新しい溶接機 の履歴(No.7)


新しい溶接機の製作(本ページ作成 2025/11/07 最終更新2025/11/24)

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 白金、金管などの溶接機の自作についてかなり前に書いてますが、最近装置を更新したので、その新しい溶接機について書いてます。以前の装置はスライダックでAC電源からの電圧を下げて、それをダイオードブリッジで整流、コンデンサーで平滑化する方式でした。問題なく20年以上動いていたのですが、1つだけ気掛かりなところはスライダックの入力と出力側が絶縁されていないので、コンセントへの差し方(向き)によっては感電の危険性がありました。最近は電圧可変のDCスイッチング電源が1万円以下で入手できるようになっているので、それを使って従来のものを置き換えてみました。もちろんちゃんとした汎用DC安定化電源でもいいのですが、普通は数倍の値段になります。
 使ったDCスイッチング電源はアマゾンで入手した電圧最大60 V、電流最大10 Aで600ワットのものです(ただ電圧は実際はもう少し上がるようです)。電圧はツマミで設定できます。また電圧・電流も表示されます。これまで使っていた溶接機では40-55 Vくらいで主に使っていたので、60 V電圧のものを選んでます。電流は10 Aは流れてないと思いますが、5 Aでは足りなさそうなので、10 Aを選びました。ただ私の入手したスイッチング電源はAC電源線を固定するネジをドライバーで回して固定する時に電流ツマミが邪魔という問題がありました(何とか止めましたが)。
 このDCスイッチング電源を使えば、後は抵抗、ピンバイス、溶接するものを固定するバイスがあれば溶接機ができます。抵抗は電流が流れすぎるのを防ぐために使います。私は電気炉で使うヒーター用のワイヤで0.4 mm直径のものを40 cmくらいに切って抵抗として使ってます。手元にあった鉄クロム30というカンタル線に似た合金組成のヒーター線を使ってますが、二クロム線でも問題ありません。それを6オームくらいになるような長さでカットして使ってます。6オームにする訳は、60 Vで放電した時でも電流を10 Aに制限するためです(オームの法則から)。抵抗を介さないで放電させると、電流が流れすぎたり、電源を壊したりする可能性があります。スイッチング電源には過電流を防ぐ機構があるようですが、変に負担をかけない方がいいと思います。
 ピンバイスは両端使えるタイプで、片側をシャープペンシルの芯を固定するために使い、もう片側を電線を固定するために使ってます。また安全のためにピンバイスには絶縁チューブを被せています。放電棒にはグラファイトとして、シャープペンシルの芯(0.5 mm)を使ってます。ピンバイスにはスイッチング電源のマイナス側を繋ぎます。
 バイスはミニフライス盤のものを流用しています。それに1 mm厚の銅板2枚を取り付けています。実際白金管などを固定するのはこの銅の部分になります。加工したバイスの写真を下に示してます。バイスの銅を取り付けているネジに電源のプラス側をつなぎます。非常に細い熱電対の場合はこのバイスでうまく固定できないことがあります。その場合はアルミフォイルを何層かに折って、銅の部分に被せます。

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 今回は抵抗部分は抵抗が変えられるようにワイヤを6オームを多少超えるくらいの長さで張っておいて、ワニ口クリップを留める位置で抵抗を変えられるようにしてます。ただ以前の装置では抵抗は固定だったので、抵抗を変えられるようにする必要は必ずしもないと思います。
 一番上の写真は完成した装置になります。私は実体顕微鏡の下で溶接しています。試しに白金管の溶接を行ってみましたが、問題なく溶接できました。こちらの方が放電が安定している印象がありました。なお目の保護のために溶接する時は溶接用のサングラスをしてください。
 (2025/11/24) 溶接用シャープペンシル芯をくわえるピンバイスを新しく作りました。このピンバイス(手元にあったもの)はちょっと小さいのですが、シャープペンシルの芯はこれまでよりもずっと固定しやすくなりました。お尻の部分はちょうどM4ネジにいいサイズの穴があったので、M4ネジを切って、ネジで電極線を固定できるようにしています。表面には熱収縮チューブを被せて絶縁してます(赤と黒の部分)。

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