QuickPress の履歴(No.2)


Quick_Pressについて

(2012/03/16 created)(2023/07/12 last updated)

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近況

概要

 エンドロード(シリンダー締め付け)なしのピストンシリンダー高圧装置(Quick_Press)が新しく実験室に入りました(購入したのは薛教授)。1/2インチ用のシリンダーとピストンが使えます。この1/2インチの場合、常用では圧力2 GPaまでです。この装置はJohn Holloway教授 (Arizona State University)がピストンシリンダー装置をコンパクトに改良した装置で、色々と工夫がなされており、卓上にも置けます。上の写真の卓上左側の装置が本体。上に乗っている黒いものは電源トランス。左側には実験後の高圧セル引き抜き用のラムがあります。机の下にあるのは冷却水循環装置です(これは日本製でこちらで準備)。普通のピストンシリンダーでは、シリンダー類はいちいちプレス本体から出し入れする必要がありますが、この装置では回転する台に乗っているので、この作業は必要なく、試料引き抜き時にも回転するだけで済みます。
 Depths of the EarthというHolloway教授が作った会社が製作してます。Holloway教授は大学からも会社からも既に引退していて、Dr. Tracy Paulが現在は販売してます。

装置の特徴

 普通のピストンシリンダー装置ではシリンダーの締め付け用の加圧機構があり、ピストンを押すための別途の加圧系が複合したプレス(Kennedy式)を使うのが一般的です。しかし、締め付け用の方がラムもより大きなものが必要で、かなり大掛かりなものとなります。当然、卓上には乗りません。この装置ではシリンダーの締め付けはしないことで、発生可能な圧力は少し下がりますが、装置自体は非常にコンパクトになります。
 普通のピストンシリンダー装置では、シリンダーなどの重い部品を手で持ち上げて、プレスの懐や別に設置されている試料押し出し回収用のプレスに移動させるなど力仕事が必要となりますが、この装置ではシリンダーなどを持ち上げる必要がなく、試料押し出しプレスへは受け台を回転するだけでいいように工夫されています。

装置の状況

 立ち上げは終了し、現在は合成実験などに使用してます。

これを使った成果

温度制御装置

 温度制御装置もDepthから買ったものを使ってますが、Omegaの温度コントローラーがいまいち使いづらい。交換しなきゃと思いながら、ずっと使っています。

シュウ酸銀の作り方

 シュウ酸銀(Ag2C2O4)は高温で二酸化炭素と銀に分解するため、高圧実験で二酸化炭素の源として使われます。試料室内では、シュウ酸銀はPt箔などに包んでおき、試料との直接の接触は避けるようにする。もっとも上記の論文の時はちょっと試して、結局は炭酸塩で二酸化炭素を導入しましたが。
 手袋等必要な安全対策をする。