ESPressoscopeメモ の履歴(No.2)


ESPressoscopeメモ(作成2025/08/22)(最終更新2025/08/22)

ESPressoscope-first-light-olivine.png
自作したESPressoscopeで撮ったカンラン石薄片(クロス)

ESPressoscope (Matchboxscope) について

 ESPressoscopeはカメラ付きのESP32ボードを利用した自作できる小型顕微鏡です。オープンソースになっています。元々Matchboxscopeでしたが、最近はESPressoscopeと呼びますが、まだウェブ上ではMatchboxscopeの方がよく使われているようです。私は以前やはりオープンソースのOpenFlexureMicroscopeを作ってますが、こちらと比べるとESPressoscopeはもっとコンパクトで(エスプレッソカップくらい?)、安価に作ることができます。一方、OpenFlexureMicroscopeでは試料のXYZ移動はモーターで可能でしたが(自動フォーカス)、こちらは全て手動となります。また拡張的なことはあまりできませんが、一方で分光器(ESPpectrometer)、水中撮影(Anglerfish)、マイクロ流体観察(Fluidicscope)のバージョンも存在します。ESPressoscopeは予算的には3〜4千円くらいでしょうか。ケース部分などは3Dプリンターで作ります(STLファイルが公開されています)。
 ESPressoscopeはハード的にはESP32-MB, ESP32-CAMボードを使ったものと、XIAO ESP32S3 Senseを使ったものが存在します。後者はコンパクトで少し性能が高いようです。値段的には後者が少し高くなります。私が今回作ったのはXIAO ESP32S3 Senseを使ったものです。XIAO ESP32S3 Senseは秋月電子通商で買いました。

ハード作成

 ESP32-MB+ESP32-CAMボードを使って作る場合はESPressoscopeのサイトをベースにすればいいのですが、XIAO ESP32S3 Senseの場合はちょっと情報がまとまってない感じがありました。現状一番いいのはVittorio Saggiomoさんの作成動画とそれに対応した3Dプリンター用STLを使うことです。私は最初別のところのSTLを使って印刷したのですが、XIAO ESP32S3 Senseのカメラレンズはサイズが2つあるようで、私の購入したものと印刷したレンズホルダーはサイズが合いませんでした。Vittorio Saggiomoさんのところでは2種のレンズホルダーが用意してあって、小さい方を使えばレンズを保持できました。後はその動画を見ながら作れば問題ないと思いますが、以下2つ注意点があります。
 1つ目は、ESPressoscopeは試料台を浮かせておいて、ネジ3本で締めてフォーカスを合わせます。浮かせるためにバネかネオジム磁石を使うので、まずはどちらを使うかを考える必要があります。Vittorio Saggiomoさんの動画は磁石を使うケースです。私はバネも試してます。バネは6 mm径で長さ15 mmくらいが適当でした(アマゾンで購入、3個必要)。なお磁石を使う場合は試料上にも磁石を1個置いて、試料固定用としても使うようです(なので5個必要)。
 2つ目の注意点はカメラレンズを外すところです。この顕微鏡の場合はカメラレンズを外して、センサーから少し距離を置いて配置することで顕微鏡として使えるようにしてます(実はOpenFlexureMicroscopeの廉価版も同じ原理)。そのためカメラレンズを外さないといけないのですが、適当なプライヤーを使わないとプラスチックレンズを傷つけてしまいます(一応シールが貼ってありますが)。私は最初やった時に傷つけてしまいました(2個買っておいて正解)。仕方ないのでVittorio Saggiomoさんが動画で使っているプライヤー(多分Knipex Cobra XS)を買ってしまいました(XIAO ESP32S3 Sense1個より高い…)。一応それで外すことができました。3Dプリンターで取り外し用治具を作ればいいのかもしれません。OpenFlexureMicroscopeでは使っているHQカメラにはレンズ外し治具が付いてきたはずですし、ない場合のためにSTLファイルも用意されてましたが、ESPressoscopeでは用意されてないようでした。
 照明なのですが、ESP32-MB+ESP32-CAMボードの場合はボード表面に明るい白色LEDが元々あるので、その光を利用する形で潜望鏡的なものを作って、上側に一度反射させてそれを試料に当てています。3Dプリンターで印刷されたものは反射率がよくないので、銀のスプレーやアルミ箔を貼っているようです。一方XIAO ESP32S3 Senseの場合はそのようは白色LEDはないので、別途照明が必要で、小型のLED(電池、スイッチ込み)が使われています。私はアマゾンでLIHAOのミニLEDライト昼光色を買いました。ただ1個だけ売ってなくて15個入りを買いました…
 下の写真は一応完成したもの(これはバネを使っている)。

ESPressoscope-completed.png

ソフトインストールと観察

 動画のようにESP32S3 Senseを組み込む前でもいいですが、ハード完成した後でも可能です。インストールは動画通りなのですが、Chromeブラウザ(Edgeでもいいようです)を使うので、Chromeをインストールしてない方はまずChromeをインストールします。そしてUSBケーブルでESP32S3 SenseとPCを接続します。そしてChromeでファームウエアサイトにアクセスします。画像でESP32S3 Senseを選んで、Connectボタンをクリックします。そうするとシリアルポートの選択画面になります。USB JTAG/serial device unit(cu.usbmodem101)となっているものを選びます。そうすると接続されて、ダイアログが出てくるので、INSTALL ESP32S3-XIAOSENSEをクリック、確認が出てくるのでINSTALLをクリックします。実はインストールにはCH340ドライバーが必要ですが、これがない場合はインストールするように誘導されます。そこで中国語のサイトに飛びますが、CH341(CH340も含む)をダウンロード(下载)してインストールします。これで再度インストールすると今回は最後まで行くはずです。
 それでwifiを見ると、私の場合は新たにopenUC2xSeeedがあったのでそれを選択します。そしてChromeで192.168.4.1にアクセスすると顕微鏡操作画面になるはずです。そのままでは画像は見えません。下側のStart Streamをクリックすると画像が見えるはずです。試料を試料台に載せて、照明をONにしてください。最初画面のResolutionが低いので上げます。3本のネジを回してフォーカスを合わせます。明るさやコントラストなどは調整できます。そこそこ綺麗に見えてました。ESP32S3 Senseはコンパクトなために結構高温になるらしいのでそこがちょっと不安です(まだ短時間でしか使ってません)。
 私はまだMacからしか使ってませんが、タブレットなどからもwifiを選択して、192.168.4.1にアクセスすれば使えるはずです。一番上の写真はChromeで観察している時のスクリーンショットです。またMacのFirefoxからも問題なく使えました。