keatiteのラマンスペクトル の履歴(No.1)


keatiteのラマンスペクトル(2023/06/20)

 キータイト(keatite)はSiO2多形の1つで、天然ではほとんど見られませんが、非晶質シリカの水熱処理で比較的簡単に作ることができます。以前、シリコンと水を反応させてSiO2を作るという水熱合成実験をやっていたのですが、いくつかの試料でkeatiteが出来ていることが分かりました。非晶質シリカを出発物質に使った合成はよく知られていますが、この反応での報告は過去にありません。その試料のkeatiteのRaman spectrumを測定したのですが、keatiteのスペクトルはこれまで公表されていないようなので、同定などで使えるようにここに掲載しておきます。
 keatiteのメインピークは473 cm-1にあって、石英のメインピークより9 cm-1程度高い波数に出るのと、他のシリカ多形でも重なるものはないので、ユニークに同定できるはずです。低波数側も結構特徴があります。keatiteには他のシリカ多形にはない5員環があって、その変角モードがこのピークに対応しています。
(2024/03/08)論文化がうまくいってなくて、どうするか現在考え中…

keatite-Raman.png
Raman spectrum of synthetic keatite SiO2