2007年夏にオリジナルマインドのミニフライスCNC化キット(mini-CNC PRX 1510)を買いました。ここは校費で支払いが可能です
.このキットはプロクソンのミニフライスをCNC化するものです。早速組み立てて、実験に必要なものなどを作ってます。いくつか作ったものなど紹介します。なお、このキットは現在(2015)はなくなってます。
2024年現在まだ動いてて、光学部品のアダプター作成に活躍してます。ただ精度はよくありません。
- CNC化したプロクソンのフライス。左にある黒い箱に制御用の回路が入っている。ノートPC(写真外)とパラレルケーブルでつながっていて、PCから制御する。私はCNC制御プログラムとしてMach2を使ってます。単純な加工が多いので、普段はCNCプログラムは自分でエディタに直接書いて、Mach2に読み込ませて実行します。またMach2のWizard機能も使います(単純な円状の切削などに便利)。
スピンドルACモーターのSSR制御箱(2008/01/15完成)†
- スピンドルがDCモーターの場合は用意されている端子につなげば直接プログラムから制御できます。しかしプロクソンのフライスのスピンドルはACモーターなので、同じ端子にSSR(ソリッドステートリレー)又はリレーを外付けして制御する必要があります。これまでスピンドルは手でON/OFFさせてましたが、切削終了後はスピンドルを自動でOFFにしたいので、SSRを外部に追加してみました。箱の表側には制御したい装置につなぐACコンセントとヒューズボックスが2組ついてます。これらの取り付け穴はこのフライスで加工しましたが、鉄なのでちょっと大変。
- SSRは秋月電子通商のキット(K-00203, 300円)を使ってます。これは非常にコンパクトですが、逆に少し作業しづらいかもしれません。これを1回路つかった回路図を示します。CNC制御ボード側は基本的にON/OFFスイッチになっていると考えればいいでしょう。ここではDC5Vをつないで、ON時にSSRの入力側に5Vかかるようにして、AC側がONになるようにしてます。DC5Vは秋月で買った小さいACアダプタを使いました。ヒューズは最初1Aを付けてましたが、モーター起動時の電流で切れてしまいました。今は5Aを入れてます。なおトライアックは放熱板に固定してます。
- 今回実際に作ったのはSSRを2個使った物です。2つ使っているのは、スピンドル以外に集塵機のためです。そのためか結構配線込み入ってます。SSRの入力側のためにDC3~12Vの電源も必要なので、秋月のACアダプタでDC5V出力のものを使いました。これでプログラム終了後自動的にスピンドルと集塵機をOFFすることができるようになりました。私の場合チャージポンプがうまく働かないので、ジョグでXかY軸を少し動かしてからプログラムを動かさないとスピンドルが回転してくれません(安全のため仕様上こうなっている)。1つ後から気づいた事はそうじなどで集塵機をちょっと使う場合、この制御箱から電源プラグを抜いて,別の電源に差し込まないといけない。ちょっと面倒であるので,マニュアルでONになるようにスイッチを追加すれば便利であろう。
- CNCプログラムからはM03S1250/M05でON/OFFします。Mach2で使う時はOutput DevicesでSpindleのNot usedのチェックを外します。またMach2からマニュアルで回転させる時はS(spindleの回転数)がゼロだと動きません。回転数制御できる訳ではありませんが、Sに適当な値を入れて、(ジョグを一度やってから)スピンドルのボタンをクリックしないと回転しません。
最近の作品†
- (2016/04/25) Dsub 9ピンプラグ用の穴をシャーシのアルミパネルにあけた。ラマン分光器で使うI/O制御用回路をケースに収めた時に、RS232Cプラグに外部からアクセスするためにこの穴が必要だった。この穴は、直径5 mmのエンドミルで台形を描くGコードをマニュアルで書いて、それを実行して制作した。その後、直径3 mmのエンドミルに変えて、左右の穴をあけた。RS232Cプラグを通してみたところ、台形横部分で少し幅の狭いところがあったが、なんとか使用可能。
- (2010/03/28)ガラスボトル用のホルダーをアクリルで作る。試料を入れたガラスボトルをデシケーターにそのまま立てて置いてあるのですが、よく倒したりします。適当な既製品が見つからないので、専用ホルダーをアクリルで作りました。基本的には2mm厚のアクリル板にボトルより少し大きめの穴を10個あけただけです。この加工にCNCフライスを使ってます。このアクリル板は4隅をアクリル棒で支えて自立するようにしてあります。アクリル棒は直径5mm,長さ30mmのものをアクリル加工業者から買ってます。棒の端を2mmほど直径3mmくらいに旋盤で削って、それをアクリル板に開けた3mmの穴に入れて、アクリル接着剤(アクリルサンデー)で固定する。これで完成。とりあえず10個ほど作ってみた。エンドミルにアクリルが融けてくっついて、うまくいかないことも多いので、最近はアクリ屋さんという会社で穴の空いた板部分を加工してもらってます。
- (2010/03/28)ニコンの工業用顕微鏡の落射部分のアダプター。光ファイバー光源用に改造した。アルミ板をCNCフライスで加工。
- (2008/01/16)ミラーやビームスプリッターをエアーシリンダーを使って光路から出し入れする装置を作りました(顕微ラマン分光器用)。左側の黒い箱の部分がラマン分光器の光路に取り付けられます。エアーはソレノイドバルブを使って電気的に操作します。ここではシリンダーの取り付け部分とミラーの台座をアルミ板からCNCフライスで加工しました。最初のバージョンでは出し入れを繰り返すとミラーが回転したので(重心がずれてるため)、真鍮のガイド棒2本を付けて回転しないようにしました。黒い部分はソーラボの光学パーツを使用。2カ所必要なので1月連休中にもう1セット作った。実際に使用したところ再現性もよく、その後7年間一度の問題もなく使用できてます。これを使ってハーフミラーを2枚光路から外すと、ラマン測定時の強度が3倍強改善されます。
- ワイヤーヒーターのホルダー部分を大小2種自作しました。白金線などをヒーターとして使って、試料を加熱する装置のホルダー部分です。ホルダーは白金線を保持することと、高電流用の電線を接続する役目があります。また2つの真鍮又は銅のブロックを絶縁するために、各ブロックはベークライトの板で分離されています。フライスはブロック表面研削、ブロックとベークライトの穴の加工に使いました。ベークライトの穴はネジが出っ張らないように加工されています。このヒーター自体についてはワイヤーヒーターにまとめてます。また高温ラマン測定にも利用されてます。
- ワイヤーヒーターを顕微鏡に取り付けるためのアルミ板。以前直接ベークライトにヒーターを取り付けてましたが、長時間保持するとベークライト板が焦げたことがあるので、今はアルミ板を間に置いてます。透過光による観察のためと試料がコンデンサーレンズに落ちるのを防ぐために、中央にはガラス板が入る穴があります。これは顕微ラマンのステージにも固定できるようになってます。写真はヒーターで加熱中の状態。
- 電動回転NDフィルターのモーターの台。材質デルリン。電動回転NDフィルター自作については別にまとめてあります(回転NDフィルターの電動化 )。
- タングステンカーバイト乳鉢のふた(黒い部分)。デルリンという材質の板から削り出した。アセトンに溶けず、静電気もあまり生じないのでちょうどいい。その後、乳鉢が増えたので、もう1個つくった。
- ラマン用アダプタ。左はステージ用アダプタプレート、右はミツトヨ結像レンズのホルダー。その他ラマン関係でフライスをよく使ってます。
ガスケット加工†
- 高圧実験で使用するパイロフィライトのガスケット加工です。パイロフィライトは粘土鉱物の一種で、緻密ですが非常に柔らかくエンドミルで簡単に削れます。必要な加工は3mm厚程度のパイロフィライトの板から、小さい台形を沢山切り出すことです。粉が大量に出るのでその処理が必要です。下左の写真で分かるように加工時は集塵機で粉を吸い取るように自作してます。その後、このCNCキットを販売しているオリジナルマインドから、集塵用のキットが販売されています。写真のものは取り付けが面倒なので、現在はオリジナルマインドのキットに入れ替えてます。パイロフィライト板は剥がせる両面テープで捨て板に固定しました(左下の写真)。この台形はガスケットと呼ばれていて、マルチアンビル高圧実験で圧力を封止する部分に使います。また上記SSR制御箱を作ったのでプログラム終了後にスピンドルと集塵機を自動でOFFできるようになりました。加工途中でも家に帰る事ができます。
- 接着力が弱い場合(特に一番最後のところ)、ガスケットが集塵機に吸われてしまいます。後でゴミパックから回収するのは可能ですが面倒なので、薄いメッシュをホースのジョイント部分に挟むようにしました。これで楽にガスケットの回収ができます。
- 高圧実験関係の研究室ではCAMM3というローランドのCNC装置を使ってガスケット加工するのが定番ですが、1桁低い予算で同じことができるものがつくれます
。また、集塵機の自動OFFができないのか、加工が終了してもずっと集塵機がうるさくしているのをよく見ます(聞きます)が、これは自動OFFに対応している。
- ガスケット作成の手順