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/newRubyspectrometer.png,right,30%)
 圧力測定用の顕微ルビー蛍光分光法装置を作成しました。DACの圧力測定用です。ごちゃごちゃしてますが、ルビー蛍光を測定する場合は、手前側の部分だけを使います。ルビー蛍光は顕微ラマン分光法装置で測れるので別途いらないように思いますが、我々のところではラマンの検出器が液体窒素冷却仕様のために、測定時にはまず液体窒素をまず外のタンクから汲んできて、それをCCDデュアーに入れて、1時間ほど冷却を待つ必要があります。ラマンでその場高圧測定する場合にはこれで全然問題ないのですが、X線回折用途や光学観察のみでラマン測定をしない場合には時間がかかって不便ですし、建物も別になります。その不便軽減のために今回作成しました。もっともほとんどの部分は簡易顕微ラマン分光装置として以前から作っていたものを利用してます。主にソーラボのパーツ+エドモンドオプティクスの光学パーツで作ってます。
 今回の装置では検出部分は2通り選べます。光ファイバーの接続先によって変更できます。1つは以前自作したLittrow分光器が使えます。これは冷却不要なので直ちに測定ができます。もう1つでは、古い冷却CCD+Acton分光器も使えます。こちらだとラマン測定も可能です。レーザーも2系統利用可能で、ルビー蛍光測定では安価な秋月緑レーザー(< 1 mW)で十分です。ラマンの場合は100 mWの固体レーザー532 nmが使えます。校正にはNeランプとHg-Arランプを用意してます。PCにはfitykをインストールしているので、測定した校正スペクトルやルビースペクトルからピーク位置をフィットすることができます。校正自体は測定ソフトの方で可能となってます(3次多項式近似のみ)。Littrow分光器の測定データ(csv)はfitykでは直接読めないので、それをfitykで読めるテキストファイルに変換するアプリ(Xojoで作成、csvファイルをdrag&dropで変換できる)、ルビーの波長から圧力を計算するアプリ(これもXojoで作成)も準備しました。共同利用でも利用できます。
 Littrow分光器自体はピストンシリンダーの圧力測定にも使ったものです。[[Littrow型分光器の製作]]にも書いてます。
 他の特徴として、顕微鏡部分は2つのポストで支持されているだけなので、固定クランプを緩めると上下方向に大きく移動させることができます。大きなDACなどにも対応できます。
**ミラーの水平微動機構(2022/01/12)
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/mirror_mount.png,right,14%)
 キネマティックマウントに乗ったミラーを水平方向に微動させることができるように、底部にX軸ステージを組み込んだ。実際にやったことは、X軸ステージの上下用のアダプタを作って、ソーラボのパーツが取り付けられるようにしたこと。アダプタは黒のポリアセタール板を加工している。キネマティックマウントに乗ってない場合はソーラボのヘリコイドとかケージ用の移動機構が使えるが、この場合はそれらは使えないので、自作する必要があった。X軸ステージは中古のもので、マイクロメーターの取り付け部が歪んでいるが、移動するだけの目的なので(測定ではないので)支障ない。
**micro:bitを使った行先表示(2021/06/13)
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/microbit-destination-indicator.png,right,20%)
 これは簡単な工作。可変抵抗をmicro:bit(右上の小さいボード)につなげただけのもの。居室の前に取り付けておいて、私の行先を表示する。micro:bitは前面に小さいLEDが5x5あって、文字は電光掲示板のように流れて表示することができる。これまではmicro:bit本体のスイッチ類を利用して数種の行先表示を変えるようにしていたが、今回は黒い箱につけた可変抵抗を回転することで、8つの行先から表示を選べるようにした。micro:bit本体に10 bitのAD変換機能があるので、可変抵抗の両端の抵抗にmicro:bitからもらった電圧をかけて、可変抵抗の中央端子に生じた電圧(回転角度で変わる)をmicro:bitのDA変換端子から読んでいる。micro:bitの電源はUSBケーブルで取っている。しかし文字が流れるので意味を取るためにはしばらく見ている必要がある。
**micro:bitを使ったサーボモーターのコントローラー作製(2021/04/05)
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/rotary-ND-filter.png,right,20%)
 micro:bitを使ってサーボモーターのコントローラを作製した。これで行いたいことは、サーボモーターに取り付けた回転式NDフィルターを、1)マニュアルモード時は可変抵抗によって自由に回転させることができること、2)PC制御モードの時はON/OFF信号で、2つの角度(最大吸収と最小吸収位置)を移動すること。この回転NDフィルターはエドモンドで買ったもので、右に示している。フィルターはサーボモーターに既にマウントされていて、下側はソーラボのポストを使っている。これで顕微ラマン装置のレーザーのON/OFF目的で使っている(実際には最大吸収位置でも少しはレーザー光が漏れてくるが、顕微鏡画像でレーザースポットが分かる利点もある)。これまでは秋月で買ったサーボモーター用コントローラ基板を使って制御しているが(作ったのは14年前だった)、これを更新した。今回は最近ちょっと遊んでいるmicro:bitを使って、コントローラーにすることにした。micro:bitはサーボモーター制御信号を出す部分が関数として用意されているので、プログラムからは関数に角度かマイクロ秒を指定するだけで、簡単に回転する。プログラムにはブロックエディタ、Javascript, Pythonが使える。外付け回路もいらない。ただし、micro:bitは3.3 V駆動なので、サーボモーター用に5 V電源を用意していて、そこから秋月で買った昇降圧スイッチング電源モジュールを使って3.3 Vを作り、micro:bitに供給するようにした。小さいサーボモーターは3.3 Vでも何とか回るが、私の使いたいサーボモーターは回らなかった。電源モジュール、プルアップ抵抗等の回路を組む必要があったが、使ったブレークアウトボードに自由に使える配線エリアがちょっとだけではあるが用意はされていたので、それをうまく使えた。
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/MicroBit-servo-controller.png,right,20%)
 回路的には問題なさそうなので、ボックス内に全て収められるように、ボックス側を加工した。大きめのボックスなので、上側に余裕があってUSBコードが何とかそのままでつなげるので、プログラムを書き込む時にmicro:bitをいちいち外さなくても済む。念の為、プログラムをダウンロードする時は5 V電源を外している。プログラムは簡単で、マニュアルスイッチがONの時は、可変抵抗部分からの電圧(0~1023)を読んで、その電圧に応じてサーボモーターを回転させる。マニュアルスイッチがOFFの時は、PCからの信号のON/OFFでサーボモーターを決まった2つの位置へ移動させる。プログラムも完成して、一応問題なく動作した。プログラムはブロックエディタで少し作っておいて、それをPythonに変換して、Pythonで最後手直しした。
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/MicroBit-NDfilter-controller-box.png,right,15%)
 仕上げに顕微ラマン分光装置のある部屋に持っていって、PCに接続したデジタル入出力IFから出ているケーブルと繋げて、回転位置の微調整を行った。顕微ラマン分光装置用のPC上から制御できて、レーザーのON/OFFができた。外見はこんな感じ。micro:bit本体についてくるシールを貼っておいた。
 Obnizも持っているので、それでも全く同じことができる。ただ、ObnizはWi-Fiが必須なのだが、使用したい部屋はWi-Fi環境が良くないのでmicro:bitを選択した。
**トライアック調光器キット作成(2021/3/11)
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/triac_controller.png,right,30%)
 カートリッジヒーターを加熱する時のコントローラとして、秋月のトライアック調光器キットを買って作った。温度制御までする必要はないので、出力を適当に調整できるだけでよい。そういう用途にはピッタリ。キット部分は基板にパーツを半田付けするだけ。RSで買ったケースの前面、後面に、可変抵抗、ヒューズ、出力用ACコネクタなどの穴を開けて、キット基板をケース底に固定。そして配線した。最初、可変抵抗への配線が逆だったが、それは直してなんとか完成。白熱電球をつないでテストするのが定番だが、もはやその辺りに転がってないので、テストできそうなものを探す(最初からヒーターに繋いで壊したくはないので)。コーヒーミルがあったので、繋いで、モーターの回転数が可変抵抗で変わることを確認した。その後、カートリッジヒーター(100 V, 200 W max)にも繋いで、ちゃんと加熱、制御できることも確認した。
**チューナブルバンドパスフィルターの改造(2021/2/27)
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/geared-pulse-motor.png,right,30%)
***ステッピングモーターのテスト(2021/2/2)
 以前作ったチューナブルバンドパスフィルターを回転させるサーボモーターが静止時に少しフラフラすることと、角度制御をもう少し精度良くしたいので、ステッピングモーターに変更しようと計画。オリジナルマインドで買った中古のオリエンタルモーター製のギア付きステッピングモーター、そのドライバー基板、それとマニュアルのパルス発生器(これは以前別途買っていたもの)、秋月で買った5 Vと24 VのDC電源アダプタを繋いでテストしてみた。5 Vはパルス発生器で使っている。2式あるが、どちらも問題なく動いた。減速比が20で、ハーフステップだと0.018度/1パルスで、サーボモーターよりも回転位置の精度が1桁上がるはず。また当然フラフラはしない。制御用のパルスはPCからI/Oユニット経由で送って、制御する予定。
***ステッピングモーターの制御テスト(2021/2/5)
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/dual_stepmotors.png,right,30%)
 続いて元々のサーボモーターの制御でも使っていたCONTECのDAQユニットを使って、PCからステッピングモーターを制御してみた。サーボの時はDA変換を使って電圧を変えて角度を制御していたが、今回はdigital output4ポート分を使って2つのモーターに時計方向、逆時計方向回転のパルスを送る。最初、テストで使ったデモプログラムでdigitalのoutputがうまくいかない。 ネットで調べると、提供されているデモプログラムではdigital outputは動かないことが判明。最初にポートで出力できるようにソフトで設定しないといけない。Visual Studio 2015(大学のライセンスがあったので使っている)でデモプログラムを書き直して、2つのステッピングモーターが回転できるようになった。
***ステッピングモーター用の取り付けボード加工(2021/2/07)
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/stepmotor_board.png,right,25%)
 2つのステッピングモーターを取り付けるボードを作った。オリジナルマインドで買った黒いポリアセタール板を簡易NCフライスで加工した。モーターの軸が入る穴とモーターを固定する穴、さらにボード自体を光学系に取り付けるためのM4ネジ穴を開けた。モーター取り付けネジとM4ネジで光学系への固定で使うパーツが干渉する可能性をチェックするのを忘れていたが、うまいことに干渉しなかった。写真はとりあえずモーターを取り付けたところ。その後、ケージに取り付けたが、フィルターを取り付ける部分で、モーター軸とフィルター保持部分のアダプターが必要で、それもこれから作らないといけない。
***アダプター作製(2021/2/11)
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/tbpf_20210211.png,right,25%)
 モーター軸とフィルター保持部分を繋ぐアダプターを真鍮で作製して、取り付け。さらにモーター回転の原点を設定するためにリミットスイッチを取り付けた。リミットスイッチはソーラボの穴なしケージボードを4つにカットして、そのうち2つにリミットスイッチを取り付けた。そのためケージの棒に固定でき、横にスライドしてスイッチの位置調整ができる。リミットスイッチの配線とフィルター自体の取り付けがまだだが、チューナブルフィルターの改造のハード部分がほぼ完成。
***モータードライバー用のケース加工(2021/2/27)
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/motor_board_case.png,right,20%)
 ステッピングモータードライバー基板2個を収納できるようにアルミケースを買って、基板固定用の穴、DCプラグ、トグルスイッチ、配線用の穴を開けた。フライスにうまく固定できないので、一部の穴はドリル穴開けとヤスリ加工。基板は横に並べてギリギリ入った。これで電源とモーターからのコネクターを繋げば動くはず。
***完成(2021/2/27)
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/tbpf_20210217_test_plot.png,right,30%)
 光の入射角度で吸収のエッジ位置が変わるショートパスフィルターとロングパスフィルター(Semrock製)を取り付けた。ブロードな光源を使って、エッジ位置と角度(パルス)の関係を校正した。それを元に波長を指定するとその位置にモーターが動いて、~2 nmバンド幅のバンドパスフィルターとして働くようにした。右図は500から550 nmへ10 nm毎移動させて測定したもの。高さが異なるのは光源の強度分布のせい。バンド幅はもう少し狭くできるが、1.5 nmくらいが限度のよう。毎回リミットスイッチで止めてから(原点復帰)、任意の角度へ移動させている。アソビを取るためで再現性はまあ良いが、たまに少しズレることがある。もちろんサーボモーターとは違ってフラフラしない。このフィルター対の場合は原理的には495 ~ 565 nmくらいが調整できる範囲であるが、実際的には500 ~ 550 nmくらいで使う予定。
 最近いくつかのメーカーから似た仕様のチューナブルフィルターが市販されるようになってきた…
**対称DACのラマン用ホルダー改良(2020/12/27)
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/SymDAC-adaptor202012.png,right,20%)
 対称DACを顕微ラマンの光学系の試料位置に置くときのアルミのアダプター。以前作ったものは2 mm凹んだところにDACを置くようにしていたが、圧力を変える時などで取り外す時に少し浮かせる必要があって、対物レンズと干渉しそうになる。そこで、手前側をフライスで削って、横に滑らすだけで設置、取り外しできるように改良した。今回削ったところは手前側の筋になっている部分。上に乗っているのが対称DAC。実際に使ってみて便利だった。
**紫外LED照明(2020/12/13)
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/UV-LED.png,right,30%)
 前にUVエポキシ接着剤の硬化のために、その目的用のUV LED照明をアズワンのカタログから買おうとしたら、既に扱っていなかった。業者に代わりにネール用のLED照明を提案されたのだが、それだと小さすぎるし、会計から変な目で見られそう。
以前買っておいた秋月の「UVLEDライト製作キット」があったことを思い出した。波長は375 nmである。これを使うことにした。キットには電池ケースが付いてくるが、DC電源6 Vアダプタを使うように変更した。UVエポキシ接着剤の硬化に使う。カメラで写すと紫外線がカットされているためか白LEDにしか見えないが、ルビーのカケラに当てたら赤くなった。試した時は紫外線カットのメガネをかけているが、以前鉱物用の蛍光ボックスで使った紫外用アクリル板が余っているので、照射用専用ボックスを作る予定。
 その後、UVエポキシ接着剤で実際にテストしてみた。UVLEDなしで5分放置では液体状のまま、UVLED点灯で5分後見たら完全に固まっていた。実用上問題なさそう。
**霧箱の作成(2020/10/22)
 これも展示室用で放射線を観察できる霧箱を作成した。
***霧箱のパーツ(2020/10/02)
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/cloud_chamber_base.png,right,25%)
 ペルチェ素子を使って冷却するタイプの(放射線を見るための)霧箱を考えていて、そのベースの部分を簡易NCフライスでオリジナルマインドで買ったポリアセタール板(POM)を削って作った。中央の白い四角はペルチェ素子。使う時はもう1個重ねて十分な冷却を得る。見えてる面は下側で、下側の素子の下にはCPU用クーラーが取り付けられる。
***霧箱の本体組み立てと冷却テスト(2020/10/13)
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/cloud_chamber201013.png,right,30%)
 電源配線用パーツが届いたので、ペルチェ素子を2枚重ねて、さらにそれをCPUクーラーに取り付けて、配線を行った。PC電源に繋いでみる。温度を測るために赤外線温度計を使ったが、この温度計は低い方が-30度までとなっている。測定してみると-32度くらいで、時々温度が測定不能になる。今日は最近では珍しく室温が28度くらいはあったが、冷却は霧箱には十分な感じ。この霧箱の冷却装置は、大阪府立大学の放射線研究センターの秋吉先生が制作方法を公開されていて、それをベースに作ってます。完成品を安く販売もされてます。
***霧箱の完成と観察テスト(2020/10/15)
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/cloud_chamber201015.png,right,30%)
 ペルチェ素子を黒く塗装し、上側の透明蓋部分(アルコールを含ませるスポンジとLED照明を取り付けた)も作り、全体を組み上げた(左側の写真)。ランタン用マントルの切れ端を置いて観察する。結構よく見える。スマホで写した動画をアップした(3.3 MB)。マントルは結構繊維がほどけたりして細かいゴミが出るので、ピッチブレンドを買ってみた。キュリー夫妻がラジウムを取り出すために大量に処理した時に使ったものと同じ産地のもの。そのカケラを使ってもアルファ線がよく出るので、今はそちらを使っている。粉とか出ないのでより安全と思われる。
LEFT:&ref(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/cloud_chamber201022.mov);~
 最初はすごくよく見えるのだが、数分すると見づらくなる。理由は特定できてないが、ピッチブレンドの表面にアルコールが凝縮してしまい、アルファ線を吸収してしまうためかもしれない。常時電源オンで展示するには難しいので、見学者が来た時に対応する。数分で見られるので問題ではないが、私がいないとダメ。
 その後、霧箱と関連して、スピンサリオスコープを使った展示も考えたが、あまり光らずに挫折している。スピンサリオスコープは放射線による蛍光物質が光るのをルーペで拡大する装置で、普通は真っ暗な部屋を用意する必要がある。それを天文用のカメラを使って誰でも見えるようにしようとしたが、あまり光らず。放射線源の問題かもしれないが、あまり強い放射線源を用意するのもどうかと躊躇している。
***霧箱の高電圧回路(2020/10/21) 
 雑イオンを除くための高電圧回路を作った。秋月で買った冷陰極管用インバータ回路(上の細い基板)と2段のコッククロフト・ウォルトン回路(下のユニバーサル基板)の組み合わせでDC12 V入力で2 kV出るはず。タカチのケースに入れた。しかし測定すると電圧は800 Vくらいで予想より低い。最も本当に2 kVだと手持ちのデジタルマルチメーターでは測れない。高電圧プローブとそれが使えるマルチメーターを買わないとテストもできない。
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/highVunit201011.png,right,30%)
 この雑イオンを除くための高電圧回路の電圧が予想より低かったので、イカリング用のインバータを入手して、作り直した。これはDC12 V入力で交流900 V出る。それをコッククロフト・ウォルトン回路で倍増する。マルチメーター用の高圧プローブも手に入れて、最後の出力電圧(DC)が何とか測れるようになった。2.8 kV出ているようだ。ちょっと計算が合わない気がするが。高圧側のマイナスを最初DC電源のグランドにしたらうまくいかなかったので、インバータ出力の片側からとったら高電圧が生じた。出力端子を近づけると放電する。しかし、これがなくてもどんな天気でも良く見えるので、結局全く使っていない…
**レバーDAC用顕微鏡の作製(2020/09/24)
 これも展示室用に作製した。普段は氷VIと水の共存条件(1 GPa)にしておいて、それをディスプレイで見られるようにする。デモなどの時は圧力を変えて、高圧氷の融解、結晶化を見せる。
***DAC用顕微鏡カメラの作製1(2020/08/25)
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/microscope202008.png,right,20%)
 顕微鏡部をとりあえずストックパーツから試作。架台部分は別の簡易CCD顕微鏡カメラのものを流用。そのカメラ自体は作動距離が足りないので今回の目的には使えず、顕微鏡部分を外して、ミツトヨの超長作動距離の対物レンズとf=100 mmの結像レンズを使って構成した。ミツトヨの無限光学系は本来f = 200 mmを使うのだけど、それだと鏡筒が長くなりすぎるので、半分にした。倍率も半分になる。今回は透過光で使う予定で、落射照明部分を作る必要がないのでシンプルになる。うまいことに、元のカメラを架台に取り付けるネジがM4(2本)で、ソーラボのケージプレート(M仕様)の取り付けネジと一致したので、ケージプレート2枚をレンズ筒の間に挟んで、顕微鏡部分を架台に固定できた。付いているUSBカメラはテスト用で、HDカメラに取り変える予定。カメラはCマウントで、ソーラボの変換リングでつなぐ。ミツトヨの対物レンズは本当はネジの規格が同じではないが、非常に近いのでソーラボのSM1ネジにねじ込める。
 しかしその後、倍率をx20にしてHDカメラも取り付けたところ、振動が気になった。そのため、この架台は止めて、もっとしっかりした架台に変えることにした。
***アルミアダプター(2020/09/01) 
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/Al-adapter202009.png,right,20%)
 40 mmのXYステージと古いレバー式DACを接続するためのアルミのアダプターを作成した。M3ネジ用の穴4つとM5ネジ穴2つを簡易CNCで加工した。そしてM5ネジを切った。カットされたアルミ板はオリジナルマインドで購入。M3ネジ用穴のクリアランスがちょっと小さすぎたので、ネジ止めに少し苦労した。
***DAC用顕微鏡カメラの作製2(2020/09/6)
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/LeverDAC_microscope.png,right,25%)
 少し前に作った顕微鏡カメラの架台が揺れに弱いので、エドモンドオプティクスで売っている架台を使って作り直した。アルミの自作アダプターで架台とソーラボパーツで作った顕微鏡部分を接続している。自作アダプターにはソーラボのケージプレートをM6ネジで止めている。このケージプレートのSM1内ネジを使って、下側には対物レンズを取り付け、上側にはレンズ筒をねじ込んでいる。対物レンズはミツトヨのx20超長作動距離のもの。ただし結像レンズとしてf = 100 mmを使っているので、実際の倍率は10倍になる。付いているUSBカメラはHayearのHDカメラ。カメラはCマウントで、ソーラボの変換リングで繋いでいる。焦点はラックピニオンで合わせる。
 こういう光学系で、焦点を少し調整したい、カメラ向きを回転したい時には、SM1内ネジのレンズ筒2つを繋ぐ、長めのオスネジで固定用のリングが2つセットになったパーツがあるので、これを利用すると便利。どれだけねじ込むかで焦点調整ができる。カメラの向きも同じく調整できる。調整できたら固定用リングで絞めて回転しないようにする。
 観察するのは古いレバー式DAC中の試料(主には高圧氷VIの予定)で、こちらもアルミとポリアセタールの2枚の自作アダプターでXYステージ、DACを黒ポリアセタール板に固定している。XYステージで試料のXY位置微調整ができる。このレバー式DACは、最初にDACを開発したNBSの科学者が作った会社High Pressure Opticsから30年以上前に買ったもの。黒い輪っかの部分を回すと、レバーの左側を引いて、もう一方の端のDAC側に圧力がかかる。今はダイヤモンドとその取り付け部分がまだ入っていない状態。透過光源はまだ適当なものを用意していなくて、とりあえず置いているのは別の製品についてきた小型白色LED照明である。
***真ちゅうガスケット(2020/09/11)
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/brass-gasket.png,right,35%)
 展示室で高圧氷を見せるためのダイヤモンドアンビルセル用のガスケットを作った。普通は硬いスチール等でガスケットを作っているが(インデンテーションしてから穴を開ける)、2 GPaくらいまでなら、真ちゅう(ブラス)に穴を開けるだけでも使える。真ちゅうくらいなら簡易型のNCフライスでも加工できそうなので、自分でいくつか作ってみた。真ちゅうはニラコで買った0.2 mm厚板を使っている。0.4 mm直径のボールエンドミルを使った。中央の穴は直径0.4 mmでキュレット径1 mmにダイヤで使う。ガスケット周囲を直径5.4 mmの円形になるように削っている。ただ、フライスの精度がよくなく、バックラッシュもうまく取れなかったので、完全な円からはズレているが、十分使えそう。外径を5.4 mmの円形にするのは、ガスケットガイドの内径がちょうどその大きさのため。理想的にはガスケットをガイドに置くだけでセンターリングができるようしたいのだが、実際はズレるのが今の課題。
#image(https:/mkanzaki.sakura.ne.jp/images/iceVI-water.png,right,20%)
 (2020/09/14)このガスケットの中で良いもの(センターがよく合うもの)を選んで、試料なしで一度軽く加圧した後で、水を入れて、高圧氷を作ってみる。2 GPa近くまで加圧したらVII相が出てきたので、圧力を下げる。途中VI相が再結晶化して10数個の結晶になった。さらに圧力を下げるとVI相が融け始めた。VIと水の共存状態で約 1GPa(室温)。下の写真はVI相がかなり融けたところ。まだ融けつつある状態なので、結晶がみんな丸くなっている。そして小さい結晶から消えていく。注意深く操作すれば結晶1つだけ残すこともできる。再加圧すると成長して、結晶は自形になる。なお、この写真は実体顕微鏡での写真。
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/iceVI_polarized.png,right,20%)
 (2020/09/16) VI相は正方晶系だが、屈折率の差があまりないのか単相の集合体だと粒界がよく見えない。そのため加圧中に水から急速に結晶化すると、結晶化を見逃すことが多い(まだ水のままだと思ってさらに加圧してしまう)。一方、減圧時に融け始めると、VIと水の屈折率がかなり違うので、結晶外形がよく見えるようになる(上の写真)。この見逃しを防ぐ目的で、VI相だけの時でも結晶粒子がよく見えるようにするため、偏光フィルターを試料上下に入れて観察してみた(下の写真)。偏光を使わないと何のコントラストも見えないが、偏光を使うと粒子がよく見えるようになった。コントラストは方位が違うために生じる。なお、水は等方体で、VIIは立方晶系なので、偏光をクロスにすると真っ黒になるので、少しクロスからずらして観察する方が良さそう。こちらも実体顕微鏡での写真。
***改良1(2020/09/22)
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/leverDAC20201002.png,right,35%)
 展示室用のレバーDACの架台部を作り直した。XYステージを一回り大きなものに交換した。そのために3つのアダプタープレートを作り直した。写真は新しい架台で高圧氷VI相を観察しているところ。照明部分も作り直した。白色LED部分は前と同じだが、その上に偏光板を入れた。そのさらに上に回転濃度フィルターを入れた。濃度フィルターは明るさ調整のため。実体顕微鏡よりは倍率を高くできるし、よりはっきりと見える。写真を現在の状態に入れ替えた。
 私の場合、純水(miliQイオン交換水)を使っているためか、氷VIへの転移がなかなか生じないことが多い(過加圧?)。明らかにVIの領域なのに何の変化もない場合が多く、明らかにおかしいので降圧していると突然結晶化が始まり、VIの微小な結晶が沢山できる。しばらく放っておくと、5&#12316;10個の単結晶になる。
 VIが融け始めたら、すぐ再加圧してやる。そして結晶が少し成長するくらいで加圧を止める。ここからゆっくり減圧してやると、VIと水の共存状態を比較的長く観察できるようだ。
 偏光フィルターを入れていると、VI相の大きな結晶は方位の違いで濃淡が着くので粒子が分かりやすいが、結晶が小さいとやはり見づらい(しばらく置いておくか少し減圧すると粒成長して見やすくなるが)。また、歪んだダイヤモンドによると思われる濃淡も見える。
 VI相の領域で置いておくと、粒界の移動や消滅(粒成長)が見られる。曲線的な粒界が真っ直ぐになったりと派手ではないが興味深い。
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/iceVI20200925B.png,right,20%)
 下のガスケットのところの2つの写真は実体顕微鏡で撮影。HDカメラで撮ったVI相と水の共存状態している写真がこちら(どちらかというと融けつつある状態)。偏光フィルターを使っている。倍率が高いこともあるが、こちらの方がきれい。なお、フィルターをクロス位置からずらているので、水部分が真っ暗になってない。
***改良2(2021/09/24)
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/Pol_DAC_micro_revised.png,right,15%)
 1年近く前に作った展示室用のダイヤモンドアンビルセルで、加圧機構のネジ先端が圧力を高くすると黒い板にぶつかることに気づいた。場合によっては加圧が途中でできなくなりそうな感じ。そこで黒い板(ポリアセタール)の方にネジが中に入れる穴を開けた。ついでに試料も交換。光源をちょっといじって、より光が試料側に来るようにした。画像は以前より改善された。
**緑のネオンランプボックス(2020/07/29) [#n67ea496]
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/green-lamp.png,right,25%)
 本当にちょっとした自作。[[ネオンランプのスペクトル]]に書いたように、緑のネオンランプにはネオンガスはもちろんですが、キセノンガスも多少入ってます。分光器の波長(波数)校正をしていると、488~525 nm付近はネオンだけだと輝線が疎らで強度も弱くて、精度よく校正が難しいことがあります。ラマン分光で488 nm励起だと、488~525 nmが0~1500 cm-1くらいの測定する領域になります。水銀ランプも本数が少なくあまり役に立ちません。そこでネオンランプのキセノンの輝線も合わせて使ってみようと思い、校正用の緑ネオンランプ光源(ボックス)を作りました。単に古い使ってないアルミケースにネオンランプを取り付けただけです。写真を見ると、ランプはほとんど緑色ですが、これはランプ側面に塗られた蛍光物質がキセノンの出す短い波長の光によって緑色に光っているからです。緑の部分はバックグラウンドになるので、なるべくなら避けたいところです。写真を見ると中央部分に少しオレンジ色が見えます。校正ではこの部分の光をなるべく拾ってやる予定です。
**白色LEDのスイッチボックス(2020/07/13) [#t2fdea47]
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/WhiteLED_driver_box.png,right,25%)
 1つ前の白色LED用のスイッチボックスを作った(下側)。中にLEDドライバーも入っている。すべて秋月で購入したパーツ。ドライバー基板が動くと困るので、グルーガンで線部分をボックスに固定した。上側は白LEDを組み込んだソーラボのケージだが、この白色LEDの色はちょっと黄色が強い感じ。直接LEDライトを見ると目を悪くしそうなぐらい明るい。これをレンズで一度ピンホールを通してから試料にフォーカスできるようにする予定。
**白色LEDのソーラボ・ケージシステムへの組み込み(2020/07/09) [#cea27b5a]
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/whiteLED_cage.png,right,20%)
 白色LEDをソーラボの30 mmケージへ組み込むためにいくつか工作した。白色LED自体は秋月で購入した3 Wのもの。12V必要。これをアルミの放熱板に放熱用の両面シールで貼っている。これ自体をソーラボのXYスリッププレートポジショナ(SPT1/M)に取り付ける。SPT1/Mは2つの部分からなり、片側はケージロッドに直接取り付けられるが、もう片側はそれに対してXY方向に少しずらすことができるようになっている。ちょっとセンターが合ってないようなものを設置する時に便利なパーツ。私はCCDカメラを取り付ける時にこれを使っていて、画像のセンターを少しずらすことができる。SPT1/Mには一応ネジが2つ空いているが、インチ仕様のようなので、少し穴を広げて、M3ネジを切って使った。アルミ放熱板にも3.1 mmの穴を開けて、M3ネジでアルミ放熱板に固定した。下の写真が固定した状態で、上側がSPT1/Mで、下側が放熱板。SPT1/Mがちょっと回転しているのは、放熱板の羽とネジ穴が干渉しないようにするため。SPT1/Mの片側でケージロッドに固定することで、ソーラボで作った光学系に組み込めるようになった。
**実体顕微鏡リストア(2020/07/08) [#d4a12f79]
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/stereo-micro-restore.png,right,20%)
 少し前にニコンの実体顕微鏡が捨てられていたので、拾っておいた。対物レンズがなく、落射照明が使えない、試料部のガラス円盤がない。透過照明は使える。接眼レンズは水浸し状態だった。その後、部品などが揃ったので、リストアした。接眼レンズは乾かし、ズームや焦点用のつまみのラバーは触ると黒く手が汚れるので、アルコールで何度も拭き取った。対物レンズは中古をebayで見つけて、ガラス円盤はアズワンのカタログに載っているガラスを買った。落射照明は使ってない古いLEDリング照明がちょうどあったので、それを使った。これで試料が観察できるようになった。溶接等で使うようにする予定。
**ファイバーラマンユニット(2020/07/03) [#g6e0a012]
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/fiber-Raman-unit1.png,right,35%)
 ほぼ同じ形状の光学ユニットをルビー蛍光測定用に以前作って使ってますが(下の方に写真あり)、同じことをラマン分光でも出来ないかと考えてます。まずは、レーザーのファイバーへの入射と試料からのラマン散乱光をファイバーに集光する光学系ユニットを作りました。全てソーラボのパーツを使ってます。ストックパーツがある程度あるので、数個パーツ追加注文するだけで(翌日届き)、すぐ作れました。ちょっと解説すると、左右の端にあるネジが付いたパーツが光ファイバーを取り付ける部分で、XY方向に微調整ができます。中央部分のキューブにはラマン用のダイクロイックビームスプリッターが入る部分で、こちらも微調整ができます。その中間にf=50 mmの集光レンズが左右1つづつ入ってます。さらに右側にはラマンエッジフィルターが集光レンズ前に入ります。
**偏光シート付きカード(2020/07/3) [#a67cbfd3]
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/PL-cards.png,right,30%)
 これは簡単な工作で、段ボールを切って、中央部分に穴を開けたものに、偏光シートをテープで貼っただけのもの。それを2個作りました。下の写真はそれをトレース台に載せた状態。トレース台は安く手に入ります。この目的には面積広すぎますが、これ自体はふだん展示室に置いて他に色々載せてます。
 (2020/08/06追記) 昨日起こったベイルートでの爆発は硝酸アンモニウムが原因のようです。過去にも硝酸アンモニウムによる巨大な爆発が報告されてます。以下ではその硝酸アンモニウムを取り上げていますが、ここで使っているような非常に少量で、かつ単体で扱っている場合には危険はありません。
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/PL-cards-NH4NO3.png,right,25%)
 さて、これを使って硝酸アンモニウムの転移を観察してみました。スライドガラスの上に少量置いた硝酸アンモニウム粉末をホットプレートで融かして(融点は175 °C)、その上にカバーガラスを乗せてやると、観察用のプレパラートができます。作ったカードの1つを段ボール側の上にしてトレース台に置いて置きます。そこに熱いままのプレパラートをピンセットなどで挟んで持ってきて、置きます(やけど注意)。その上にもう1つのカードを段ボール側を下にして(暗くなる方向に)重ねると、硝酸アンモニウムの結晶の冷却過程での変化を肉眼で観察できます。最初のメルトからの結晶化は色がついてないので、肉眼で見るのは難しいと思いますが、温度が下がる過程で転移がいくつか生じて、鮮やかな色に変わるところが見られると思います。しばらく待つともう1つ転移を見ることができるはずです。段ボールは熱いスライドガラスから偏光シート等を守るために使ってます。下の写真は転移で最初に鮮やかに変化した時のもの(この後さらに変化します)。丸いカバーガラスを使ったので、試料部分も丸くなってます。これはJpGUのキッチン地球科学セッション用に作ったものです。
**レーザー電源をDCアダプターへ(2020/07/1) [#r951b46d]
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/fiber-optics-SW.png,right,25%)
 ピストンシリンダー装置のその場圧力測定で使っているルビー等の蛍光を励起するレーザーは安いもので、単3電池2本を電源としてきたが、電池の残りを気にするのも面倒なので、DC3V出力のACアダプター(秋月)へ変更して、トグルスイッチを取り付けた。
**ソーラボのレンズ筒へのネオンランプ取付(2020/06/19) [#d521b582]
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/Sato-lamp-Thorlab-tube.png,right,20%)
 顕微ラマン分光装置に組み込んでいるネオンランプをサトーパーツのものと交換するために作成した。[[ネオンランプのスペクトル]]で書いたようにこれまで使ってきたネオンランプはネオンだけでアルゴンが全く入っていないため。ソーラボのレンズ筒の短いものに横から穴を開けて、そこにネオンランプを突っ込み、エポキシ接着剤で固定した。これでソーラボの光学系に組み込める。組み込んだ後でも、点灯しているかどうか分かるように穴を開けた対面側にも小さめの穴を開けている。
 顕微ラマン分光装置に組み込む場合は、特に集光せずにこのまま使ってます。校正用のファイバー出力とする時は、レンズでファイバーに集光するようにしてます。ただ、ネオンランプは広い領域で光っているので、あまり効率よく集光できません。
**蛍光鉱物観察箱(2020/06/05) [#n833826b]
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/UV-lamp.png,right,20%)
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/UV-box.png,right,20%)
 これも展示室関係。アズワンで買ったUVランプ(MiniMAX)を使った蛍光を出す鉱物用の観察箱を作った。4面は黒アクリル(アクリ屋で調達)で、前面がUV吸収透明アクリル板(これもアズワンのカタログに載っていたもの)からなる。CNCでUVランプのランプ窓出っ張り部分がアクリル板にちょうどハマるような穴を加工して、取り付け。ティッシュケースのように見えます。
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/hyalite_UV.png,right,20%)
 それで観察した玉滴石。緑の蛍光がでる。この強い蛍光のせいで、ラマン測定が難しい試料(488 nmレーザー使った場合)。
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/ruby_UV.png,right,20%)
 エドモンドオプティクスから買ったruby ballを潰した粉末(右)と自分で合成したSm:SrB4O7粉末(左)。どちらも圧力測定用であり、強い赤い蛍光を出す。こっちは赤い領域をカットするフィルターを入れるとラマン測定は可能。
**Littrow分光器の作製(2019/09/04)
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/Littrow_final.png,right,30%)
***簡易な高分解能分光器(2019/08/27) [#z56ef1ea]
 狭い波長範囲でよいが、分解能はかなり高い分光器のニーズがあったので、Littrow配置の分光器を試作した。ファイバー入力で、ペリクルビームスプリッター、f=200 mmアクロマートレンズ、2400 g/mmのグレーティング、USB CCDカメラを使用。スペクトルが見えるか試しているところ。ソーラボのパーツで組んでいる。最初、普通のガラスのビームスプリッターを使ったら、ゴーストが出てきたので、ペリクルビームスプリッターに変更した。
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/Ne638nm.png,right,25%)
 以前作ったネオンランプの光ファイバー入射系を使って、この試作分光器にネオンランプ光を導入。下のイメージは、638 nm付近の比較的強い2本のピークがある辺りにグレーティング角度を合わせたところ。ピークに対応する2つのスポットが見られ、これらは波長が2 nmほど離れているので、分離もよい。ペリクルビームスプリッターにしたので、ゴーストもなくなったが、まだレンズ表面での反射由来のゴーストが出る。スポット径はファイバーのコア径にほぼ対応するので、もっと小さいコア径にすれば分解能も上がるが、当然強度は下がる。
 天文アマチュア用CCDカメラを使ってみると、700 nm付近の輝線もちゃんと観察された。現在はミニ分光器を少しバラして、そのリニアセンサー部分を流用して、測定を試みている。測定ソフトはミニ分光器のものが使える点が利点。固定用アタッチメントをまだ作ってないが、十分測れることがわかった。位置合わせには下記の赤レーザーが役立った。
***ミニ分光器を検出器として使う(2019/08/30)
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/xojo-spect.png,right,30%)
 右の写真の左側は、以前e-bayで買ったScience Surplusのミニ分光器である(ケースを外している)。これは元々B&W TecのOEM分光器で、組み込みとして使われていた中古品を、独自のソフトとケース等を追加して販売されている。e-bayで以前買えたが、最近在庫がないよう。これの検出器部分を今作っている分光器に流用しようとしている。既にこの分光器本来のグレーティング等の光学系は邪魔なので、取り外してある。
***ミニ分光器の角度調整(2019/09/01)
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/kinematic.png,right,25%)
 ミニ分光器をセンサーとして使うことにしたのだが、リニアセンサーと分散したスペクトルが平行になるような角度微調整が必要となる。どうするか色々と考えていたが、ソーラボのキネマテッィクマウント(レンズやミラーの角度調整で使うパーツ)を流用するアイデアが浮かんだ。早速プレートを少し加工して、組んでみる。ちょっとわかりづらいが、一番下の2つのプレート部分がキネマテッィクマウント部分。分光器基板は黒いプレートにネジ4本で固定されており、黒プレートはソーラボの30mmと60mmケージをつなぐためのプレートをM6ネジ4本で固定している。これらを30 mmケージ用の棒4本でつないでいる。ちょっとバランスが悪いが、何とか使えそう。(2020/06/04追記) 別の取り付け方法に変えたので、これはその後不要となった。
***ミニ分光器の角度調整2(2019/09/02)
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/Al-plate-20190902.png,right,20%)
 下記用のアルミアダプターを作った。ちょっとしくじった部分もあるが、問題なさそう。上側の溝は固定ネジを回すための六角レンチが使えるようにつけた。距離調整がある程度できるように固定用ネジ穴を長くした。
***ミニ分光器との通信(2019/08/30)
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/xojo-spect.png,right,30%)
 ミニ分光器には、Windows用ソフトが付いてくるが、Mac用がなくて不便である。Windows用ソフトのヘルプにミニ分光器とのシリアル通信方法が書いてあったので、それを元にMacとの通信を試みた。分光器にはRS232Cが付いており、Serial-USB変換器を使ってMacと繋げている。色々試して、何とかMacとの通信ができるようになった。今の所、データをASCIIで受け取っているので非常に遅いが、一応スペクトルをMacに直接取り込むことができるようになった。バイナリーで受け取れば早くなるが、プログラムが面倒なので…下の写真の右側が試しに作ったソフトで、確認のためにスペクトルを画面に表示するようにした。プログラム作成にはXojoを使っている。
 まあしかし実際にはWindows Notebookを用意して、それで測定を行なっている…
  下記で加工したミニ分光器や部品を黒いポリアセタール板に固定した。これで必要な場所に持っていくことができる。このまま使うと外光が入るので、使用時は黒い布で覆っている。最後に調整が残っているが、夏の工作シリーズ2も大体終了。
***Littrow型分光器を箱に収納(2020/06/02) 
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/LittrowInBox.jpg,right,30%)
 バラックで組んで、一応の動作確認までしておいた「高分解能ファイバーLittrow型分光器」を箱に収納した。光学系を固定するねじ穴、ファイバーを差し込む穴やUSB, DC電源ケーブルを通す穴を箱に加工した。これで必要な場所へ簡単に持っていくことができるようになった。光学系に触らなくなるので、調整も頻繁にしなくてよいと思う。PC画面(よく見えないが)はネオンランプを試しに測定したもので700 nm付近である。
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/ruby-20200603.png,right,25%)
 (2020/6/3)実際に蓋を閉じると蓋の一部と光学系が干渉することが分かって、さらに改良した。やっと完成。秋月の緑レーザーをエドモンドオプティクスのルビーボールに当てて出てきたルビー蛍光線R1,R2を測定してみた。横軸はピクセルで、左側が長波長。使えそう。
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/Sato-Neon-20200604.png,right,25%)
 その後、さらにサトーパーツのネオンランプを測定してみた。これは別項[[ネオンランプのスペクトル]]に書いたように、アルゴンが少し入っているネオンランプで、弱いがアルゴンによるピークが2つ見える。強いピーク2つはネオン。波長校正には十分だろう。校正により多くのピークが使えるようになる。
**AR sandboxの作成
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/sandbox2.png,right,25%)
***AR sandboxの箱とプロジェクター取り付け(2019/09/19)
 夏の工作シリーズ第3弾で拡張現実(AR)sandboxを作製した。まずは砂箱部分とプロジェクター取り付け部分を作成。砂箱はポリカーボネートの板で作成。砂箱の高さがちょっと高かった(30 cm)。砂が飛び散らないように高めにしたが、ちょっと使いづらいかも。実際に砂を入れた時に再度チェックする。また、プロジェクターの支持は側面に固定しているだけなので、ゆらゆらする。設置地点で天井に固定する必要がありそう。また、最初支持するアングルを中央に取り付けたが、プロジェクターの映写レンズはプロジェクター中央にはないので、本当はずらす必要があった。そのため取り付け位置をずらせた。プロジェクター手前側で砂箱に映写できない領域が出るので、プロジェクター取り付け位置で傾けるように取り付けアダプターを加工して、なんとかほぼ砂箱全面に映写できるようになった。実際に設置してみると、色々と問題が見つかる。その後、X-Box用Kinect sensor(先端の黒い部分)の取り付けを行った。センサー部分のために、アングルで斜めの支持を両側につけたが、片側は映写レンズに近すぎて、取り付けると映写の邪魔になるため、取り外すことになった。Linuxマシンとプロジェクターをつないでテストしてみたいが、今夜から学会出張のため、続きは学会終了後。
***AR sandboxハードの完成(2019/09/24)
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/playsand.png,right,25%)
 台風で最後の方が短縮された学会から帰って来たので、ハードの続き。ついに砂を投入。その前に大きめの隙間をシーリング剤で閉じておく。それ以外の部分にはテープを貼っておいた。Amazon USAで買っておいたPlaysandを8箱分入れる。計90 kgくらいになる。砂は白くて投影した時によく映える。
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/sandbox3.png,right,25%)
 砂を入れた後の状態。やはり側面板の高さが高すぎた。板をポリカーボネートにしたので、透明で離れていても内部が見えるところはいい。この後、プロジェクターとセンサーを取り付けて、ハード側は一応の完成。角で怪我しないように、角部に取り付ける保護具を注文した。
***AR sandbox稼働開始(2019/10/30)
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/ARsandbox.png,right,25%)
 しばらく放っておいたが、やっとPCソフトを使った調整を行なって、とりあえず使えるようになった。かなり遅くなったが、予定していた今年の夏の工作シリーズ(分光器、偏光顕微鏡とAR sandbox)が終了。調整法については別途wikiにまとめておいた。今週土曜日に小学生が見学に来るのになんとか間に合った。手をかざしても雨が降らないので悩んだが、手の指を広げる必要があった。指同士がくっついていると認識してくれない。1階の展示室予定の部屋に移した。これで遊んでみたい方はご連絡ください(mkanzaki@me.com)。右側の白球はダジックアース用の風船(現在展示していない)。
***AR sandboxの外部スイッチ(2019/11/12)
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/sw_box.png,right,25%)
 AR sandboxは先々週土曜日に私以外の方に初めて使ってもらいましたが、小学生には好評でした。さて、AR sandboxを動かしているキーボードの「1」キーに雨を全体で降らす、「2」キーに乾燥させる機能を割り振ってますが、利用者に直接キーボードを使わせるのはあまりよろしくないので(1の隣のEscキーを間違えて押されるとプログラムが止まるなど)、外部スイッチ(押しボタンスイッチ)でこれらの機能が利用者に簡単に使えるように改造をしました。こういう場合は、キーエンコーダーを使うのが簡単と思ったので、バード電子のWATT-USB2を買いました。これはUSBでPCとつながり、14個ある端子のどれか2本の短絡で、「1」や「2」に対応するキーボードを押したことと同じ信号をPCに送ります。それをスイッチボックスのスイッチにつなぐだけです。もう1つのキーボードが接続されているのと同じことになります。パーツが届いたので、早速ケース加工して、半田付けして、砂箱に取り付けました。とりあえず強力な両面テープで貼っただけ。
**自作偏光顕微鏡作製(2019/09/09)
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/pol-micro_latest.png,right,33%)
 偏光顕微鏡を自作することにした。これは展示室に置くことを想定しており、自動で試料(薄片)が回転するようにしたい。販売されている偏光顕微鏡には回転ステージがあるが、手動式がほとんどである。そのため今回の目的にはあまり役に立たず、自作することとした。右の写真は2022年の最新の状況。
***自動回転ステージ部分の作製
 偏光顕微鏡作製の最大の問題は自動回転ステージ部分をどうするかである。幸運なことに以前にオリジナルマインドで買っておいたシグマ光機の中古回転ステージとドライバーがある。これはステージ中心に穴が空いているので、今回の目的にはピッタリである。まずはドライバーボードを接続して動かしてみる。ドライバーボードの方のマニュアルがないので少し困ったが、後継機種のマニュアルと回転ステージのマニュアルを参考にして配線した。手動パルス発生器を使って回転することができ、配線が正しいことが分かった。自動化するためにマイコンのArduino Unoからパルスを出させて、それをドライバーのパルス入力に送って、回転することができるようにした。ドライバーのCN2の3,4番に5VをON/OFFすることで回転方向を変えられる。回転しているところのムービーを置いておく。
CENTER:&ref(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/rotating_stage.mov);~
***自動回転ステージ用ケース作製
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/rotation_stage_control.png,right,20%)
 回転ステージドライバーボードとArduinoをタカチのアルミケース内に収納して、スイッチ穴等を加工。配線を行なって完成した。黒スイッチオンでArduinoの電源が入り、ステージが回転する。トグルスイッチで回転方向を変えることができる。手元にあったアルミケースは空気穴も開いてないタイプ。30分連続で回転させていると、ドライバーボートが熱を持つので、今のケースにファンとファン穴を付ける予定。
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/fan_holes.png,right,20%)
 その後、回転ステージのコントローラーケースに換気用の穴を開けて、ファンを取り付けた。40 mm角でDC24Vのもの。DC24Vにしてるのは、ドライバーボード自体の電源から取れるように。これで長時間使用でも安心。加工はミニNC加工機で行なった。3 mmエンドミルでF2命令で円弧を描かせている。45度のうち、30度分を切削するようにした。見積もりが甘くて、内側の穴同士がちょっと接近しすぎた。内部に取り付けたファンで空気を外に出すようにしている。それによって、上側の縦穴部分から外気が取り込まれて、その下にある回転ステージ用のドライバーボードを冷却することを期待している。
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/Al-adaptor.png,right,20%)
 下記回転ステージとソーラボ30 mmケージをつなぐアルミのアダプタを作成した。外側の4つのネジ穴が回転ステージと接続する部分。内側の4個の穴はソーラボの30 mmケージ用穴。中央の穴は光路用。切り込んでいるのは、ソーラボ用の穴をネジで固定できるようにするため。
***光学系の作製
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/pol_microscope.png,right,50%)
 光学系部分は主にソーラボで組んでいるが、偏光フィルター2個、アクロマートレンズ、架台部分はエドモンドオプティクスで以前購入したもの。いくつかパーツを新しく購入したが、大半は中古品とスペアパーツを使用して組み上げた。対物レンズはニコンの中古だが、ミツトヨの対物レンズも使える。厳密にはソーラボのSMネジと対物レンズのネジはピッチと径が異なるが、差が非常に小さいので、実際上は問題なくねじ込める。コンパクトにするためと倍率を下げるために、結像レンズの焦点距離を50 mmとしている。ニコンの対物は結像レンズとしてf=180 mmを想定しているので、表示はx5であるが、実際の倍率はx1.4になる。ミツトヨの対物レンズの場合は結像レンズとしてf=200 mmを想定。架台には微粗動のラックピニオンがあり、顕微鏡側が載っており、焦点調整ができる。
 偏光顕微鏡には透過光源が必要なので、光ファイバー光源を右側から入れて、それをミラーで上方に向けている。光は偏光フィルター(回転可)、f=50 mmの集光レンズ、絞り、回転ステージ穴を透過して、薄片試料へ。集光レンズは適当に光を試料部に集める目的で設置。試料は回転ステージ上に置いている。この回転ステージはセンターに穴があるので、光を下から導入できる。
 CCDカメラとしてホーザンのHD(1K)カメラのHDMI出力のあるものを入手して試してみた。HDMI入力のあるディスプレイに映したら綺麗に見えた。直接HDMIで接続するのでPCを使う必要がない。このCCDカメラはリモコンが付いており、静止画と動画を撮ることも可能。それで撮った動画を下に示す(2.5 MB)。試料は唐津高島のかんらん岩ノジュールで、カラフルな鉱物は主にオリビン(かんらん石)。
CENTER:&ref(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/nodule-pl-micro.mov);~
***回転ステージコントローラーに人感センサーをつけた(2021/04/13)
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/pol-micro-controller2-front.png,right,20%)
 展示室の偏光顕微鏡の回転ステージコントローラーに人感センサーを取り付けた。偏光顕微鏡は回転している試料が特に綺麗なのだが、長時間連続回転させておくのも回転ステージによくないので、コントローラー前面のスイッチでON/OFFするようにしていたが、どうも目立たない。そこで、人が前に来ると(動くと)自動的に回転するように改良した。そのために秋月で買った人感センサーを使った。コントローラーには元々Arduinoを使っていたので、人感センサーもArduinoに入力して、人感センサーがONになったら回転ステージを30秒回すようにプログラムした。人がいても全く動かないとセンサーが反応しなくなるので、一度動きがあると30秒間は続けて回るようにしている。写真の前面パネル上側の白い円形のものが新しく取り付けた人感センサー。何も考えずに適当に取り付けたが、上蓋に取り付けたファンのことを完全に忘れていたが、運よくぶつかりはしなかった。
 この場合、ステッピングモーターのコントローラー自体は専用のものがあったので、回転させるにはパルスをコントローラーの特定の端子に送るだけでよい。このパルスをArduino Unoの5番端子から出させている。普通は音を出すために使うtone()関数を使って、パルスを出力するようにした。人感センサーの電源はArduino基板からもらって、出力信号はArduinoの2番ピンへ接続して、デジタルで読むようにした。2番ピンがHIGHの時にパルスを出す。プログラムは短いので、以下にペーストしておく。人がいない時(2番ピンがLOW)は回転を止めるために、最初tone()で周波数を0にしてみたが止まらなかった。そこでnoTone()関数があるのに気づいて、それを使ったらうまく止まった。
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/pol-micro-controller2-inside.png,right,25%)
 #include <Arduino.h>
 #define OUTPUT_PIN 5
 #define INPUT_PIN 2
 void setup() {
 }
 void loop() {
   if ( digitalRead( INPUT_PIN) == HIGH ) {
     tone(OUTPUT_PIN, 1500);
     delay(30000);
   } else {
     noTone(OUTPUT_PIN);   
   }
     delay(1000);
 }
 micro:bitでも回転ステージの制御を試してみたのだが、数百マイクロ秒くらいの短いパルスがうまく出せなかった。もっと長い時間のパルスは作れて、モーターも回転できるが、今回必要な速度にはできなかった。人感センサーの方は問題なかったが。同じシングルボードコンピュータでも得意なところと不得意なところがある。
***自作偏光顕微鏡+加熱ステージ(2019/09/28) [#oa0c859b]
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/pl-microscope2.png,right,25%)
 この偏光顕微鏡に高温試料をその場観察できるような加熱ヒーター取り付けアダプターを作った。この場合には回転ステージは取り外す。加熱ヒーターは白金ワイヤーに穴を開けた簡単なもので、以前から利用しているもの。試料位置調整のために手動XYステージを追加した。これで加熱試料の観察もできるようになった。試しにNH4NO3を加熱してみたが、ちゃんと融解と転移が観察できた。普段は薄片用の設定にしておく。
 2021年6月上旬にあった地球惑星連合学会の研究所展示(オンライン)でこの偏光顕微鏡の動画(実際にはyoutubeにある)も使った。
 その後、カメラとLCDディスプレイを4K対応のものに交換している。画像はさらに綺麗になっている。
 さらにこの顕微鏡の簡単な資料(使用方法と各部の説明)をpdfで作った。
CENTER:&ref(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/pdfs/pl-microscope_manual.pdf);~
**赤レーザーの光ファイバー入射光学系(2019/08/24) [#wa855a95]
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/redlaser.png,right,25%)
 秋月の赤いレーザーをf=40 mm単レンズで集光して、光ファイバーに導入する簡単な光学系を作った。ソーラボの在庫パーツだけですぐ作れた。光ファイバー入力の分光器の調整時に使うためのもの。緑レーザーのものは既にある。
**アルミアダプター作成(2018/11/23) [#v67a657a]
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/2nd_plate.png,right,25%)
 顕微ラマン分光装置で使う、ブレッドボードとZ軸ステージをつなげるアルミのアダプターを作った。アルミ板自体はオリジナルマインドで購入。それに、M6のボルト穴(ブレッドボード側)4つとM4ネジ穴(Z軸ステージ側)4つを加工したもの。ボルト穴は、ボルトの頭が収まるように、上側は内径10 mm, 下側が内径6 mmになっている。早速、使用している。
**オーブンの修理(2018/11/09) [#h13f4289]
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/oven_repair.png,right,35%)
 オーブン(恒温槽)の1つが故障した。温度表示がおかしく、温度設定もできない。制御部分が壊れたようだ。分解して内部を見たが、メーカー独自設計回路を使っているので、直すのは難しい。古いためメーカーでも修理できないとのことだが、現在使っているオーブン4台の中では最も新しい… 制御回路以外は全く問題なさそうなので、手持ちのオムロン温度制御計と中古のSSR(ソリッドステートリレー)を取り付けて修理した。温度測定にはPt100センサーが使われていたが、それに対応した制御計が手元になかったので、Kタイプ熱電対と交換した。下の写真は前面パネルを加工して、オムロン温度制御計をはめ込んでみたところ。中央部分が元の温度制御の表示があったところである。PIDをチューニングして、復活。これくらいのオーブンは、新しく買うと10万近くするが、数千円で修理できた。
**ペリクルビームスプリッター取り付け用アダプタ [#bedf2d64]
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/pellicle-adaptor.png,right,25%)
 顕微ラマン分光装置がもう1台必要な場合が増えつつあるので、既存のジャンクから顕微ラマン分光装置をもう1つ構築できないか試している。こちらでもペリクルビームスプリッターを出し入れするメカニズムが必要であり、そのために今回はガイド付きエアーシリンダーの上側にビームスプリッターホルダ(黒い部品)を固定できるようなアルミ板のアダプタを作った。現在稼働中の装置はエアーシリンダーがガイド付きではなかったので、振れ止めの自作が必要だった(しかしコンパクトではある)。シリンダーとアルミ板はオリジナルマインドで調達。しかし、これは結局使わなそうな感じ。
**熱電対保持部品 [#p18ca5c9]
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/TC_holder.png,right,20%)
 電気炉の熱電対を保持する真ちゅう部品。もともと電気炉に初めはついていたが、自作電気炉にその部品を流用した関係で、旋盤で新しく自作した。熱電対の通る穴、熱電対を固定するネジ穴、部品を固定する穴3つを加工をした。
**旋光計(polarimeter)(2018/02/23掲示)
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/polarimeter.png,right,35%)
 下記の黄色LEDを光源とした、旋光計を作ってみた。LEDの載っているアルミ放熱板(左端)を除くと、全てソーラボのパーツを使用している。左端にある黄色LED光源からの光をf=50 mmのレンズで大雑把にコリメートして、589 nmのバンドパスフィルターを透過させ、一枚目の偏光板で偏光させる。視野を狭めるために可変絞りがその後に置いてある。その光が試料を透過して、2枚目の可変絞りを透過。最後に2枚目の偏光板の回転角度を手動で回転して、肉眼で光強度が最低となる角度を求める。液体試料はガラスセルにいれて、右側のベンチ部分に置く。後でモーター駆動のものに入れ替えて、検出もフォトダイオードにして、測定を自動化する予定。
**黄色LED用制御ボックス(秋月利用) [#dafe1b10]
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/yellow_LED.png,right,35%)
 ナトリウムランプの代替光源として、下の方で書いた秋月のLEDの黄色LEDを使うという話です。ナローバンドパスフィルターで589 nm付近を取り出して、ナトリウムランプの589 nm付近の強い輝線の代わりとするつもり。その装置用に、LEDドライバー、トグルスイッチ、DC12Vプラグを黒い箱に組み込んだものです。トグルスイッチで光源をON/OFFするだけのもの。部品はほとんど秋月で調達。箱はタカチ(RSで購入)だったと思う。LED本体(左側中央)はアルミの放熱板の上に載っており、それをソーラボの30 mmケージに組み込む。LEDドライバーは固定する部分がないので、つながっている配線をグルーガンで固定して動かないようにした。
**フリスクレーザーポインター自作(2017/09/26掲示) [#ybbf9251]
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/pointer.png,right,30%)
 しばらく前に作っていたものを発掘。秋月の小さい赤レーザーをFriskのケースに組み込んだもので、レーザーはグルーガンで固定した。3Vコイン型電池と小さいプッシュスイッチを付けた。たまに発表で使っているが、特に反響はなし。
**実体顕微鏡の架台部分(2017/09/15作成) [#m2c5bc95]
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/sz40.png,right,25%)
 以前中古で買ったオリンパスSZ40の本体部分のみがあったので、ソーラボのパーツ、自作のアルミアダプタ、オリジナルマインドで買ったポリアセタール板を台として実体顕微鏡として使えるようにした。ソーラボの柱がちょっと過剰な感じ(重い)。実体顕微鏡外付けの円形LED照明を取り付けて、反射照明での観察ができる。溶接など少し荒い(汚い)もの用として、既存の実体顕微鏡と入れ替える予定。さすがに見え方はいい。
**50度ミラーマウントの作成(2016/12/16作成) [#v8956805]
 これは顕微ラマン用のパーツで、小さなミラーを50度傾けて取り付けるためのアルミの棒を加工したもの。下の写真の中央部分の斜めにカットされたアルミ棒がそれ。角度が変わっているので適当な既製品がなく自作した。棒自体は旋盤加工で、50度部分は簡易NCフライスで加工した。先端の丸いエンドミルを使って、横に移動した分、下にtan(40)だけ下げることで実現。下の写真ではソーラボの30 mmケージ用のキネマテッィクマウント(右側)とキューブと組み合わせている。キネマテッィクマウントはミラー角度調整のために流用している。
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/mirror_mount_in_cagecube.png,right,35%)
 使用時は、キューブの左側からくるレーザー光をミラーで上にはねて、キューブの上側に取り付ける予定のONDAX社(現Coherent社)の特殊なビームスプリッターで下側に送られる。下側には対物レンズがつく予定。対物レンズで集められたラマン散乱光は上側に送られ、ダイクロイックミラーを透過して、分光器の方へ送られる。
***チューナブルフィルター用アダプター(2016/12/08作成) [#e350a588]
 2017年度の知恵の見本市(12/1)で実物を展示しました。[[ポスターpdf:https://mkanzaki.sakura.ne.jp/pdfs/mihonichi2017.pdf]]
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/servomotor_plate.png,right,30%)
 下記のサーボモーターコントローラーを買った理由は、角度によりチューナブルなバンドパスフィルターを作るためであり、デジタルサーボモーター2つを固定して、かつソーラボの光学ケージに組み込むためのアダプター板を作成した。オリジナルマインドで買った黒のポリアセタール板(8 mm厚)を、別項に書いている簡易NCフライス装置を使って加工した(サーボモーターの入る四角い穴など)。下にはモーターを取りつけたアダプターの写真を示す。モーターに付いているT字型のものはフィルターホルダーである。フィルターホルダーはフィルターメーカー提供のもので、ソーラボ側の光軸高さと合わせるために旋盤で2.8 mmくらい短くして(固定ネジぎりぎり)、かつモーターの軸に固定できるようにフィルターホルダーの穴を5.9 mmに広げた。
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/tunable_filters_holder.png,right,20%)
 上記をソーラボのケージに組み込んだのが下の写真で、ソーラボの60 mmケージ用のアダプターで板を固定している。X字型のものはその60 mmケージを30 mmケージに変換するためのアダプター(ソーラボ)。私は全て30 mmケージを使って光学系を組んでおり、この場合のように光学素子自体が大きくて十分スペースがないところでは60 mmケージアダプタに変換して使っている。
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/homemade_BPF.png,right,30%)
 Semrock社([[オプトライン:https://www.opto-line.co.jp/]]から購入)のVersa_Chromeチューナブルショートパスフィルターとチューナブルロングパスフィルターを取り付けたのが下の写真。角度で透過率の立ち上がり位置が変化するため、両者をちょうどよい角度にすると比較的幅の狭い(~1 nm)バンドパスフィルターとして働かせることができる。Versa_Chromeフィルターを2枚使って幅の狭いバンドパスフィルターとするアイデアは数ヶ月前に偶然思いついたのだが、検索するとほぼ同じアイデアを既に発表している方がいたので残念ではあったが、実際に必要があったので作ってみたのが今回のもの。写真のフィルターの位置は532 nmレーザー(秋月のパーツを使ったもの)を利用して、ちょうど532 nm付近だけ透過するように2つのフィルターの角度をサーボモーターで調整した状態。この状態で2つのフィルター越しに部屋の照明を見ると、ちょうど532 nmレーザーの色になっている。今使っているフィルターだと回転により500~560 nmでバンドパスフィルターとして働かせることができる。他の波長のためには別のフィルターと交換する必要がある(現在手持ちは写真のものだけ)。2つのフィルターを逆方向に回転させているのは、光軸のズレを小さくするためであったが、後でこれだと透過光が均一ではなくなることに気づき、同じ方向に回転させるように変更した。つまり2つのフィルターがほぼ平行になるように。
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/servo_surface.png,right,25%)
 その後、デジタルサーボコントロールキット付属の可変抵抗では細かい調整が難しいので、ポテンショメーターに変更した。性能を分光器で調べたところ、大体仕様から予想される1.0~1.5 nm程度の半値幅が得られている。コントロール基板とポテンショメーターを「アクリ屋」さんで加工してもらった黒アクリル板に取り付けてみた(下図)。
 本格的に使うようになるとPCから制御できないとダメです。もともとコントローラー基板は、外付けの3個の可変抵抗が乗っかっている別基板を5ピンのコネクター(CN10)で接続するようになってます(2つ下の写真)。ここの役割は可変抵抗の両端に5Vかけて、中央の電圧をコントローラー側のAD変換で読ませています。したがって、ここのポートに0~5 Vを与えることで回転角を制御できることになります。そこでCONTEC社からUSB接続のアナログ入出力変換器(12 bit DA 2ch)を購入しました。早速DA変換の出力をコントローラーのコネクターに接続して、CONTEC社提供のテストプログラムをPC上で動かして、アナログ電圧を変えて、サーボモーターの回転角度が実際に変わることを確認できました。これでPCからの制御ができそうです。制御用プログラムを今後作る予定です。
**サンプル管瓶用のホルダー(2016/09/07作成) [#e350a588]
 研究室ではアズワンのサンプル管瓶(2.2 cc)をよく使っているが、そのままデシケータに入れておくと、すぐ倒れる(10月の地震でも沢山倒れた)。製品で気に入るものがなかったので、アクリルで10個用ホルダーを作成している。最初はアクリル板の穴加工をNCで自分で加工していたが、エンドミルに融けたアクリルが付着して、穴径が大きくなったりと歩止まりが悪いので、最近はアクリル加工屋さんに加工を依頼している。私が依頼しているところは、ウェブから簡単に穴のサイズ、位置指定などができる。
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/sample_holder.png,right,30%)
 なので実際の工作は、アクリル加工屋から届いた穴開きの板と同じく頼んだアクリル棒4個を、接着剤の「アクリルサンデー」で板に接着するだけ。今回10個分作成。なぜか今回穴が少し小さめで、管瓶にラベルを貼ると入らない。アクリル加工屋にクレームをつけてもよかったのだが、既にアクリル棒を付けた後に気づいたので、リーマーで穴を少し広げてなんとか対応した。
**サーボモーターコントローラー(これは秋月のキット)(2016/08/02作成) [#e350a588]
 光学部品2個を回転制御する必要が出てきたので(上記参照)、秋月の「3サーボ・アクチュエーター・キット」を購入した。以前も秋月でサーボ・アクチュエーターキットを買ったことがあるが、それは1回路のみのもので、顕微ラマン分光の回転NDフィルターの制御ではまだ現役で使っている。今回入手したのは新しいキットで、デジタルサーボモーターに対応し、モーター3個をこれ1台で制御できる。今回2系統モーター制御する必要があり、またデジタルサーボモーターを試してみたかったのでこのキットを選んだ。下の写真に示したように、液晶ディスプレイ付きで、設定に3個の可変抵抗を使う。デジタルサーボモーター(SAVOX SG-0351)2個も秋月から買った。
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/servo_controller.png,right,35%)
 マニュアル通りに半田付けすれば完成。5Vの電源をつなげば、デジタルサーボモーター2個が動作した。アクション位置での安定性についてはわずかにゆらいでいる。写真はダイレクトモードの設定で、可変抵抗を回すと、それに応じてサーボーモーターが回る。設定モードにすれば、常時位置、アクション位置、回転速度を可変抵抗で設定できる。これは普通の使い方で、信号やスイッチにより、定時位置とアクション位置を移動する。設定後は液晶と可変抵抗は外すことができる。私の用途はダイレクトモードで使うことになると予想される。仕様上は角度は0.2~0.3度程度で制御できる。
**ラマン分光装置ビームスプリッター出し入れ制御部分の改造(2016/06/21作成) [#j3cb275a]
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/air_valves.png,right,35%)
 これも下記のラマン分光装置の改造の一環。「ラマン分光器用制御装置」の実際に制御する部分の1つである。我々のラマン分光装置では、ペリクルビームスプリッターを使って、それを光路に入れることで観察用CCDへ光を送ったり、照明用光源を導入したりしている。しかしラマン測定時にはビームスプリッターは邪魔であり、ラマン散乱光を1枚で半分捨ててしまうので、これらのビームスプリッターは測定時には光路から外した方がよい。そのため、エアーシリンダーを使って、ビームスプリッターの出し入れを行っている。そのエアーシリンダーを電気的に制御しているのが、ソレノイドバルブであり、今回の制御部分である。下の写真では中央に3つソレノイドバルブが見えている。エアーシリンダーを出し入れするので、上下に2系統の電線が出ている。ここにDC24Vかけると、バルブが開閉する。これ自体の制御信号は下記の「ラマン分光器用制御装置」からくる。もともと2回路作ってあったが、今回改造して1回路増やして、基板(右上)も新しく作った。下記「ラマン分光器用制御装置」ともつないで、動作を確認した。今回はブロックターミナルを活用して、外部からくる線の接続が簡単なように、また分解する時に半田付けを外したり、線をカットしないでいいようにした。現在活躍中。
**実験用LED照明(秋月の製品そのまま)(2016/06/14作成) [#gb09d181]
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/LED-lamps.png,right,30%)
 これは本当にちょっとした工作。実験で使うLEDランプが2種必要だったので、秋月電子通商で適当なものを買って、半田付けした。3 WのLED2種(白、黄色)、定電流LEDドライバー、12V電源アダプタ、アルミ放熱板を全て秋月で購入。LED,ドライバーと電源アダプラ用プラグを半田付けし、放熱板に高熱伝導用両面テープで固定するだけ。電源につないでみると直視できないくらい明るい。十分使えそう。
 白LEDは光学装置の光源として使う予定で、最初ファイバー光源を使ったが、光が広がりすぎ、点光源により近いものが必要だったため。黄色LEDは、532 nmレーザーを使ったある分光実験の時にバックグラウンドノイズを減らすために使う。この実験ではなるべく外光が入らない様にしないといけないが、真っ暗にしてしまうと装置自体の調整も難しい。そこでこの黄色LEDを使照明代わりにするつもり。検出器には532 nm付近のバンドバスフィルターをつける予定なので、532 nm以外の波長なら、赤や青でもいいが、見易さから黄色を選んだ。
**ラマン分光器用制御装置(秋月の製品を一部利用)(2016/05/30作成) [#l0b5d0c9]
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/circuit-Raman.png,right,35%)
 (ラマン分光器用制御基板)(2016/05/30) :連合学会前にはパーツは集まり、ケースの加工もほぼ終わっていたので、連合学会後に工作を再開した。今回作るのはラマン分光器用の制御装置で、落射照明、透過照明光源のON/OFF,レーザー光路にある回転NDフィルターの2位置制御(要はレーザー光が出てくる位置と最大に減光している位置)、ビームスプリッターを光路に出し入れ(2箇所)をする。以前もほぼ同等品を作っていたが、そちらはPrincetonの冷却CCDカメラ用コントローラー内臓のIO出力を利用するものであった。古い検出器のコントローラは大きくて、その中にIO出力もあったが、今度導入する新しいCCDカメラには(フライヤーをみる限りは)独立したコントローラはなく、そのため別途制御回路が必要となりそうだった。CCDカメラ実物が納品されてみると、IO出力が実際には利用可能だった。まあ、これでWinspecと制御が独立してできるようになったので悪くはない。今回の場合は、パソコンからUSB-シリアル変換器を介して、ANDDIOという秋月のデジタルIOモジュールを制御する。ただしこれではリレーなどは直接ドライブできないので、インターフェース回路が必要となり、今回自作した部分になる。
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/circuit-Raman2.png,right,35%)
 テスト用のプログラムをMac上のXojoで数分で作った(単に6つのチャンネルをON/OFFするボタンがあるだけ)。本回路、秋月のANDDIO、シリアル-USB変換器、電源アダプターを仮につないで、動作を確認した。シリアル-USB変換器は下図の左上側に見えている小さい基板で(これも秋月から)、Macにつないで問題なく動く。
 下図はケースに納めたところ(前面部分の穴をずらしてしまったが)。ANDDIOは取り付けネジ穴もなく、固定ができないので、結局両側のRS232C用のコネクター用部分のネジ穴を使って、パネル前面、後面で保持するようにした。宙に浮いている。
 実際には分光器の測定ソフトがWindows PCでしか動かないので、これの制御プログラムも同じWindows上から使えた方がよい。Xojoの場合、Mac上で作って、Windows用にクロスコンパイルすることもできる(そのライセンスが必要)。それならと、昨日のプログラムをベースにサクッと作ってしまった。
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/circuit_in_case.png,right,35%)
 Macで完璧に動くが、クロスコンパイルしたものを制御用Win7マシンにコピーして動作させたところ、少し動作がおかしい。複数チャンネルを一度に制御する部分がうまくいかない。タイミングの問題なんだろうが、待ち時間を入れたりしてもダメだった。Macでは問題ないのだが。一時に1つだけ動かすこと自体は問題ないので、ちょっと不便だが、その状態で使用中。そのうち、Visual Studioへプログラムを移して、Winspecとも連携させる予定。その後、何もしていないのだが、ある時から問題が解決した。Windows OSのアップデートで改善されたのだろうか。
 その後、冷却CCDが納品されて同封されていたマニュアルを読んだところ、実際にはTTL入出力8ビット分が使えることが分かったが、まあそのまま使用中。
**APD検出器用電源(秋月のキット利用)(2016/04/27) [#q60e9a0a]
 浜松ホトニクスのAPD検出器モジュールを買ったところ、ノイズの少ないDC12 V電源が必要だということが分かりました。精密な測定をする予定なので、安価なスイッチング電源アダプターでは不安があります。秋月電子通商でちょうど「超ローノイズ・プログラマブル電源キット」を見つけたので買ってみました。これはTIのTPS7A4700を使用したもので、1.4~20.5 Vまで0.1 Vステップで出力を設定できます。
 キットといっても、半田付けするのは、ターミナル2個と電解コンデンサー1個だけです。キット取説の推奨どおりに、放熱器も取り付けました。基板上のDIPスイッチで、0.1 V単位で出力電圧を設定できます。APD検出器モジュールの取説では+/-0.1 V精度を要求されていたので、都合よく合ってます。実際に入力側にこれも秋月で買ったスイッチング電源アダプターDC15 Vをつないで、出力が12 +/1 0.1 Vに入るようにDIPスイッチで調整しました。
#image(https://mkanzaki.sakura.ne.jp/images/APD_supply.png,right,35%)
 それをケースに電源用スイッチ、DCプラグとともに取り付けます。LEDランプでも付けたいところですが、APD検出器使用時に邪魔にしかならないので止めました。ところで、放熱器は基板の反対側に取りつけるため、基板両側にターミナルブロック等の突起物があり、基板をケースに固定することができません。探したところ「垂直取付用ブロック」というものがあることが分かりました。これは金属立方体6面にM3の穴があいているものです。これを使えば基板を立てて固定できるので、今の場合に使えそうです。それをまた秋月で買って、基板を立ててケース内に固定することができました。ケースのバックパネルのDCジャックと出力用配線の穴、フロントパネルのスイッチ用穴は簡易NCフライスであけてます。
 APD検出器モジュール側の電源端子はDsub 9pin(male)なので、female端子の半田付けできるものを買って、配線しました。その後、APD検出器モジュールを繋いでちゃんと動作することを確認しました。
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