CrystalSleuth の履歴(No.2)


CrystalSleuth (2015/09/08)

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試用

 マニュアルを参考に、いくつか手持ちのスペクトルでテストしてみた。我々のところのマイクロラマン装置は測定にPrinceton Instruments社のWinspecプログラムを使っているが、デフォルトで作られるファイルはバイナリー形式なので、一度ToolsメニューのASCII変換機能で、テキストファイルに変換しておく必要がある(横軸は相対波数を選択)。これで作られたファイルはCrystalSleuthで読み込めた。
 まずCrystalSleuthで測定データを読み込む。スペクトルが表示されるはず。バックグラウンドが高い場合はバックグラウンドを引かないと検索がうまくいかないので、右クリックから出てくるメニューでバックグラウンド補正を行う。自動なので調整はできない。同様に宇宙線由来ピークの除去もできる。これはCCD検出器に宇宙線が通過した時に、鋭いピークとしてスペクトル上に現れる偽ピーク。非常に鋭いので普通は本当のラマンピークと区別できる。再測定すればそのピークは消えるのでそれと分かる。
 そして検索を実行。検索された相がリストで示される。リストの相をダブルクリックすると、そのスペクトルが測定スペクトル上に重ねて示されるので、詳細に一致具合を比べることができる。もし検索で見つからない場合でも、鉱物名が分かる場合は、リストがアルファベット順に並んでいるので、鉱物名で見つけて、表示させてスペクトルを比較してみることができる。
 試したところでは、forsterite, kyanite, graphite, diamondは正しく検索された。SiC(moissanite)は少し波数がずれているのと、方位によるピーク強度の違いで、うまく検索されなかった。coesiteは検索のリストには出ているが、上位になってない。データベース中のcoesiteスペクトルを見てみたら、スペクトルが2つあり、天然のものはかなりブロードなピーク、合成試料のスペクトルは多くのピークの低波数側に肩があり、何か測定上の問題があったのかもしれない。試料提供者はなんとPrewitt先生だった。順位が低くなったのはデータベース中のスペクトルの質のためかもしれない。
 一番上の図は合成forsterite(Mg2SiO4)ペレットの表面にレーザーを集光して測定したスペクトルを検索させたところ。メインピーク辺りを拡大している。検索結果はforsteriteのデータが上位にあり、この場合は正しく検索された。スペクトルの黒い線が測定データ、青い線は一番一致のよいデータベース中のforsteriteのスペクトル。

注意点